「ヒストリー・オブ・バイオレンス」鑑賞

デビッド・クローネンバーグの最新作「ヒストリー・オブ・バイオレンス」を観る。米アマゾンからDVDを購入したんだけど、もう日本でもやってんだって?劇場に行くの面倒だからまあいいや。 これは「クラッシュ」や「スパイダー」といったクローネンバーグの他の作品に比べると、意外なくらいにストレートな内容の映画だった。後半のストーリー展開が原作とかなり違っているけど、映画版は独自にうまく話をまとめていっているし、細かく比較するのは野暮でしょう。

原作では主人公ひとりの「暴力の歴史」に焦点が当てられていたのに対し、映画では1つの暴力行為がさらなる暴力を呼び、さまざまな人々(特に主人公の息子)に影響を与えていくという点が興味深い。しかもその暴力の大半は無差別・無意味な殺人なんかではなく、自分が生き残るために必要な行為として淡々と行使されていく。まるで人間はどんなに文明化しようとも、結局は暴力的な生き物なんだよと示すかのように。そしてその代償として、ごく普通の家庭だったはずの主人公一家の結束にはヒビが入っていく。でもここらへんの描写はかなり微かなものだし、エッチなシーンやアクションもそれなりにあるので、そのままテレ東の木曜洋画劇場向けの作品になりそうかも。プロット自体はトラッシュ映画、という点では「ザ・フライ」とかに通じるものがあるかな。んでもってラストはちょっとホロッとさせてくれる。

冒頭に出てくる、いい年した奥さんのコスプレにはちょっと引いたけどね。