PRIMER

近所の2番館に「Primer」を観に行く。ちょうど1年前のサンダンスで賞を穫った低予算作品で、ずいぶんっ評判が良かったので期待してたのだが…

1994年のサンダンスで賞を穫って話題になった超低予算のSF風スリラー。監督/主演/編集/脚本/作曲/その他を兼ねたシェーン・カルースはエンジニアをしながら自力で映画製作を学び、この映画の成功により一躍時の人になってしまった。いわゆる「知的なSF映画」ということで批評家たちに絶賛された作品なので、かなり期待してたんだが…。

結論から言うと、「何が何だか分からなかった」です。低予算映画ということで録音の状況も悪いし、役者は一人を除き素人ばかりなのでセリフが何言ってるか聞きづらいし、ストーリーもずいぶん抽象的(意図的に欠落してる箇所がやたら多い)ので、話についていくのに一苦労だった。家に戻ってネットで調べて、やっと内容が理解できるという次第。もちろんこれは映画の出来というよりも、俺の英語力や理解力に問題があるわけだが。

それでストーリーはどういうものかと言うと、エンジニア2人が偶然にも過去に戻れるタイムマシン(基本的には大きな「箱」で、その中で過ごした時間分だけ過去に戻れるというもの)を作ってしまい、それを使って過去に戻ったりしてるうちに2人の間に軋轢が生じてきて…といったもの。内容的には「トワイライト・ゾーン」や「藤子不二雄SF短編集」にノリは近い、と思う。
タイムマシンもののお約束として「いまの自分」と「昨日の自分」が登場したり、「こういう出来事があったんだけど、過去に戻ってこう修正した」というような展開が起きるうちに時間軸や登場人物がずいぶんゴチャゴチャになってきて、話がやたら分からなくなっていくのが難点か。ただ最初は簡単な機械を作ったつもりが、それがタイムマシンであることが分かり、興味本位で実験しているうちに奇妙な出来事が身辺で起きてくる…という展開のスリルは十分に味わえた。

低予算作品だけど最近流行りのデジタル撮影ではなく16ミリを使い、ザラついた映像を効果的に出しているのは「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」に似ているかな。友人と一緒に過去に戻った人物が、実はその友人が自分よりもさらに過去へ戻っていたことを知り、愕然とするシーンは印象的だ。理系のアイデアの勝利、といったところでしょうか。日本の高校を舞台にリメイクしたら面白いかもしれない。もうちょっと分かり易くてもいいような気もするが。

猛吹雪

朝から猛吹雪で大変。こんな日に限ってボランティアの仕事があるので外出したら、10メートル先も見えないような状況だった。よって路面電車の運行も遅れに遅れ、寒い中を30分近く待たされる羽目になる。やはり地下鉄が通ってる地区に引っ越そうかと本気で考えてしまう。

美術館には1時間近く遅れて到着したが、天候のせいか最後の週末なのに客数はずいぶん少なく、仕事自体はかなり楽だった。それでも特別に夜の12時まで開場するんだとか。そんな遅くに客は来るのかね。

帰りは腹が減ったのでスタンドでホット・ドッグを買い、素手で食べてたら手が凍傷寸前になる。それほど寒い一日だった。ちなみにこっちのホットドッグはタマネギやソースなどのトッピングはセルフサービスで勝手に乗せて食べるのだが、それら一式がスタンドの外側においてあるので、タマネギなんかはカチカチに凍っている場合が多い。あれってどうにかならないものか。

図書館

基本的に1日中仕事をしてたが、午前中にジムへ行ったついでに、やっと改築が終わって再オープンした近所の図書館に行ってみる。トロントに来た時からずっと改築してたので、中を見るのは今回が初めてである。

建物自体は少し大きな家を図書館に改造したような雰囲気で、中は狭いものの本はそれなりに揃っている。コミックスも置いてあるのがうれしい。DVDも貸し出しをしているので、ジョン・ランディスのドキュメンタリー「SLASHER」を早速借りてくる。でも最近は仕事が忙しすぎて、DVDを観てるヒマがないのだが。コメンタリーとか特典がわんさか付いてるDVDって、観るのにやたら時間がかかるよなあ。

Bloor x Yonge

相変わらず仕事が忙しいが、ちょっと時間をつくって久しぶりにダウンタウン北部のブロアー通りとヨング通りの交差点あたりをぶらつく。一応トロントの中でも高級な店が並んでいるとされるエリアである。もっともニューヨークや銀座などにくらべれば無味な印象は否めない。そこでふと気づいたのが、日本人の観光客らしい人たちが他のエリアに比べて多いなあということ。海外旅行の目的がショッピングだという人は沢山いるはずだから別に不思議ではないのだけど、真冬にトロントへ観光に来る人ってどのくらいいるのだろう。

FF

「ファンタスティック・フォー(以下FF)」のトレーラーがウェブ上にアップされていた。ここ最近フォックスが力を入れているマーヴェル・コミックス原作のアクション映画だけど、スタン・リー&ジャック・カービィの黄金コンビが担当してた頃の作品群を読んで育った者としては、トレーラーを観る限り、あんなのFFじゃねえ、とつい思ってしまう。

今通っているマンガ教室のテキストがリーとジョン・ビュセマの「How To Draw Comics The Marvel Way」であることは以前にも書いたが、ちょうどこの本にドクター・ドゥーム(FFの宿敵)の良い描き方とダメな描き方が紹介されている。何が良い描き方なのかというと、実際のプロポーションよりも腕や足を強調して、重量感たっぷりに描くことで悪役らしい雰囲気が出てくるということらしい。そしてダメな例として挙げられている、ヒョロっとしたドゥームの姿が、今回の映画版ドゥームにやたら似ているのだ。ザ・シングもそうだけど、何だよあの着ぐるみのような格好は。

観てない映画をケナすことはしない主義だけど、FFというコミックは家族愛や正義感、センス・オブ・ワンダーといった要素が凝縮された作品であったわけで、ファンとしては軽々しく映画化してほしくないのである。ましてや「Mr.インクレディブル」(メンバーの特殊能力がよく似ている)がFFを見事に換骨奪胎してしまったので、今さら実写でやってもねえ…という気がして仕方がない。でも多分観に行くだろうけど。ちなみに今こちらでやってる「エレクトラ」は流石に観に行く気がしない。「デアデビル」で後悔した経験があるので<