「アメイジング・スパイダーマン」鑑賞


うーん。オタクが丹念に作り上げた曲を、イケメンのにーちゃんたちがやってきて「後はまかせとけ!」といった調子でそれをカバーしたような感じというか、きらびやかさはあるものの、どうも情熱が感じられないんだよな。

監督のマーク・ウェッブがどれだけスパイダーマンに詳しいのか知らないけど、サム・ライミはウィレム・デフォーにスパイダーマンの魅力を電話で2時間と語り続けたという筋金入りのファンであるわけで、原作へのリスペクトが前シリーズでは如実に感じられたわけです。それに対して今回のはライミ版から無理して離れようとしている印象があって、おかげでスパイダーマン作品として外せない点が外されてるというか。アンクル・ベンが「With great power …」のセリフも言わずにあっけなく死んでしまったのは拍子抜けしたなあ。

アクション・シーンも比較的凡庸。個人的に思うにリザードってバットマンでいうとツーフェイスくらいの敵役で、単独で映画を抱えられるほどのキャラクターではないと思うのですよ。顔のデザインも平面的でキバも生えてないし、学校の廊下でチマチマ戦われてもねえ。とはいえディラン・ベイカー版のリザードなら観てみたかった気もするが。

褒めるべき点としては、ピーターとグウェンの恋愛関係は巧く描かれていたところか。ここらへんはやはり「500日のサマー」の監督ですね。エマ・ストーンの相変わらずドス太い声は原作の繊細なグウェンのイメージに合わないものの、ピーターを見守る母性的な雰囲気はよく出ていたと思う。それに対してサリー・フィールド演じるメイおばさんが単なる薄幸な女性みたいになっていたのは残念。またキャプテン・ステイシーがXXするシーンは原作でも屈指の名場面であるわけで、あれを無駄にしてしまったのは勿体ないよな。

本当はサム・ライミは「4」も作る気があって十分な準備期間を要求したものの、スタジオ側が待ちきれずに今回のリブートに踏み切ったわけだが、出来た作品から判断するにソニーはもう数年待ってでもライミに「4」を作らせるべきだったんじゃないだろうか。今回の封切り時の興行成績が1〜3のどれよりも下回っているという結果も出ていることだし。フランチャイズのリブートってのはどうもタイミングが難しいね。

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