マンガ教室

本日提出の課題をどうにか終わらせ、マンガ教室へ。「D」を取った前回の課題よりかはマシなのものが出来たと思うのだが、「どうもボリュームがないね…」とサラッと言われてしまう。残念。それからまた次の課題を渡される。どうも俺の成長曲線を超えたスピードで授業が進んでいるような気がする。 クラスの後は大学の近くにある家にパソコンのモニターを受け取りに行く。大家が欲しがっていたので、日本人用の売買掲示板で見つけたのだ。売り手は国際結婚をした日本人の女性で、液晶モニターを買ったので古いのを放出したのだとか。17インチのやつなのでとにかく重く、バス停まで担いでいったら腕がやたら痛くなった。

映画教室

夜は映画教室へ。映画製作における、プロデューサーや監督の役割分担などについて説明をうける。日本だと監督がやけに崇拝されるような風潮があるけど、脚本とプロデューサーと監督のバランスがうまくとれてた方がいい作品ができると思うんだが。 後半は以前にも見た「Project Greenlight」の続きを見せられる。初めて映画を撮影することになった監督のドキュメンタリー・シリーズだが、とにかく絵に描いたようなトラブル続きで、周囲のスタッフのストレスがどんどん上がっていくのが見てて楽しい。新人監督にそれなりの予算の作品を撮らせてはいけないという、いい見本なんじゃないだろうか。

スーパーボウル

今日は(アメリカ)国民にとっての大イベント、スーパーボウルが開催されるということで、朝からスポーツ局やニュース局はその話でもちきりである。個人的にはアメフトに興味ないが、最中に流れるCMやハーフタイム・ショーを見てみたかったのでテレビで観戦してみたが…。 つまらん。やっぱりアメフトはすぐ試合が中断されるのが面白くないと思う。しかも幸か不幸か大接戦だったのでなかなか点が入らず、見ていてどうも退屈になってしまった。しかも期待していたCMは全部カナダの平凡なものに取り替えられてしまっていた。当然といえば当然のことだが、ブッシュの演説などは平気でそのまま流してんだから、CMだってアメリカのやつを流したってバチは当たるめいに。

それでもってハーフタイム・ショーのスターはポール・マッカートニー。去年のジャネット・ジャクソン事件の反動もあるのだろうけど、ビートルズ時代の曲を淡々と演奏してくだけで、かなり面白みに欠ける内容だった。レノン様も草葉の陰で嘆いております。

まあこんな内容のスーパーボウルだけど、そのあと同じチャンネルでやってた「シンプソンズ」の内容もヒドかった。かつてはスプリングフィールドという日常空間で天才的な小ネタを繰り出す番組だったのに、今となってはどんどん舞台が非日常的なものになっていってしまっている。今回はタイムリーにも、ホーマーがハーフタイム・ショーの内容を考えるというもの。これだけでもダメなのに、全然タイムリーじゃない「パッション・オブ・クライスト」のパロディなんか入れてくるものだから非常につまらない話になってしまっている。かつては世界一の番組だったんだけどなあ。

THE NOMI SONG

ニューウェーブ時代の鬼才オペラ・ロック・シンガー、クラウス・ノミの伝記映画「THE NOMI SONG」のトレーラーが公開されている。えらく面白そうだ。
「エイズが世界的に有名になる前にエイズで死んだ」という理由だけで日本のサブカルかぶれの連中の格好のネタにされてるような人だが、その実像は非常に天才的な人だったのではないだろうか。俺もそんなに詳しくないんで偉そうなこと言えないけど。カナダでは公開されるのだろうか。

エキストラ体験記 その2

エキストラの仕事が入ったので、朝っぱらからダウンタウンへ向かう。今日は「Queer As Folk」という、ゲイの少年たちが主人公のテレビシリーズの撮影だとか。イギリスのドラマをリメイクした作品ですね。撮影現場はMississaugaという、ちょっと郊外に行ったところにある(東京でいえば晴海くらいのところ)ので、ダウンタウンからシャトルバスが用意されていた。ちょっとキワどい内容の番組だけれど、用意されていたのは児童用の普通のスクールバスだったりする。

