やっと川崎のIMAXにて。先に技術的なことを書くと、やはりIMAX方式だとメガネが軽くて観てて疲れないな。でも川崎のスクリーンって高島屋にあったやつにくらべてずいぶん小さいのね。そして巷で言われている通り字幕に目をやりづらいので、吹替版のほうが映像に没頭することができるんじゃないかと。あと3Dとはいえ「こちらに向かってくる」的な映像が殆どなく、主に空間の奥行きを出すために3Dを用いているのは少し意外であった。子供だまし的な演出を嫌ったということですかね。
そして作品の内容としては、これも巷で言われている通り、脚本とか演出はかなり凡庸な部類に入るもので、巨大メカがいろいろ登場したりミリタリーねえちゃんが活躍するところなんかは「エイリアン2」からぜんぜん進歩してないじゃん!という感じだったし、パンドラの生態系などのSF的考証もなんかすごく適当な気がしたんですが。敵が銃をかまえて待ち受けているところに騎馬隊を突っ込ませる演出もどうかと思ったし。
じゃあツマらない映画だったかというと全然そうではなくて非常に楽しめた映画であって、ストーリーとかの欠点をビジュアルの素晴らしさが完全に払拭してしまった希有な例であろう。自分の頭のなかにある異星の世界の光景を、半端じゃない金額と労力と時間をかけて映像化してしまったジェームズ・キャメロンの功績を観るための作品なんじゃないかと。少なくとも2200円の元は十分とれたと俺は思ったよ。
登場人物に関して言えば「強い女性たち」はキャメロンの定番だから置いとくとして、サム・ウォーシントンが思ってたほど悪くなかった。というか役者として何のメリハリもない人だから、物事をゼロから学ぶカラッポの男という役にマッチしてしまっただけの話なのかも知れないが。残念だったのは大佐のキャラクターで、南部訛りを含めてあまりにもステレオタイプすぎる悪役ではないかと。もうちょっと深みを持たせてもよかったのに。あと「原住民の宗教なんて関係ねえ!」なんてセリフを、サイエントロジストのジョヴァンニ・リビシが演じる役に言わせているのが興味深かった。そこらへんは何か意図するものがあったのかな。
意図するものといえば、この映画は「反米・反軍」のメッセージが含まれているという報道が一部でされていたけど、上記したようにそんな凝った脚本でもないし、あまり深く考える必要はないかと。「反米・反軍」のSF映画といえば「スターシップ・トゥルーパーズ」という金字塔が既にあるわけだし。
ふだん劇場で映画を観ない人にも「劇場で観なきゃ」という気にさせ、このご時世に劇場へのリピーターを続出させたという意味では非常に画期的な映画だし、大いに賞賛されるべきであろう。但し2Dではその魅力が半減してしまうことは否めないので、これからDVDやテレビで公開されるときに、その話題性がどこまで持続できるかが興味深いところではある。