85歳。アメコミの巨匠がまた1人亡くなってしまった。
一説によると彼は8歳のときからウィル・アイズナーの事務所で雑用を手伝うようになり、12歳のころにはすでに絵を描くことで給料を得ていたという。そんな彼はガードナー・フォックスやロバート・カニハーといったライターたちとともに、宇宙からやってきたシルバーエイジ版ホークマンや第二次世界大戦の戦地を行くサージェント・ロック&イージー・カンパニー、真っ赤な複葉機で大空を舞うエネミー・エース、原始人のトーなどといった人気キャラクターを次々と生み出していった。ヘルメットの陰で鋭い目つきを光らせるロック軍曹の姿とかはカッコ良かったなあ。
さらに彼の仕事はスーパーヒーローものや戦争ものに限らず、ユダヤ教に関するコミックスやサラエボ内戦を描いたものなど多種多様にわたり、従軍経験もある彼は軍の備品のメンテナンスに関する機関誌のイラストを担当したりと、死ぬ直前まで精力的に仕事を続けていた人物であった。これに加えて彼は息子ふたり(アダムとアンディ)を業界トップレベルのアーティストに育てたほか、コミックの技法を教えるキューバート・スクールを設立し、スティーブン・ビセットやトム・マンドレイク、ティム・トルーマンといった著名アーティストたちを輩出したという、アメコミ業界に多大な影響を与えた人物であったわけです。
もっと多くの作品を生み出してくれるかと思っていたのに、お亡くなりになってしまって悲しい。安らかに眠れ。