バスに揺られて30分ほどで撮影現場につくと、既に多くのスタッフやエキストラが集合していた。前回参加した「TILT」に比べて建物がずいぶん小さかったことから、またバスに乗って別の現場に行くのではないかという噂もあったけど、結局のところそこの建物にあるセットで撮影が行われることに。もちろん撮影の前に衣装チェックやメークなどがあったけど、個人的には2回目ということでずいぶんリラックスして撮影を待つことが出来た。撮影されるシーンは「ゲイやレズビアンを弾圧する法案に反対するためのチャリティー・パーティー」ということで、エキストラは皆きらびやかな衣装を用意するよう求められたのだけど、俺はスポーツジャケットと黒のジーンズという、前回とまったく同じ衣装を用意してったらOKをもらった。でもたまにはセットに用意されてる衣装を着てみたい気もする。それから列に並んでメーク室へ。前回と違ってそれぞれのエキストラに入念なヘアメークをしていたので、これだけに1時間くらいかかったような気がする。俺はクセっ毛をヘアアイロンで直された後、たっぷりスプレーをかけられ、普通に髪をおさえられて一丁上がり。もっと過激なスタイルを期待してたんだが。 衣装と髪型の準備が終わり、いざ撮影開始となった段階で正午をまわっていたと思う。楽屋のすぐ横にあるセットは(前回に比べれば)比較的小さく、20mX30mくらいの屋内にパーティー会場とステージのセットが用意されていた。エキストラは各自ドリンクを持たされ、キャストを囲むような形で配置されたので、前回よりもキャストを間近で見ることができたのだけど、知ってる俳優がいないので誰がエキストラで誰がキャストなのかよく分からないのが残念。主人公の母親役は「キングダム・ホスピタル」に出てた人だとか。俺の横にいた人が「あなたのファンで、「キングダム」も見ましたよ」と言ったら、「あら、あんな番組見てくれたの??」といった感じで驚いていた。まあ視聴率悪かったからね。この時点になると今日の撮影の詳細が噂話となって伝わってきたのだが、要するに前半はパーティーの撮影を行い、それから特別ゲストとしてシンディ・ローパーが登場(おお!)、その後になって過激派の仕掛けた爆弾によりクラブが爆発する...という冗談のような展開になるらしい。血のりなどを使った(病院の?)シーンが2日前に既に撮影されているので、爆弾の話は本当らしい。セットに爆薬とか持ち込んで、派手にドカーンとやってくれるのだろうか。

さて肝心の撮影だが、キャストが会話する後ろで愉快そうにパーティーを楽しんでる「ふり」をするのがエキストラの仕事。当然セリフのジャマをしてはいけないので声を出さず、ただ幸せそうに「語り」あい、満面の笑みを浮かべる作業を何テイクも繰り返す。文章にするとバカみたいだが、何回もやるとそれなりに面白くなってくる。キャストが入場してくるシーンなどはステディカムが彼らの前後を歩くので、エキストラはうまくカメラから逃れなくてはならない。ステディカムがやたら重いことは事前に知っていたが、実物を目の当たりにすると本当に重そうだ。腰が相当やられるだろう。ちなみに今日の撮影は基本的にHD。日本ではBS民放が見事にコケたけど、北米(および欧州)ではテレビのデジタル化が着々と進んでいる。
パーティーの撮影のシーンのあとは、イベントの司会者の登場シーン。ここでもまた彼のセリフのジャマをしないように、エキストラは彼のジョークに笑ったり、拍手をしたりする「ふり」をする。たまに誰かがグラスを落として割ったりすると会場のテンションが一気に下がるので、そのたんびに助監督とかが大声で皆を黙らせて、どうにかいいテイクを撮ろうと奮闘する。撮影現場ってやはり体力勝負だよなと実感。立食パーティーという設定なので、エキストラも1日中立ちっぱなしで足が相当疲れた。

