「Chappelle’s Show – The Lost Episodes」鑑賞

こないだコメディ・セントラルが放映して、すぐさまDVD化された「Chappelle’s Show – The Lost Episodes」を観る。 これは「Chappelle’s Show」の成功にまつわるプレッシャーによってデイブ・シャペルがダウンしてしまう前に撮っていたスケッチを再編集して3つのエピソードにしたもので、司会はシャペルの代わりにドネル・ラウリングスとチャーリー・マーフィー(エディの兄貴。顔がそっくり)が勤めていた。スケッチのコンセプトは今までのと大体同じで、フライドチキンの誘惑に負けそうになる黒人とか、「ララ(ローラ?)」と発音できない日本人とか、相変わらずキツい人種ネタのオンパレード。警備員やってたゲイリー・コールマンのネタなんかもあった。

興味深いのは、シャペルが有名人だと知った途端に膨大な金を要求してくる床屋とか、無名時代にフラれたガールフレンドにシャペルが復讐する話とか、シャペルの名声にまつわるスケッチがいくつか見受けられること。シーズン2の後のほうのエピソードにも、コメディ・セントラルの要求に難色を示してシーズン3の制作を断るスケッチなんかがあったけど、早くもこの頃から彼は自分が手に入れた名声と、その代償を感じ取ってたわけですね。

ちなみに代役2人が勤めてる司会は、やっぱりシャペル本人がやらないと非常に味気ない。どうしても主役不在という感じが強いから、どこかしら空気が重いんだよね。特に頭に来たのは、ある人種差別的なスケッチのあと、会場の客たちと人種差別についてのディスカッションをやらかすところ。誰もこの番組に「政治的に正しい」笑いなんて求めてないんだからさ、なんか変に偽善ぶったことはやめとこうよ。

それで肝心のシャペル自身は、撮ったスケッチがこのような形で再編集されることを拒んで、もしコメディ・セントラルがこれらのエピソードを放映したら、もう番組には戻らん、みたいなことを言ったらしい。でもコメディ・セントラルは放映しちゃったわけで、おかげで「Chappelle’s Show 」はもう新しいエピソードが作られないんだろうな。相変わらずゴタゴタが続いてるけど、これが落ち着いたらまた元気な姿を見せてくださいシャペル様。

スーパーボーイ&LSHのアニメ


今年もサンディエゴで全米最大のコミック・コンベンションが開かれていて、アメコミ関連のニュースがいろいろ入ってきてるわけだが、その1つに「スーパーボーイ&リージョン・オブ・スーパーヒーローズ(LSH)」のアニメが製作されるというのがあった。こないだ終了した「JUSTICE LEAGUE UNLIMITED」でLSHが登場したことから、彼らが主人公のアニメが作られるのは確実視されてたわけだが、これって主人公はスーパーガールになるはずじゃなかったけか?JLUでもスーパーガールがLSHに加わる話があったんだが、何で変わったんだろう。 しかもキャラクターデザインが今回もブルース・ティム風になるかと思いきや、発表されたものは俺の嫌いな「ティーン・タイタンズ」っぽくてゲンナリ。かなり子供向けのデザインだなあ。なんか期待できそうにない作品になりそうです。

「PSYCH」鑑賞


いつもお世話になっているアメリカ版iTMSで、USAネットワークの新作ドラマ「PSYCH」のパイロット版が無料公開されてたのでダウンロードして鑑賞する。コメディ・タッチの推理ドラマで、主演はジェームズ・ロデイ…って誰だそれ。彼の相棒として「ザ・ホワイトハウス」のデューレイ・ヒルが出演してた。 主人公のショーンは定職につかずにブラブラしてる青年だが、警官の父親に徹底的に鍛えあげられた、とてつもない観察能力を持っていた。どんな些細なことも見逃さないこの能力のおかげで、彼は強盗事件の報道を見ただけで犯人が誰だか分かってしまうくらいなのだ。さっそく警察に懸賞金をもらいに行った彼だが、あまりにも事件の詳細に精通していることから逆に共犯者だと疑われてしまう。そこでとっさに彼が思いついた言い訳は「自分は超能力者(サイキック)であり、超能力によって事件を解決できる」というものだった。これを聞いた警察は半信半疑ながらも彼の力を借りることになり、ショーンは相棒のガスといっしょに難事件に挑んでいく…。というのが主なプロット。

