「マッドマックス:フュリオサ」鑑賞

評判通り普通に素晴らしい出来だったので、特に言うこともないのだが忘備録的に感想をざっと。

  • 前日譚って各キャラクターのその後が明らかになっているなかで話が進むため、概してストーリーが予定調和的になるのが好きではないのだけど、「デス・ロード」では個性的なキャラクターたちについての説明がろくにされてなかったのが功を奏して、今回はフュリオサを含む彼らの過去を掘り下げることで「マッド・マックス」の世界を奥深いものにすることができていた。原題に「マッド・マックス・サーガ」とあるように、世界観を補填する外伝のような立ち位置ですかね。
  • その反面、いきなり訳の分からないキャラクターたちがぞろぞろ出てきて、なんだこいつらは?と思った前作の衝撃が無くなっているのは仕方のないことか。
  • 話を5章に分けてフュリオサの成長を描くのも、歴史の絵巻物みたい。正体がバレないままそんな長く要塞で暮らせるのか?とかツッコミいれたくなる箇所もあったが。あと4章の終わりあたりでディメンタスとの40日戦争に突入したのは話の勢いが削がれたかな。その前、空から攻めてくるオクトボスたちをジャックとともに撃破するところがアクションのピークだった。
  • 主役を演じるアニャ・テイラー=ジョイは1時間以上経ってから登場する余裕っぷり。対するクリス・ヘムズワース演じるディメンタスは小物っぷりが目立つのだが、それによって前作のボスであるイモータン・ジョーの格が上がるという演出ですね。そしてジャックを演じるトム・バークがかなりオイシイ役を演じてるので、これをきっかけに彼がもっと大作に出られると良いですな。
  • 「ピッチ・パーフェクト2」に負けた前作に続き、今回も興行成績は苦戦しているそうだけど、いち観客としてそういうのはどうにもならないので気にしないで良いでしょう。続編が作られるならぜひ観たいし、なかったとしても前日譚のあるべき姿を見せつけた傑作だった。