ちょっと休憩などをはさみながら撮影は夕方まで続き、それからすぐ近くの食堂まで行って食事をあてがわれる。当然のことながら高級な食事は俳優組合員に回され、エキストラはそれなりに質素なメニューに。タダ飯だから文句は言わんが。こういうところで飯を食うと分かるけど、カナダの主食はパスタである。日本のコメ、イギリスのイモと同じように、どんな料理でもサイドメニューとしてパスタが出てくる。今日のメニューはフジッリとラザニアというダブルパンチなのには閉口したが。

食後にしばらく休憩したあと、いよいよシンディ・ローパーとの撮影シーンへ。パーティーの趣向にふさわしく、革パンツ一丁のオニーサン2人が鎖をからめて踊るなか、宝箱から登場する、という演出になっていた。しかしオニーサン2人のダンスの調子がなかなか合わず、何テイクか取り直しになる。取り直してるあいだ彼女はずっと箱の中にいたんだろうか。そしていよいよ、観客の期待が最高に高まったところで彼女が箱を開けて登場!それまで彼女の姿をエキストラに見せないなんて、製作側も粋な演出をやってくれる。拘束着(の小道具)を着けて箱から飛び出した彼女が拘束着をパッと投げ捨てると、上半身はスーツっぽい衣装で下はレオタードとストッキングという格好になっていた。そしてそのままクルクル踊りながら歌いだす!すげーカッコいい!とても50代のオバサンとは思えない。もうエキストラである立場を忘れて、純粋に観客として楽しんでしまった。顔は厚化粧だったとはいえ昔テレビとかで見てた雰囲気そのままだったし、歌声も艶があって年齢をまるで感じさせないパフォーマンスになっていたと思う。ただ手には血管が浮き出ていて、それなりに年寄りの手になっていたのが気になったけど。あと予想以上に背が小さかったりする。やたら「ain’t」を連発する口調(クイーンズ訛りらしい)もイカしてた。
パフォーマンスが終わったところでまた拍手喝采。エキストラ連中が少しおとなしかったのを気にしてか、「うちのダンナも俳優だから状況は分かるけど、恐れないでもっと熱狂していってね。私も口パクはしないで生で歌うから、ライブの雰囲気を出したいの」みたいなことを言ってくれた。すげーいい人。様々なアングルから撮影する必要があったので10回くらいはテイクがあったと思うけど、毎回きちんと歌って踊って皆を楽しませてくれました。真夜中をまわったころにはさすがに疲れを見せていたけれど、きちんと最後まで仕事をしていったのはプロの根性すね。最後は握手もしてもらえた。これだけで仕事に来た甲斐があるというもの。

それでもって次はいよいよクラブの爆破シーン。派手な爆発でもやってくれるのかと思ったら、単にクラブの片隅に巨大なライトを設置し、ライトが光ると同時に観客が振り返る、というテイクを何度も繰り返しただけだった。まあさすがに火薬とかを設置するとコストも半端じゃなくなるんだろうけど。登場人物の一人がドリンクを取りに行くと同時に爆発が起こり、それから2日前に収録した血みどろのシーンにつながっていくらしい。観たことのない番組だけど、結構シリアスな内容なのか。

そして朝の2時をまわったところで本日の撮影は終了。朝から晩まで16時間ほど働いた計算になる。皆様お疲れさまでした。前回も書いたと思うけど、スタッフの人たちはエキストラよりも早い時間に来て遅い時間に帰るわけで、しかもその仕事量といったらエキストラの何倍にも相当する。しかも今日撮影されたシーンなんて1エピソードのほんの1部分なわけで、こんな作業を毎日のように行っているわけだ。その活力には頭が下がるばかりである。日本のドラマの撮影風景は見たことないけど、まさかここまで力入れてないよなあ。こっちで映画やテレビの勉強をすればするほど、日本の同業種で働く気持ちが薄れていくような気がする。