初期XTC再び!B・アンドリュース×A・パートリッジ共演作完成

CD Journalの記事より。シュリークバックってまだやってたのか。まあバリー・アンドリュースのワンマン・バンドだから。彼のいた頃のXTCって彼のキーボードとアンディ・パートリッジのボーカル&ギターがもろに衝突しててあまり好きじゃないんだけど(良い曲もあるけどさ)、約27年ぶりの共演というのには興味をそそられるかな。スィンドンのパブでばったり再会した、とかいうパターンだったりして。 それにしてもパートリッジ先生、早くXTCの新譜を出してください。

「MIX TAPE: THE ART OF CASSETTE CULTURE」

こないだ序文(短縮版)をちょっと訳してみた、サーストン・ムーアが編集した本「MIX TAPE: THE ART OF CASSETTE CULTURE」を書店にて立ち読みする。カセットテープを模したハードカバーの中にミックス・テープの写真とかコラージュがベタベタ載せてあって、写真の隙間に文章がちょろっと書かれているという、まるで日本のサブカルチャー誌のような俺のもっとも嫌悪するデザインになってるのには幻滅した。 でもマイク・ワットとかジム・オルークとか、相変わらずの面々がミックス・テープについていろいろ論じてるので一読する価値はあるかと。ディーン・ウェアハムおよびデーモン&ナオミ(要するに元ギャラクシー500の人たち)が寄稿してたのが個人的には良かったかな。でもやはり一番面白いのはムーアの序文だったりする。

MUSICAL BATON

バンクーバーのchilcoさんのところから、ブロガー向けの音楽チェーンレター「Musical Baton」が廻ってきたので、以下の5つの質問に答えさせていただきます: 1)コンピュータに入ってる音楽ファイルの容量:

415曲で2.34GB。あまり多くないですね。

2)今聴いている曲:

「RIDE INTO THE SUN」 Velvet Underground
(インストゥルメンタル版)

3)最後に買った CD:

「SHINY BEAST / BAT CHAIN PULLER」 Captain Beefheart
(CDというかiTMSでアルバムを購入)

4)よく聴く、または特別な思い入れのある 5 曲:

「KING INK」 The Birthday Party
ニック・ケイヴのベストな曲ではないものの、一応このブログの名の由来なので。


「FLOAT ON」 Modest Mouse
2004年のベスト・シングル。


「FOURTH OF JULY」 Galaxie 500
映画もそうですが、ダメ男の物語というのは他人事と思えないのです。


「(WHITE MAN ) IN HAMMERSMITH PALACE」 The Clash
熱意とやるせなさが同時に感じられるような曲。


「SEE THOSE EYES」 Altered Images
80年代初期のポップバンド。子供の頃からなぜか好きな曲です。

5)バトンを渡す5名様 :
人付き合いが悪いもので…。すいません。ちょっと思いつきません。

The Best 90 Minutes of My Life

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ミックス・テープの文化について、ソニック・ユースのサーストン・ムーアによる非常にカッコいい文章がWIREDに掲載されていたので翻訳してみた。原文はこちら。パッパと訳したので、誤りがあったら指摘をお願いします。

「生涯最高の90分間」

ミックス・テープを作ってる人のことを俺が初めて聞いたのは1978年のことだった。「ロック評論家の親玉」ことロバート・クリスゴーが、彼の好きなクラッシュのレコードは自分で録音した、シングル盤のB面が全部収録されてるカセットテープだってヴィレッジ・ボイスに書いてたんだ。あることに俺は感銘を受けた:彼は友人にあげるために、そのテープを作ってたんだ。自分でクラッシュのベスト盤を作り、ロックンロールに対する自分の情熱の証しとして人に渡してたのさ。

あのころのテープデッキはターンテーブルくらいに価値があり、同じくらいにバカでかかった。でもその後ソニーはウォークマンを発売した。レコード会社は消費者がアルバムのカセット版を買うことを望んでたし、実際そうした連中もいた。でもさ、空のテープを買ってレコードから曲を録音した方がいいんじゃないか?もちろんウォークマンを持ってた連中はみんなそうしたさ。おかげですぐにレコードやカセットにはこんなステッカーが付けられるようになった:「警告!個人録音は音楽の敵です!」。これは音楽ダウンロードやCDのバーニングに対する、現在の音楽業界のパラノイアの奇妙な先駆けだった。

1980年頃には、メチャクチャ速い曲を録音する若いバンドが勃発してシーンを形成していた。マイナー・スレートやネガティブ・アプローチ、ネクロス、バタリオン・オブ・セインツ、アドレッシェンツ、シン34、ミートメン、アーバン・ウエィスト、ヴォイド、クルシファックス、ユース・ブリゲード、ザ・モブ、ギャング・グリーンとかね。俺は狂喜して、シングルが発売されるたびに全部買いあさっていった。ソーホーにあるレストランの皿洗いの身じゃロクな給料を稼いでなかったけど、あれらのレコードが欲しかったんだ!

