「The Dark Knight」新トレーラー


やはりハーヴェイ・デントはこの作品中にツーフェイスになるのか。バットマン対ジョーカーの図式に彼がどうやって関わってくるのか不明だが、とりあえず期待できそう。

アメコミ映画といえば「アイアンマン」が記録的な大ヒットになったそうな。早くも続編製作が決定し、マーヴェルはほかにも「ソー」や「アヴェンジャーズ」などの作品を次々と製作するらしい。アメコミ映画というと、やれ幼稚だの一時的な流行だのと言う輩がいるけど、その流行は「Xメン」から8年も続いているわけだし、前にも書いたように製作側がきちんと原作の良さを理解していれば優れた作品がいくらでも出来ると思うんだけどね。そりゃ「コンスタンティン」や「デアデビル」みたいな駄作もあるけどさ。

そういえばグラント・モリソンの生物兵器ドラマ「WE3」の映画化の話はどうなったんだろう。

「スーパーマン」は誰のもの?


実はこないだアメコミ業界では衝撃的な出来事があって、それが大きな反響を呼んでいるわけだが、著作権法などの難しい法律に関わる事柄なのでいろんな記事を読んでみてもいまいち全体像が見えてこなかったりもする。とりあえず俺が理解してる点を挙げると:

1、今からちょうど70年前、ジェリー・シーゲルとジョー・シュスターという2人の少年が、彼らの創作した「スーパーマン」というコミックのキャラクターの権利をDCコミックスに130ドルで売り渡した。

2、「スーパーマン」は大ヒット作品となり、今日にいたるまでDCコミックスと親会社のワーナー・ブラザーズに膨大な富をもたらした。その一方でシーゲルとシュスターはその富の分け前をもらうことができず、70年代になってやっと功績が認められてDCから年金をもらえるようになった。

3、それでも彼らが受けた扱いは不当なものであるとして、シーゲルの遺族がスーパーマンの著作権を求めて訴訟をおこしたところ、少なくとも著作権の一部はシーゲルに属する、という判決がこないだ下された。

これの何が衝撃的かというと、アメコミのキャラクターの著作権というのは誰が創作しようとも、ライターやアーティストといった創作者ではなく出版社に属するのが一般的であり、特に30年代から60年代あたりのアメコミ作家たちは自分たちが創作したキャラクターを出版社に奪われ、搾取されていたと言っても過言ではない。それが今回、少なくとも著作権の一部は創作者にあるんですよ、という判決が出たのが画期的だというわけ。

逆にDCコミックスやワーナーは著作権の一部を失うわけだから上告するかもしれないわけで、たぶん著作権をめぐるドロドロした争いは今後も続くんだろう。数年後にはシュスターの遺族も訴訟を起こす権利が持てるらしいし、これとは別に「スーパーボーイ」の著作権をめぐる争いも起きているようだ。

個人的には今回の件については2つの意見があって、1つはまず作家たちの功績が認められたことは非常に喜ばしいことであり、今後も例えばジャック・カービーやガードナー・フォックスといった偉人たちの功績が認められるようになればいいかなと。あとボブ・ケインが不当にも独り占めしていた「バットマンの創作者」という肩書きがビル・フィンガーやジェリー・ロビンソンとかにも与えられることにならないかな。

ただしその反面で思うのは、この判決によってDCやワーナーがスーパーマンの使用に消極的になって、コミックや映画の製作を行わなくなり、結局のところ我々消費者が損をするのではないかという事。実際に「スーパーボーイ」は訴訟の影響でDCユニバースから消えてしまったからね。「スーパーマン・リターンズ」の続編も製作中止になったら嫌だな。

あとこれと関連して思い出したのが、日本でも話題になっている著作権の保護期間。NYタイムズの記事によるとスーパーマンの著作権は少なくとも2033年まで保護されるみたいだけど、そんなに長い保護期間って本当に必要なのか?作家が自分の創作物に対して印税を受け取る、という仕組みには何の異論もないけど、なぜ作家の孫や曾孫までがその恩恵を受けなくてはならないのかは理解できないのです。

「The Mindscape of Alan Moore」鑑賞

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こないだ「AVクラブ」でもその経歴が詳しく紹介されたアメコミ界の異端児、アラン・ムーアに関するドキュメンタリー「The Mindscape of Alan Moore」を観た。

ノーザンプトンの貧しい地区で生まれ育ち、現実からの逃避の術としてアメリカの・コミックに夢中になったムーアは、学校から追い出されたあとコミック作家になることを決意し、「2000AD」誌で作品を執筆するようになる。そしてDCコミックスにスカウトされて「スワンプ・シング」でアメリカデビューを果たし、代表作「ウォッチメン」を完成させることになる。これに合わせてムーアのスーパーヒーローやファシズムに関する考えが彼自身によって語られていくわけだが、実はコミックについていろいろ語られるのはドキュメンタリーの途中までで、後半は例によって異様にディープな魔法の概念が語られる展開になっていく。

ムーアによると魔法というのはつまり「アート」であり、言葉や絵などを用いて人の意識に変化をもたらすものなんだそうな。そこから人の意識について焦点があてられ、「シェルドレイクの仮説」に象徴されるような、人の意識が共有される次元についての解説がされていく。この世界の根本にあるものは「情報」であり、すべては情報の派生物だという考えも説かれるが、これってシュタイナーのアカシック・レコードの概念のようなものなんだろうか。人々がある一定の情報を蓄積する時間は加速的に短くなっており、2015年頃にはそれまで人間が蓄積した情報量の2倍の量を1000分の1秒で蓄積することになるだろうという話は興味深い。

この他にも陰謀論(の否定)とか、単一神教の害悪とか、言語における時間の概念などさまざまな事柄が語られていく。これを大きな啓示ととらえるか、単なるキチガイの妄言ととらえるかは観る人の勝手だろうけど、個人的にはなかなか面白かった。でもあと3回くらい観ないと、彼の言ってることは十分に理解できそうにないなあ。

「ウォッチメン」キャスト写真

公式サイトで公開されてた。ドクター・マンハッタンがいないな。原作では「コスプレした人たち」という印象が強かったのに対し、映画ではよりフォトジェニックな出来になってるのはまあ仕方ないか。でもオジマンディアスの格好は違和感あり:

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彼って原作だともっと気品があって、衣装もきらびやかな感じがあるんだけどね。もっとも性格が複雑なキャラの一人であるエイドリアン・ファイトをきちんと映像化することは相当難しいぞ。

「THE BOYS」映画化か

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ガース・エニス&ダリック・ロバートソンのお下劣コミック「THE BOYS」の映画化権をコロンビアが買ったんだとか。まあ「映画化権が買われた」というのと「映画が製作される」というのはかなり違う次元の話だから本当に映像化されるのかはまるで分かりませんが。エニスの「プリーチャー」もHBOでシリーズ化されると言われながら何年も経ってるし。

エニスのコミックって出来の良し悪しの差が激しくて、男たちの絆を描いた傑作(「プリーチャー」)から単なる下ネタ話(ええと…「THE BOYS」)までムラがあるわけで、実際この「THE BOYS」はワイルドストームが一度連載を打ち切ってるんだよね。そもそも18禁ネタ満載の作品なので、映画化されるのならかなり修正が加わりそうで心配。

あとサイモン・ペグをモデルにしたキャラクターがいるんだが、映画ではやはりペグ本人が演じるんだろうか。