フランク・ミラーの次の監督作

コミック・ファンのあいだでは定説となりつつある話として、「フランク・ミラーはここ10年のあいだ、徐々にしかし確実に正気を失いつつある」というのがありまして、これは例えば「シン・シティ」の「THE HARD GOODBYE」と「TO HELL AND BACK」、もしくは「ダークナイト・リターンズ」と「DK2」を読み比べてみたり、「ALL-STAR BATMAN AND ROBIN」を一瞥してみれば明らかなことなんだけれども、ここしばらくの作品はみんな話が大味になっていて、登場人物に深みが無いものになってるんだよね。911テロに精神的打撃を受けたことは本人も認めてるし、カラーリストのリン・ヴァーリィとも離婚したりして、まあいろいろあったのかもしれないけれど、昔はもっと業界で絶大なリスペクトを受ける作家だったんだがなあ。

でもその一方で「シン・シティ」と「300」という自身が原作者の映画がヒットしてしまったため、最近は映画業界の人になってしまった感があるのですが、その監督第一作である「THE SPIRIT」は公開前からボロクソに叩かれているらしい。これでもう映画監督としてのキャリアは無くなったかな、と思いきや次は「バック・ロジャース」の劇場版を監督するという話が伝わって来た。なぜ今になってバック・ロジャースなのか?ミラーのスタイルとは180度違う、明るくて未来的なコミックなのに…?「ミラー流の暗い話になる予定だ」なんて書かれてるけど、誰もバック・ロジャースにそんなもの期待してないぞ!とりあえずゴミ映画を作るのであれば、他人のコミックではなく自分の作品を映画化しましょうね。

ちなみに俺は70年代の「バック・ロジャース」のTVシリーズのオープニングが死ぬほど好きなのです:

こちらは「サウス・パーク」の良く出来たパロディ:

「レポマン」の続編

アレックス・コックスの傑作カルト映画「レポマン」(1984)の続編、その名も「REPO CHICK」の製作が始まるそうな。コックスって最近はロジャー・コーマンとつるんでたかと思いきや、こんな企画も進めてたのね。しかも製作がデビッド・リンチときては期待せずにはいられない。

ストーリーはクレジット・クランチやサブプライム・ローン問題が深刻化したアメリカにおいて、車だけでなく家や飛行機、さらには子供までをも対象にするレポ(未払い物件回収)業者を扱った、タイムリーな内容になるそうな。前作のSFチックな要素は無くなるのかな。個人的にはハリー・ディーン・スタントンさえ再登場してくれればそれで結構です。

「CORALINE」トレーラー


ニール・ゲイマンの小説(絵本?)が原作の映画「CORALINE」のトレーラーが挙っていた。結構面白そう。雰囲気が「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」に似てるな…と思ったら監督が同じ人なのか。サントラはゼイ・マイト・ビー・ジャイアンツが担当するらしいぞ。

最近はCGアニメの技術が発達したせいか、この作品のようなストップモーションのアニメとCGアニメの区別が一見しただけじゃ分からなくなりましたね。

「ジョナ・ヘックス」映画化へ

監督が降板することになったんだとか。ジョシュ・ブローリンが主演するという噂は聞いてたけど、監督が雇われるくらいの段階まで製作はすすんでたのか。

異形のガンマン、ジョナ・ヘックスはDCコミックスのウェスタン作品のなかでも特に有名なキャラクターで、日本ではまるで知られていないものの、そのハードボイルドな態度とタフな活躍が非常にカッコよくて俺のお気に入りなのです。今回の監督降板で脚本も書き直されることになったのなら、ぜひジョー・R・ランズデールに書いてもらいたいなあ。彼のジョナ・ヘックス作品「TWO GUN MOJO」はウェスタン・コミックの大傑作だと思っているので。