そして買ったレコードを時間の面でもっと有効的に聞く必要があったことから、お気に入りの曲の入ったミックス・テープを作ればいいことに気づいた。こうして俺が思うに史上最高のハードコア・テープが誕生した。テープの片面に「H」、もう片面に「C」と書き込んだよ。そしてその晩、愛しのキムが寝静まったあと、俺はステレオのカセットプレイヤーにテープを入れ、小さなスピーカーの一つをベッドまで持ってきて最小限のヴォリュームで聞き入った。あれは低周波の至福の状態だったね。音楽が体中の細胞と繊維組織をジリジリと焼き付けてるような感じだった。幸せだった。

それからソニック・ユースが80年代半ばにツアーをしたとき、俺たちはカセット・プレイヤーをヴァンに積み込むことにしたんだ。ダッシュボードを積み込むという案もあったんだけど、あれは値が張った。当時ニューヨークのストリートではヒップホップの連中がラップのミックステープを巨大なラジカセ、別名「ゲットーブラスター」で大音量で流すのが流行ってた。そこで俺はデランシー通りにある店に行き、バンドの限られた資金を使って、店に飾られてた一番大きなラジカセを購入した。コニオンのラジカセで、単一電池を16個も使うやつだった。俺たちが「コナン」と呼んだこのコニオンはまるで自分の胴体みたいで、小さな子供くらいデカかった。そして俺はそれをヴァンに詰め込むため、フロントシートの間に後ろ向けに立てて置くようにした。そしてヴァンがホーランド・トンネルを抜けて街から離れていくとき、初めて作ったラップのミックス・テープをかけてみた。ラジカセから流れる音は最高だった。

俺たちはステージ上にもこれを持ち込み、PAを通じて曲の合間のテープ・アクションとして鳴らしてみた。国中のファンがミックス・テープや希望の詰まったデモ・テープを渡してくれ、俺たちはそれらを全部かけてみた。ツアーが終わる頃には、踏まれてケースにヒビの入ったテープがヴァンに数百本も転がってるような状態だったね。

最近ではテープに代わってCDが主流になり、ミックスCDがカルチャーの新しいラブレターもしくは交易所になってきた。でもデジタルはアナログよりも粗雑な音触りがすると思ってる俺のような連中にとっては、MP3の蔓延する新世界は音楽の悪夢みたいなものなんだ。MP3はCDよりもさらに圧縮されて粗雑な感じがするし、最高のグルーヴ(レッド・ツェッペリンであれ、バッド・ブレインズであれ、ペイヴメントであれ)の場合は音の雰囲気がオリジナルからひどくかけ離れたものになってしまっている。

しかしMP3が貧弱な音しかしないとしても、人に知られた形式であり、無料で、交換が可能である限り、この世から消えるようなことはないだろう。より洗練された複製方法が開発されるに従い、音質も良くなってくるはずだ。今のところMP3のショボさはTunesの「セレブレティー・プレイリスト」によって美化されている状態だ。iTunesはミックス・テープの「推薦カード」みたいなものになった。名前を書き込むだけで、自分個人のものになってしまうのさ。

そして再び俺たちは、個人録音(今回はリッピングとバーニングという形式)は音楽を殺すと警告されている。でもそいつは違う:友人や恋人と音楽を分かち合うという行為に対する、心からの愛情と自尊心の表れとして個人録音は存在してるんだ。P2PのサイトやMP3ブログ、ビットトレント、あるいは今後開発される技術が何であれ、それらを禁止することによって音楽の共有を支配しようとすることなんて、ハートの情熱を支配するようなものさ。何も止めることはできない。

(5月刊行予定の「Mix Tape: The Art of Cassette Culture」(サーストン・ムーア編)より抜粋。)