HOUSE, M.D.


2004年度に始まったテレビシリーズとしては個人的に最も気に入っている作品(見たことないシリーズも沢山あるが)。製作はNBC/ユニバーサルでチャンネルはフォックス。ニュージャージーの診療病院を舞台に、人間嫌いの天才医グレゴリー・ハウスと彼の下で働く3人の若き医師たちが、原因不明の症状を抱えて担ぎ込まれてくる患者を救うために数多くの謎に立ち向かっていく…というのが主な内容。要するに医療&ミステリー・ドラマ。製作にはブライアン・シンガーが関わっていたりする。

病院を舞台にしたドラマなんて今まで山のように放送されてきたけど、このシリーズの魅力は主人公であるドクター・ハウスの毒々しさに尽きる。片足が不具で鎮痛剤の常習者である彼は上司に強制されてイヤイヤながら病院に出勤してる毎日だが、最先端の医学でも解明できないような謎の症状を持った患者が来れば途端に目をきらめかせ(強制される場合もあるが)、周囲が唖然とするくらい非常識な手法で原因を突き止めていくのだ。
「患者はウソをつくもの」が信条である彼はろくに患者と合おうともせず、必要とあればウソまでついて自分の治療法を試し、患者の家族にブン殴られたり、部下に呆れられながらも患者の命を救っていく。普通なら医療過誤ですぐさま訴えられそうなものだけど、「患者の手を握りながら死ぬのを看取ってくれる医者と、患者が回復してるときに彼を無視する医者のどちらがいい?」というセリフが彼の態度を明確に表している。医者が聖人扱いされてきた従来の医療ドラマとは違ってとにかくブラック・ユーモアに満ちたシリーズで、患者を適当にあしらいながらも治療をしていくハウスの言動が最高に面白い。 下手をすれば単なるイヤな奴になりかねないハウスを絶妙に演じているのはヒュー・ローリー。イギリスではスティーブン・フライとのコンビや人気シリーズ「ブラックアダー」などで知らない人はいないくらいに有名なコメディアンだが、アメリカでは「スチュアート・リトル」のパパ役で知られているくらいか。このシリーズでは従来の(イギリスでの)陽気なイメージをかなぐり捨て、時には滑稽で、時には偏執的なくらい真剣になれるハウスを好演している。

このシリーズに欠点があるとすれば、多くの人が指摘していることだけど、どのエピソードも完全にパターン化してしまっていることか。冒頭にまず患者が発症して倒れ、ハウスが3人の部下をコキ遣いながら原因の解明に励み、当初の診断が間違っていたことで患者の症状が悪化するものの、意外な解決策を思いついたハウスのおかげで患者が回復する、というパターンが番組開始から毎回繰り返されているのだ。一応ハウスや部下たちの過去が明かされていくようなストーリー上の進展はあるものの、どのエピソードも似たり寄ったりだという感は否めない。ただ型にはまっているとはいえ、あまりにもハウスの姿が面白おかしいので見ていて飽きはしない。問題はこのパターンでどれだけ人気が持続できるかだけど、とりあえずハウスは今のままの毒々しい奴でいてほしい。