レコード屋探訪

久しぶりに何の用事もない平日だったので、あまり行ったことのなかったBloor通り西側をぶらつく。コリアンタウンがある区域だが、あそこのスーパーマーケットはチャイナタウンよりも日本人向けの食材が多いことを再認識。でも納豆のパックやサンマの缶詰に3ドルも払う気はないぞ。日本じゃ100円で買ってたザーサイのパックが4ドルってなんだバカヤロー。

あとレコード屋もいくつか並んでいて、LPレコードの山をいろいろ物色してみる。ショボいアルバムでもLPで見るとひどく格好よく見えるのは何故なんだろう。最近(?)は高音質のLPレコードとして「180 gram」とかいう仕様のものが作られてるそうだ。どのくらい音が良いものなんだろう。アニマルス・ザット・スイムのCDとかギャラクシー500のDVDとか、それなりに欲しい品を発見。これで税金さえなければ即買いなんだけど…。

MASSIVE CHANGE: The Future of Global Design

ここ最近のトロントは雪があまり降らず、快晴が続いているのだけど風がずいぶん吹いてるのでえらく寒く感じられる。帽子をしてないと耳がちぎれそうなくらい寒い。そんななか、新しい展示が始まるということで久しぶりに美術館(Art Gallery of Ontario)にボランティアに行って来た。

今回の展示は「MASSIVE CHANGE: The Future of Global Design」というもので、文章ではとても説明しにくいのだが、現在の人類や地球環境が抱えている問題を提示したうえで、最新のテクノロジーや経済体制の変化がいかに巨大な変革(Massive Change)をもたらしうるかを説明していくという野心的なもの。作家ブルース・スターリングや発明家ディーン・ケイメンの発想などをもとに、トロント在住のブルース・マウというアーティストが企画したもので、バンクーバーで展示が行われた際は大きな話題になったらしい。美術というよりも科学に重きをおいた展示で、ロンドンの科学博物館なんかの展示を彷彿させるものがあった。

今日は美術館のメンバー用のオープニングということで客がとても少なく、おかげで長い休憩をとって展示をゆっくり見ることができた。前回のモジリアーニ展の倍以上あるようなスペースに様々なテクノロジーやデータを表示し、21世紀の人類が迎える(であろう)巨大な変革を語ろうとする壮大さにはただ圧倒される。文字情報が多いので、全部きっちりと見て回るには2時間くらいかかるかな。テクノロジーの進化の一例としてセグウェイのプロトタイプや、アップルのニュートンなどが展示されてたのが個人的には嬉しかった。あとジャガイモやトウモロコシでできた食器類も展示されてたが、あれって実際に見るとプラスチックのものとまるで見分けがつかないくらい出来がいい。

最近漠然と考えていることだけど、もしかしたら現在の人類は(環境汚染や資源の枯渇などを考慮すると)文化的繁栄の頂点にいるかもしれないわけで、果たしてこれからも人類が繁栄していくことができるのか、あるいは世界的なカタストロフィに直面することになるのかを考えさせられる展示になっている。5月末まで展示予定。

サイドウェイ

 アレキサンダー・ペイン監督の前々作「ハイスクール白書」はその過激な内容が結構好きだったが、世間一般では高い評価を受けた前作「アバウト・シュミット」がちょっと個人的なツボにはまらなかったので(悪い作品じゃないけど)、「サイドウェイ」を観るのはちょっと敬遠していた。しかしあまりに世間が絶賛してアカデミー賞まで穫ってしまったものだから、どんな映画なんだろうかと興味本位で観に行ってきた次第である。いかにも「アカデミー好み」といったら語弊があるかもしれないけど、全体的に非常に手堅い出来の優れた作品だった。

ストーリーは売れない作家でワイン通の主人公が、友人で1週間後に結婚を控えた落ち目の俳優とともにカリフォルニアのワイン産地へ旅行に行き、そこで2人はそれぞれ女性と恋に落ちる、という簡素なもの。いわゆるロード・トリップものの形式をとっていて、主人公が気落ちしているところなんかは「アバウト・シュミット」に通じるものがあるかもしれない。

必ずしもメリハリのきいた展開はないものの、役者たちの演技や台詞がとても自然体なので冗長に感じることなく素直に楽しめる内容になっている。こういったペースをもった作品は劇場で観ないとダメですね。テレビで観たら気が散ってえらく退屈に感じられるんじゃないだろうか。男女間の会話(特に主人公とその相手役)なんかも非常に飾り気のない、共感の持てるものになっていた。登場人物の心情が巧妙に描写されているので、ありきたりの会話をしているシーンでも人間関係が深まっていくさまがよく分かるのが見事。特にレストランでのモンタージュが良かった。たぶん制作側は中年を目前にした人々(登場人物の大半がバツイチ)の滑稽かつ切ない姿を描きたかったのだろうけど、若い人が観ても十分楽しめる内容になっていると思う。

あと話にアクセントを加えてるのがワインに関するウンチク話で、主人公がワイナリーなどでワインの特徴をクドクドと説明していく場面が随所で出てくる。個人的にはワインがあまり好きではない(そしてワイン通ぶってる連中は大嫌い)ものの、あれは観ていてなかなか楽しかった。あまりにもワインについて説明されるので、まるで社会科の教育用ビデオ(静岡のお茶の特徴について延々と説明するようなやつ)を見せられてるような気分にもなったけど。実際この映画でピノ・ノワールが褒められたおかげで、あのワインの消費量がずいぶん上がったとか。

観れば人生が変わるような作品では決してないが、洗練された自然なストーリーが優れた小品。「ハイスクール白書」の頃とは作品のスタイルが随分変わったよなあ。欠点を挙げるとすれば、ラストがあまりにも「シュミット」に似ていることか。悪い終わり方じゃないけど。あと俺の好きなバンド「ルナ」の曲がうまく使われてるのが嬉しかった。

ちなみに俳優の恋人役のサンドラ・オー(カナダ人)って、監督の奥さんだったんですね。まるで知らなかった。

英仏に1日以上滞在で献血中止

1日とはこれまた極端な。ヒンズー教徒とかベジタリアンにとってはいい迷惑かもしらない。この調子でいくといずれ「英仏に1日以上滞在で入国禁止」とかになって、帰国できなくなる日が来るかも。あるいは輸血用血液が極端に足りなくなり、輸血が保険外治療になるとか。

こちらカナダでも狂牛病のおかげで牛肉がアメリカに輸出できなくなり、小さな業者なんかはずいぶん弱ってるとか。俺はそんなのを横目に普通に牛肉を食べてますが。飼料に何を混ぜてるか分かりやしないブタの肉よりも安全かと思うのだが、どうなんだろう。