スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー

アメリカでの評判(と興行成績)がイマイチだったので、あまり期待しないで観にいったらとても良く出来た作品だった。セットデザインとかライティングとかが徹底的に40年代くらいの映画のスタイル(特にフライシャー兄弟の「スーパーマン」のアニメ)にこだわってるので、それで好き嫌いがはっきり別れるところもあるだろうが、個人的にはアール・デコのデザインは好きなのでかなりツボにはまった。

ストーリーは冒険活劇の王道を行くような内容だけど、「Mr.インクレディブル」同様に、変なヒネリを入れたりせずに直球勝負をしているので素直に楽しめるんじゃないだろうか。途中で飽きさせないくらいの展開とアクションは十分あるし、思わずニヤリとさせられる場面が多いのも嬉しい。ゴジラが一瞬出てくるのには笑ったし、アンジェリーナ・ジョリーの役はニック・フューリーのパロディでしょ?ラストの痛快な台詞も最高だった。

文句を挙げるとすれば役者の演技で、ジュード・ロウはやけに低い声で話しているのでセリフが聞きづらかったし、グウィネス・パルトロウに至ってはまるで死んだ魚のよう。「自立した強い女性」をイメージしているのはいいけど、40年代SF映画のヒロインならもっと叫んだり微笑んだりしなきゃ。ちなみにアンジェリーナ・ジョリーは10分くらいしか登場せず(インパクトが強いからいいけど)、ジョヴァンニ・リビシは相変わらず永遠の脇役に徹しています。

興行成績が不振だったのと、プロデューサー夫妻(ジュード・ロウとサディー・フロスト)が離婚したことを考えると続編が作られることはまずなさそうだけど、それこそパルプ小説みたいに続編がどんどん作られたら面白そうなのに。

ちなみに映画に登場する空飛ぶロボットを、宮崎駿のアニメのパクリだと非難する人がアメリカでも日本でもいるみたいだが、もともとあれは前述のスーパーマンに登場したロボットを宮崎駿が転用したものなので、誤解なきよう。