セール

地球の裏側では数万人が死んでいるのに、ろくに報道しないCNNは何なんだろう。

クリスマス後のセールは今日も続いているので、いろいろ店を物色してくる。でもセールったって、ガラス細工とか大型家電が安くなっていても自分には何の関係もないわけで、ボディショップでセッケンを買う程度にとどまる。書店でJ・G・バラードの短編全集(!)が2割引きで売ってたのには興味を引かれたけど、ハードカバーでやたら重そうだったので購入せず。書籍は日本に帰ってからもアマゾンで頼めるので。こっちの書店はアート系のコーナーにもコミックス関連の本がたくさん置いてあって嬉しい。日本だとアメコミはまだまだ異端の存在だけど、こっちだとグラフィック・デザインの観点から解説した専門書なども出ているわけだ。ちなみに日本のマンガ関係の書籍もわんさかある。

その後は行きつけのDVDレンタルに行ってラルフ・バクシの「ウィザーズ」とドキュメンタリー「WEATHER UNDERGROUND」を借りてくる。ここ最近劇場で映画観てないなあ。

CNタワー

クリスマスの後はクリスマス商戦の後夜祭?のようなもので、どの店も一斉に出血覚悟のセールに入るのでダウンタウンは買い物客でごったがえしていた。とりあえず快晴だったので、トロントに来た直後に買ったCNタワーの入場券(期限が年末まで)を持ってCNタワーに行ってくる。ホリデーシーズンなのでここも人で一杯だった。高速エレベーターに乗って1分もたたないうちに地上346メートルの展望台へ。既にこの時点で東京タワーより高いわけだが、見晴らしは街並と湖がきれいだな、といった感じ。トロントは本当に真っ平らなので遠くに山々が見えるわけでもなし、まあ普通の光景じゃないでしょうか。薄く氷の張った湖が見れたのは面白かったけど。地上447メートルの展望台スカイポッドは入場に別料金がかかるし、入り口がえらく混雑していたので行かなかった。タワー下の特別ホールでは何故か映画のセット展をやっていて、「スパイダーマン」とか「ハリー・ポッター」の撮影に使われたセットが展示されていた。

それからダウンタウンへ買い物へ。ここ数日は積もった雪が溶けてヌカルミになっていたり、路面上に凍り付いていたりしているので、通りを歩くのにもスーパーマリオのごとくジャンプしたり腰にタメを入れてゆっくり歩いたりしなければならず、えらく疲れる。本格的な冬用のジャケットを買おうかと思って山岳用品の店に行くが、残念ながらお目立てのジャケットはすでに完売してしまっていた。もっと早く買っておけばよかったと後悔。女性用の同型モデルを買おうかな。

ボクシングデー

クリスマスの次の日はボクシングデーといって今日も休日。おまけに先日降った雪が消えてないのにまた雪が降るものだから、家から一歩も出なかった。
そんなわけでDVDで「トレッキーズ2」を観る。名前から分かるように、スタートレックの筋金入りのファンを追ったドキュメンタリー「トレッキーズ」の続編。背中にデカデカとエンタープライズ号の入れ墨をいれた大女とか、コスプレ姿でミサを行う司祭とか、カニの乗ったエンタープライズの写真を何枚もパラマウントに送りつけてくる謎のファンとか、今回も実にヤバそうな人が続々と出てくる。みんな楽しそうだからいいんじゃないでしょうか。あまり共感は出来ないけど。日本のコミケに集まるようなオタクと違うのは、年寄りや女性のファンも多いということかな。
前作は出演者や製作者から見たファンの感想が多かったけど、今回はファンの光景が延々と流されるような感じで、作品の構成自体には不満が残る。DVDの特典にはファンの作った自主制作映画が入ってるけど、最近はコンピュータが進歩したせいか特撮だけはとても立派だったりする。セットとか出演者の演技はショボすぎるのが問題だが。

夜は「シンプソンズ」の新エピソードを観る。相変わらずネタが尽きてんなーという感じだったけど、久々に観たせいか結構面白かった。トマス・ピンチョンがまた出ているのに驚く。もちろん声だけだけど。
そのあとフォックスの玄人受けコメディ「Arrested Development」を観た。日本でパイロットを観たときは面白いと思わなかったけど、改めて観てみたらすごく面白かった。30分コメディにしてはキャストやシーンの数がやたら多く、「シンプソンズ」がアニメでやったことを実写でやっているような感じ。おまけにヘンリー・ウィンクラーもゲストで出てた。ぜひ来週も観てみよう。

クリスマス

前日からの雪がたっぷり残っているので文字通りのホワイト・クリスマスになったのだけど、これだけ雪が積もってるとうっとおしい気がする。
こちらのクリスマスは日本の正月のようなものなので店はみんな閉まってるし、やることもないのでスナックをつまみながらDVDをのんべんだらりと観たりしてた。

とりあえず観たのはジム・ジャームッシュの「コーヒー&シガレッツ」。モノクロのショート・クリップ集という、いかにもジャームッシュらしい作品なのだけれども、どのクリップも小綺麗にきまりすぎてて、観た後にはあまり何の感想も残っていなかったりする。2〜3人がコーヒーやタバコを味わいながら話をするだけ、というシンプルな設定なので役者の技量がストレートに出てしまっているのが特徴か。そういう意味ではホワイト・ストライプスの2人が出たやつが一番ダメで、アルフレッド・モリーナとスティーブ・クーガンのクリップが一番面白かった。サクッと観れる映画としてはいいんじゃないでしょうか。

エターナル・サンシャイン

監督ミシェル・ゴンドリー&脚本チャーリー・カウフマンという、「ヒューマン・ネイチュア」のコンビによる第2弾。何を書いてもネタバレになってしまうような物語構成なので内容についてはあまり詳しく書かないけれども、別れた恋人の記憶を消すために科学療法を受けることに同意した主人公が、消え行く記憶のなかで恋人がいかに大切な存在であったかに気づく、という意外なほどストレートなラブ・ストーリーになっている。

ただ厄介なのは物語の大半が主人公の頭の中で起きていることと、話の進行が時間通りになっていないため、一度観ただけでは話の全容がかなり分かりにくいようになっていることで、もちろんこれがこの作品の特徴なのだけれども、2人の「最初の出会い」が2度起きたりするので、ずいぶん頭がこんがらがってくると思う。

主人公を演じるジム・キャリーは今までのイメージと違う、やつれた雰囲気が出ていてなかなかの好演。でも恋人役のケイト・ウインスレットが個人的にはどうもダメなんだよなあ。演技は上手だと思うけど、恋する女性というよりもえらくタフな女性に見えてしまうのは俺だけだろうか。バカそうで実は…のキルステン・ダンストの役回りが良かった。

カウフマンはその昔、フィリップ・K・ディックの小説「暗闇のスキャナー」の脚本を書いた経験があるそうだけど(現在リチャード・リンクレイターが撮影中なのは別の脚本)、消え行く記憶のなかで自分のアイデンティティを求める主人公の遍歴はディックっぽいと思えなくもない。玄人筋の受けはかなり良い作品(imdbでは歴代33位にランクされてる)だけど、やはり話が難解なので日本でのウケはどのくらいのものか。