Mirromask

鬼才アメコミ画家(イギリス人だけど)デイヴィ・マッキーンが監督した映画「Mirromask」のトレーラーが公開されていた。公式サイトはこちら

脚本は例によってマッキーンの親友であるニール・ゲイマン。トレーラーを観た限りでは「ラビリンス」に近いような感じがする。ジム・ヘンソン・カンパニーが関わっているからだろうか?以前アップルのサイトでもこの映画とマッキーンのことが紹介されていて、ずいぶん低予算なので大変だった、みたいなコメントがあったけど、ぜひ成功してもらいたいものだ。

FF

「ファンタスティック・フォー(以下FF)」のトレーラーがウェブ上にアップされていた。ここ最近フォックスが力を入れているマーヴェル・コミックス原作のアクション映画だけど、スタン・リー&ジャック・カービィの黄金コンビが担当してた頃の作品群を読んで育った者としては、トレーラーを観る限り、あんなのFFじゃねえ、とつい思ってしまう。

今通っているマンガ教室のテキストがリーとジョン・ビュセマの「How To Draw Comics The Marvel Way」であることは以前にも書いたが、ちょうどこの本にドクター・ドゥーム(FFの宿敵)の良い描き方とダメな描き方が紹介されている。何が良い描き方なのかというと、実際のプロポーションよりも腕や足を強調して、重量感たっぷりに描くことで悪役らしい雰囲気が出てくるということらしい。そしてダメな例として挙げられている、ヒョロっとしたドゥームの姿が、今回の映画版ドゥームにやたら似ているのだ。ザ・シングもそうだけど、何だよあの着ぐるみのような格好は。

観てない映画をケナすことはしない主義だけど、FFというコミックは家族愛や正義感、センス・オブ・ワンダーといった要素が凝縮された作品であったわけで、ファンとしては軽々しく映画化してほしくないのである。ましてや「Mr.インクレディブル」(メンバーの特殊能力がよく似ている)がFFを見事に換骨奪胎してしまったので、今さら実写でやってもねえ…という気がして仕方がない。でも多分観に行くだろうけど。ちなみに今こちらでやってる「エレクトラ」は流石に観に行く気がしない。「デアデビル」で後悔した経験があるので<

映画業界事情

カナダの放送局CBCの報じるところによると、2004年にカナダでの映画撮影が大幅に減ったのを受けて、ケベックやオンタリオでは映画製作に対する免税率を上げてハリウッドからの仕事の誘致を狙うそうな。2005年は去年よりマシな年になるだろうとのコメントが載っているけど、そううまくいくものだろうか。

これと前後して、ニューヨークも映画製作に対する免税を行うというニュースが流れていた。国外への仕事の流出についてハリウッドはえらく過敏になっているから、もし免税後の製作費が同じくらいであればカナダはアメリカに比べて圧倒的に不利な立場にあるわけで、2005年もカナダの映画業界は苦しい状況に置かれるんじゃないだろうか。

こうした話を聞いていると、日本への映画撮影の誘致はまず不可能だということがよく分かってくる。物価は高いし、スタッフは英語を話さないし、撮影許可を得るにもお役所の面倒な手続きを通さないといけないし。「ラスト・サムライ」がニュージーランドで撮影されたのがいい例だろう。

ちなみにトロントではデビッド・クローネンバーグの次回作「A History Of Violence」の撮影が既に終了していたらしい。原作のコミックがかなり暴力的な作品で、それをクローネンバーグがどう映画化するのかに興味があったのだけど、撮影現場を見ることはもう無理になってしまったのか。

ウィザーズ

DVDでラルフ・バクシの「ウィザーズ」を鑑賞。結論から言うと明らかに失敗作で、アニメーションの出来も悪いしストーリーも十分に練れてないような気がするが、それでも興味深い作品であることには変わりない。あまりにもアンチクライマックスな最後の戦いには度肝を抜かれたけど。「指輪物語」でも多用していたロトスコープの映像がカッコいい。
ラルフ・バクシというとアングラなイメージがあるけど、この作品は大手スタジオの20世紀フォックスが配給したもの。その公開2週間後にフォックスが出した「スター・ウォーズ」が大ヒットしたため、「ウィザーズ」はヒットしていたにも関わらず上映館を次々と外されていったというバクシのコメントが涙を誘う。

This Is Spinal Tap

DVDで「スパイナル・タップ」を観る。欧米ではカルト的な人気を誇るドキュメンタリー風のコメディで、監督はロブ・ライナー(初監督作)だけど、その偽ドキュメンタリーのスタイルは主演のクリストファー・ゲストの後の作品(「ドッグ・ショウ」とか)にそのまま通じている。人気が落ち目のハードロック・バンド、スパイナル・タップのアメリカ・ツアーの光景を追ったというストーリーはシュールなジョークに溢れていて楽しい。あからさまなギャグに持っていかず、マヌケなんだけれども現実味のある内容になっているのが秀逸。
スパイナル・タップ自体はイギリスの70年代〜80年代初期のバンド(ブラック・サバスとか)をモデルにしているが、その自信過剰な言動や人気の衰え具合などは80年代後期に山ほど出てきて消えていったアメリカのメタル・バンドそのまんまなのが笑える。作品自体は1984年に公開だけど、ポイズンとかファースター・プッシーキャットとかいったバンドのドキュメンタリーと言っても通じるくらいのリアルさがあるんじゃないだろうか。最後に日本で新天地を求めるところなんか、本当によく出来ていると思う(王貞治のTシャツを着てライブをするラストには爆笑した)。なぜ日本ではまだDVDが出てないのだろう。絶対にウケると思うんだが。