BSG DVDコメンタリー

「BATTLESTAR GALACTICA」のパイロット版ミニ・シリーズのDVDをコメンタリー付きでダラダラ観る。製作総指揮が「スター・トレック」のライターであったロナルド・D・ムーアが務めていることは以前にも書いたが、「STは好きなんだけれども…」と断っておきながら、STで出来なかったこと(役者のアドリブとか)を意図的にこの作品に取り入れた、と語っているのが面白い。
作中で最強の兵器が光子魚雷などのハイテクなものではなく「核ミサイル」であるのもそのためらしい。ある意味でBSGはSTの対局に存在するシリーズであったわけか。

主演のエドワード・ジェームス・オルモスが、終盤間際にあるソバを食うシーンを真っ先にやりたがったというコメントには笑った。

アメリカの安楽死論議  その2

真面目に考えるべき話であるのは分かってるけど、一連の騒動が面白すぎるのでまた書く。

テリ・シャイボが延命装置を外され徐々に死に向かっていくなか、延命装置の再装着を拒否した判事のもとには脅迫状が山のように送られ、おかげでボディーガードがつけられるようになったとか。さらには尊厳死を求めた彼女の夫を殺した奴に250万ドルの賞金をあたえるというメールを配布した男が逮捕されたらしい。人に尊厳死を与えるのはダメだけど、それを求めた奴を殺すのはオッケー、という理論が実に単純で微笑ましい。

また彼女の両親は彼女が発した(とされる)「アー」と「ワー」という声は「I want to live」という意味だと主張し、最後まで戦い抜く気でいるとか。「アー」と「ワー」。

植物状態の人間はどこまで意思があるのか、というのが今回の件の抱える大きな問題だけど、天下のフォックス・ニュースは(自称)超能力者を持ち出してきて「彼女には我々のしてることが理解できるんです…」なんて言わせていた。ここまでくると何でもありの世界だよな。「ミリオンダラー・ベイビー」(ちょっと似たテーマを持つ)が現在公開されていたらどんな反響を呼んでいたろう。

MILLIONS

ダニー・ボイル監督の最新作「MILLIONS」を観る。「トレインスポッティング」や「28日後」などのキワモノ的作品も撮っているボイルだが、今回の作品は非常にストレートで心暖まる家族向け映画になっている。

舞台となるのはイギリスのとある住宅地。母親を亡くし、父親とともに引っ越してきたアンソニーとダミアンの幼い兄弟はすぐに新しい家に夢中になる。そしてダミアンは家の裏にある線路の横に段ボールの家をつくり空想にふけるが、ある日突然そこに大金の入ったボストンバッグが降ってくる。親や警察に伝えればお金が没収されてしまうと考えた彼とアンソニーは大金を自分たちで使うことにするのだが、やがて英ポンドがユーロに切り替えられ、彼らのお金が使えなくなる日が近づいてくる…というのが大まかなストーリー。無垢な兄弟(特にダミアン)が大金を手にしたとき、彼らはどのようなことに使っていくのかという光景を、社会風刺などは殆ど絡めずに率直に描いていっている。ダミアンはキリスト教の聖人にやたら詳しいという設定だが特に宗教色が強いわけでもなく、むしろ彼の前に実際に登場する聖人たちが非常に人間くさく、話に笑いを沿えている。
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DAVID BORING

今さらながらダニエル・クロウズの「DAVID BORING」を読む。オルタネイティヴ系のコミックによくあるアンニュイの物語かと思ってたら全然違った。むしろミステリー仕立ての内容になっており、主人公がいつのまにか不可解な出来事に巻き込まれていくさまや、父親の描いたコミックを通じて彼の考えていたことを探ろうとする描写などはポール・オースターの小説に非常に似ているものを感じた。映画的な作品だという批評もあるようだけど、必ずしも多くないページ数でシンプルなスタイルをとりつつ、何層ものストーリーを重ね合わせていく技法はコミックならでのものだろう。2000年に出版されたものだが、細菌テロに怯える人々の姿が描かれているのも興味深い。

文句があるとすれば、主人公がサエない若者なのに次々と仕事やガールフレンドを見つけてくことかな。あくまでも個人的な経験に照らし合わせた不満ですが。