USAネットワークの推理コメディといえば既に「名探偵モンク」があるが、あれと内容はけっこう似通ってるかも。ショーンが超能力者のふりをしつつ、細かな手がかりからスラスラと謎を解いていくさまは見ていて楽しいものの、それが災いして推理の醍醐味が味わえないのが残念。でもパイロット版を見る限りではそんなに悪そうなシリーズでもないので、とりあえずこれからの展開に期待したい。あとアメリカのドラマなのに、主人公2人がトヨタのヴィッツらしき車に乗ってるのがなんか面白い。

「AMAZING SCREW-ON HEAD」

「ヘルボーイ」の原作者として日本でも有名なマイク・ミニョーラ(ミグノラ?)の単発コミック「AMAZING SCREW-ON HEAD」のアニメ化が米サイファイ・チャンネルで進んでるらしく、そのパイロット版がホームページ上で観れるようになっていた。 話の内容はリンカーン大統領時代のアメリカを舞台に、ネジ式の頭がいろんな形のボディに装着できるという秘密エージェント「スクリューオン・ヘッド」の活躍を描いたもので、太古の魔物やゾンビ、ガスマスクをつけた兵士といったミニョーラ作品でおなじみのキャラクターたちが、コミックそのままのタッチで動き回るものだから観ててえらく楽しい。脚本もよくできていて、ジョークのタイミングなんかも抜群で非常によろしい。

まだシリーズ化が正式に決まったわけではなく、このパイロットの評価によって判断されるらしいが、こんな面白い作品シリーズ化しなけりゃ損でしょ。声優にポール・ジアマッティやデビッド・ハイド・ピアースといった一流の役者を使ってるので、製作コストが変に高くならないかという点だけ少し心配だけど。

とにかくタダだから1回観てみ。

「ドクター・フー」シーズン最終話


前後編にわたるエピソードだったわけだが、いや実に最高。このシーズンに通じる謎だった秘密組織「トーチウッド」の全貌が明らかにされただけでなく、クライマックスはサイバーメン対ダーレクの戦いという、まるで盆と正月が一緒にやってきたかのような出血大サービスを見せつけてくれたのです。ミッキー君の意外な帰還もカッコ良かったし、何よりも<白テキスト>ドブスのローズが番組を降板する</白テキスト>ことが自分には嬉しかったなあ。 俺は前ドクターを演じたクリストファー・エクレストンのファンだけど、ドクター役に限って言えばデビッド・テナントが実にハマっていて実に素晴らしかった。コメディ・タッチでのらくらしてるかと思えば、次の瞬間にはシリアスな演技をしたりと、ドクターのつかみどころのない性格をコロコロ変わる表情によってうまく表現していたと思う。

それにストーリーも前シーズンに比べて手慣れた感じがあって、奥の深いものばかりだったかな。「エンタープライズ」や「ギャラクティカ」みたいに既存のストーリー展開やキャラクター設定によってガチガチに束縛されず、かといって「アウター・リミッツ」みたいに散漫な内容にもならないまま、遠い未来の惑星や平行世界など、さまざまな「もしもの世界」のセンス・オブ・ワンダーを経験させてくれるという意味では、最近では本当に希有になってしまった上質のSFドラマだといえよう。

ラストのオチはさすがにちょっと場違いだけど、まあ次のシーズンにつながるものだからね。次にドクターを見られるのはクリスマスだということなので、半年近くも新しいエピソードが見られないのは残念だけど、そろそろスピンオフ・シリーズ「トーチウッド」が開始されるはずだから、とりあえずそちらに期待しよう。