US版「THE OFFICE」などで知られるBJ・ノヴァクが監督・脚本・主演を担当した映画。
ノヴァク演じるベンはニューヨークに住む無名のジャーナリスト。女性関係も奔放であてもなく暮らしているタイプだったが、彼がかつて付き合ったというアビーという女性が亡くなったことを彼の弟から知らされ、故郷のテキサスまで葬式に来て欲しいと伝えられる。断る余裕もなくテキサスの田舎町へやってきたベンはアビーがオーバードースで死んだことを知るが、弟のタイは彼女が何者かに殺されたと考え、テキサスで警察はあてにならないから自分たちで犯人を探して復讐をしようとベンに持ちかける。こうしたテキサス文化にカルチャーチョックを受けたベンは、NYで名を売るチャンスだと考えて一連の調査をポッドキャストにまとめようとするのだが…というあらすじ。
いちおうブラックコメディとされているがいろいろ社会風刺が盛り込まれていて、1つは何でも(特に実録殺人ネタ)をポッドキャストにしてしまう最近の文化かな。もう1つはテキサスの田舎者に対するNYのインテリリベラルの目線で、アビーの家族が愚鈍なレッドネックたちだと考えたベンは彼らをポッドキャストのネタにしようと企む。でも彼らは実は素朴ないい人たちでした、というのはお決まりの展開ですね。さらに意外と知的な娘がいてステレオタイプが覆されることになるのは、「ブックスマート」なんかでも見られた最近のトレンドだな。そもそもこういう「アホなテキサスの家族」という設定を持ち込んでくるあたりがハリウッドのリベラルの奢りなのでは?とも思ってしまう。テキサスを舞台にした話をニューメキシコで撮影している点でテキサスを軽視していると思われても仕方ないのでは。あとアビーはミュージシャンを目指していたという設定だが、テキサスの田舎娘はダニエル・ジョンストンなんか歌わないと思う(これも偏見か?)。
BJ・ノヴァクって「THE OFFICE」で演じたキャラクターがイギリス版にはいないオリジナルだったせいか、いまいちパッとしなかった印象があるが、あの番組でもライターを兼務していたんだよな。この映画のベンは全体的に説明的な口調が多くて、主演が脚本を書くとこうなるよね、という感じ。あとはイッサ・レイやボイド・ホルブルック、アシュトン・カッチャーといった有名どころが共演しています。
話の展開がなんとなく読めるし、ミステリーの要素も弱い一方で、90年代によく観ていたインディペンデント映画(ハル・ハートリーとかケビン・スミスとかリンクレーターとか)っぽい雰囲気があってそこそこ楽しめた作品。