前にもちょっと紹介した、ワーナー製作のフォックスの新作ドラマ。原作はDCコミックスの作品で、主人公のヒューマン・ターゲットことクリストファー・チャンスは何者かに命を狙われている人物の依頼を受け、その人物に変装して自らが囮のとなり、暗殺者をおびき出して対処することを専門としているフリーのエージェント。スーパーヒーローではないしDCコミックスのなかでは比較的マイナーな存在だったけど、10年くらい前にピーター・ミリガンがヴァーティゴで復活させた際は、チャンスは数多くの人間に扮してきたために自分のアイデンティティが侵され、人格が崩壊しつつあるという設定が加えられて良質のサイコ・サスペンスになってたんだよな。
今回の映像化ではそうした心理的な要素は殆どなくて、極めてストレートなアクション・ドラマになっている。というかクリストファー・チャンスが変装しない!命を狙われている人の側近になりすましてその人を守るという、ボディーガードに限りなく近い設定になっていた。
主役を演じるのは「フリンジ」などに出ていたマーク・ヴァレイ。その発達したアゴを見てると、確かに変装の達人という設定にするのは無理があったんだろうなと理解できなくもない。彼の相棒をシャイ・マクブライドが演じるほか、裏社会に通じた情報屋を「ウォッチメン」のジャッキー・アール・ヘイリーが演じている。ゲストにトリシア・ヘルファーやアレッサンドロ・ジュリアーニが出てたり、音楽をベアー・マクレアリーが担当しているあたりは「ギャラクティカ」を観ていたギーク層を取り込もうとしてるのかな。オープニングのテーマ曲はなんか番組の雰囲気に似合ってない気がしたけど。
主人公が自分の銃が空になったことに気付かなかったり、防弾チョッキを着てて撃たれたあとになぜかチョッキを脱ぎ捨てたりするなど「お前本当にプロか?」と思うようなところがあるものの、第1話よりも第2話のほうがずっと面白くなってたし、まあ「プリズン・ブレイク」みたいにバカでも観れる娯楽作品として日本でもヒットする可能性はあるんじゃないですか。日本語の通訳に扮しておきながら、壊滅的にヒドい日本語を話すシーンには爆笑したけど(下の動画で聞けるぞ)。