
70年代の左翼ゲリラ「ウエザーメン(別称ウエザー・アンダーグラウンド)」を扱ったドキュメンタリーで、アカデミー賞にもノミネートされた「WEATHER UNDERGROUND」をDVDで観る。大学間の学生団体から過激派が脱退し、当時世界中で起きていた革命や暴動に感化されてウエザーメンが結成されたいきさつから始まり、その活動や衰退などを当時のメンバーが淡々と語っていく内容。ちなみに作品中の音楽にはフガジのイアン・マッケイが関わっていた。
ボブ・ディランの歌詞「風向きを知るのに天気予報士はいらない」からとった団体名や、ヒッピーのグルであるティモシー・リアリーの脱獄などでアメリカでの知名度は高いウエザーメンだが、他に行ったことはマニフェストの朗読や無人の政府施設の爆破くらいで、他の団体ほど凶悪なことはあまりやってない(異論はあるだろうが)。ブラック・パンサー党にも刺激をうけ、白人の若者の間に革命思想を広めようとするが、当のブラック・パンサーには嫌われていたとか。確かにメンバーは白人ばかりだし、田舎の金持ちの娘などが所属してたわけで、政府により幹部が組織的に暗殺されていったブラック・パンサーにとってみれば甘っちょろい若造の集団に見えたのだろう。その過激な口調のマニフェストなどが逆にニクソン政権にうまく利用され、ベトナム戦争から国民の目をそらすのに使われたという指摘は興味深い。
作品中でイラク戦争のことは特に言及されないが、記録映像で映し出されるベトナム戦争時のアメリカと、現在のアメリカの類似点は誰の目にも明らかだろう。長引く海外での戦争と積み重なる犠牲者に嫌気がさした若者たちがアメリカ政府に宣戦布告する、という出来事は現在でも十分起きかねない。ただ当時はアメリカ側の残虐行為や戦死者がそれなりに大きく報じられ、それが全国的な反戦運動につながっていったのに対し、現政権は報道を制御することによってうまく戦争の真実から国民の目をそらしてるかな、という感はあるが。
そしてベトナム戦争やニクソン政権の終焉ともに、ウエザーメンの活動もまた終わりを迎える。左翼ゲリラのキリのいい終わり方なんて、革命に実際に成功するか警察に全員射殺されるかくらいしかないわけで、そういう意味ではメンバーが次々と自首していくウエザーメンの終わり方は非常に寂しいものがある。でもFBIの捜査が違法な手段を用いていたために、彼らの多くが釈放されたという話には驚いた。しかもメンバーうち何人かは現在教師をやってるとか。どんなこと教えてるんだ?
観たあとの感想としては、彼らの活動内容に関心したというよりも、むしろ若気の至りで始まった集団の盛衰の物語を観たという感じである。意義のあるドキュメンタリーだとは思うが。メンバーの1人が最近のテロリズムを例に挙げ「自分たちが道徳的に勝っていると信じ込むことは非常に危険であり、恐ろしい結果を招くことになる」と語っているのが印象的だ。
アカデミー賞が過ぎて久しいが、今更ながらハワード・ヒューズの伝記映画「アビエイター」を観に行く。俺の周囲では褒める人が誰もいなかったが、スコセッシ&ディカプリオの「ギャング・オブ・ニューヨーク」は個人的には佳作だと思ってます。もっともあれはダニエル・デイ=ルイスが他の役者を完全に凌駕した怪演を見せてくれたおかげで満足できる内容になってたのだが。そして今回は晴れてレオ様が主役の座に躍り出たわけだが、残念ながら作品の出来自体は「ギャング〜」の足下にも及ばないと言わざるを得ない。主人公がいちばん若くて富を持っていた時点から話が始まって、あとは3時間ずっと下り坂を落ちていくストーリーというのは、いくらなんでもキツいものがあるんじゃないでしょうか。
ジョン・ランディス初のドキュメンタリー作品「SLASHER」をDVDで観る。劇場用ではなくテレビ用のものらしい。かつては「アニマル・ハウス」や「ブルース・ブラザース」などの傑作を作っていたランディスも最近は失敗作続きで、しまいにはドクター・オクトパスに惨殺されてたりするわけだが、なんかこの作品も監督の意欲と実際の出来がズレたものになってしまっていた。
「アイス・エイジ」が大ヒットしたクリス・ウェッジ監督&ブルー・スカイ製作の新作CGアニメ「ロボッツ」を観にいく。IMAXでも公開してたらしいがとりあえず一般館へ。冒頭には現在製作中の「アイス・エイジ2」のティーザーとして、スクラット(例の珍動物)の登場する短編がくっついてた。
アレキサンダー・ペイン監督の前々作「ハイスクール白書」はその過激な内容が結構好きだったが、世間一般では高い評価を受けた前作「アバウト・シュミット」がちょっと個人的なツボにはまらなかったので(悪い作品じゃないけど)、「サイドウェイ」を観るのはちょっと敬遠していた。しかしあまりに世間が絶賛してアカデミー賞まで穫ってしまったものだから、どんな映画なんだろうかと興味本位で観に行ってきた次第である。いかにも「アカデミー好み」といったら語弊があるかもしれないけど、全体的に非常に手堅い出来の優れた作品だった。