「スコセッシがヒッチコックをやった映画」という評判を目にしたけど、むしろスコセッシがデビッド・リンチをやったような感じがしたよ。特に前半の雰囲気の盛り上げ方とかは巧みだなと思ったんだけどな。
でも全体的な印象としては映画というよりも洋ゲーに通じるところがあって、行動範囲の限られたエリアを舞台に、主人公がいろんな登場人物と話して情報を入手していき、嵐のイベントが起きたあとは今まで入れなかった収容棟にアクセス可能になる…というような展開が続くというか。
そして肝心の結末については当然ここで触れないが、「ミスティック・リバー」もそうだったけど、デニス・ルヘインのストーリーって予期せぬところでオチがつかなくない?それまでの謎解き作業とはちょっと離れたところで謎の解明がされるというか。この映画がああいうオチになったことは理解できるんだが、正統なミステリを期待してると肩すかしをくらうよ。
出演者についてはディカプリオやマーク・ラファロは可も不可もなし。どちらもベン・キングズレー演じる刑務所長に食われてしまっている。個人的にはマックス・フォン・シドーが怪しい博士役で出てたのが良かったな。ベルイマン作品からキワモノSFまでいろんな役が出来る人ですよ、彼は。
結局のところ悪い映画ではないんだけど、スコセッシの作品としては凡庸な出来といったところかな。あの人はもっと人間関係に深きを置いた映画のほうが似合ってると思うんだが。スコセッシの映画にCGが使われてるのも違和感があるし。あとそろそろディカプリオ抜きの映画を撮ってほしいところです。