「ウォーキング・デッド」鑑賞


「ブレイキング・バッド」に「マッドメン」、「RUBICON」など異様な高打率で優れたシリーズを作り出しているAMCの新作シリーズ。日本でも今月放送されるそうな。原作はロバート・カークマンがストーリーを担当したコミックなんだけど俺は未読。シリーズ全体の管轄および第1話の監督はフランク・ダラボンがやっていて、製作にはゲイル・アン・ハードも名を連ねていた。ダラボンって「ショーシャンクの空に」みたいな感動ドラマのイメージが強いけど、「ミスト」も監督してたしこういうパニックものが好きなのね。

ジョージア州の保安官であるリック・グライムスは凶悪犯との銃撃戦で負傷し、昏睡状態に陥ってしまう。そしてやっと彼が病院で目を覚ましたとき、世界は一変していた。無人となった病院は朽ち果て、周囲には多数の死体が並べられている有様であり、さらには生ける死体のような存在が通りを歩きまわっていたのだ。その光景を見てリックは動転しつつも、どうにか妻と息子の住む自宅へと帰り着くが、そこには誰も残っていなかった。そして偶然遭遇した生存者の父子から、人々が短期間のあいだに次々とゾンビと化していったことを知らされる(ただし劇中で「ゾンビ」という言葉は出てこない)。しかし彼の妻と息子がどこかで生存していることを確信したリックは、父子と別れ、妻たちを探すためアトランタに向かうのだが…というようなプロット。

ゾンビものとしてはかなりストレートな出来になっていて、銃器の扱いに慣れた主人公がゾンビたちの襲撃をかわしていくという典型的な内容ではあるのだが、アクションよりもドラマの部分に重きが置かれた話になっている。ゾンビの描写にもペーソスがあって、ゾンビと化した母親が父子の家に入ってこようとするシーンなんかは結構哀れであった。「28日後」のように文明が崩壊したところから話が始まっているため、ロメロの「ゾンビ」にあったような、文明がゆっくりと終末を迎えていく物悲しさがないのはちょっと残念だけどね。

俺が知る限り、ゾンビを扱ったTVシリーズというのはこれが初めてだけど、登場人物が圧倒的に少ないなかどうやって話を進めていくんでしょうかね。第1シーズンが6話しかないというのはこの場合アドバンテージであるな(ただし第2シーズンの製作が既に決定したらしい)。リックの妻と子供は生きていて、彼の元同僚と一緒に暮らしており、どうも三角関係に発展しそうなことが示唆されるんだけど、生存者のあいだのドロドロとした人間関係よりも、ゾンビを中心にしたストーリー展開になることを願いたいところです。

ちなみにゾンビの出来はとても良いぞ。下半身がないゾンビが草むらを這っていく姿などはとてもリアル。無人となった街のシーンなんかも非常に金がかかってるようだし、これだけの規模のシリーズが作れてしまうなら、次は「Y: The Last Man」を誰かシリーズ化してくれませんかね?

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