「LOOK, UP IN THE SKY」鑑賞

スーパーマンが誕生してから現在に至るまで、いかにコミックやテレビや映画といった様々なメディアにおいて活躍し、長い年月のなかでどう移り変わっていったかを扱ったドキュメンタリー「Look, Up in the Sky – The Amazing Story of Superman」を観る。 ナレーションをケビン・スペイシーがやってることから明らかなように、こんどの「スーパーマン・リターンズ」に関連して作られたドキュメンタリーだけど、単なる映画のタイアップ的作品ではなく、スーパーマンが現実社会にいかに影響を与え、逆に影響を与えられたかを緻密に紹介した佳作となっている。マーゴ・キダーやディーン・ケインといった歴代のスーパーマン俳優や映画関係者のほか、スタン・リーやエリオット・S!・マギン、マイク・カーリンといったコミック関連の人々も数多く出てきてスーパーマンの魅力について語っていくところに見応えあり。なぜかキッスのジーン・シモンズも出てたりする。

世界的な不況の時代に救世主のごとく現れたスーパーマンは、すぐに多くの読者の絶大な人気を獲得し、やがて彼の活躍はラジオやアニメーション、実写テレビシリーズといった最新のメディアへと飛び出していく。当然その裏では人気の浮き沈みがあったりするわけだが、スーパーマン関連のテレビや映画に出た人たちが自分の役について、何か非常に特別なものだったかのように語ってるのが興味深い。クラーク・ケントやロイス・レーンの役はまるで王位のように役者から役者へと引き継がれ、それぞれが自分なりのアレンジを加えていくわけだ。よくグラント・モリソンが述べている説として「コミックのキャラクターたちは2次元世界の住人であり、我々の世界の時の流れを超えて、我々に影響を与えていっている」というものがあるけど、確かに例えばブライアン・シンガーやリチャード・ドナーなんかの行動や発言よりも、スーパーマンのほうが遥かに影響力があるようになったんだよね。

なお個人的な意見では、歴代のスーパーマン俳優ではやはりクリストファー・リーブがダントツにカッコいい。ロイス・レーンはマーゴ・キダーもいいんだけど、テリ・ハッチャーの方が好みかな。彼女をテレビで初めて演じたノエル・ニールもなかなかパルプ的な雰囲気があっていい感じ。

今シーズンのドラマ群と人種問題

アメリカのドラマの新シーズンはいつも秋から始まるわけだが、今年はここ数年で初めて「黒人が主人公のドラマ」が無い、とNAACP(全米黒人地位向上協会)がお怒りになっているそうな。 これを単に「アメリカでは人種差別が根強いから」という理由で片付けてしまうのは簡単だけど、ただ偶然に黒人が主人公のドラマが全部打ち切られただけだとか、概して黒人向けのドラマが多かったUPNがWBと融合することになったんで今回の統計に入ってないとか、主人公じゃなくても準主役とかで黒人が出てるからいいじゃん、とかいろんな見方が出来るかもしれない。まあ準主役とか準々主役で有色人種が出ててもトーケニズム扱いされるのがオチだろうけど。

あとUPNの黒人向けシットコムとか観てて思うのは、あまりにも露骨に黒人の家庭向けになっているというか、なんか逆に黒人以外の人種を排除してるような気もするんだよね。何を言いたいかというと、黒人が主人公の番組はみんな黒人向けになってるのが問題であって、ごく普通のドラマなんだけど主人公はたまたま黒人、というような番組が作られるのがいちばん望ましいと思うのです。これに最も近かったのはSF番組の「ディープ・スペース・ナイン」だったような気がするんだけど、どうなんだろう。もっとも「コスビー・ショー」が黒人ラッパーたちに批判されているように、何をもって「黒人向け番組」と判断するかは難しいところなのかもしれない。

ちなみに黒人の場合はここまで話題になるけど、我々アジア人が主人公のドラマなんて「無くてあたりまえ」という扱いを受けてるんだよね。うーん。

05/06シーズン 総合視聴率

今年もアメリカではTVシリーズのシーズンが終了し、秋まで観るものが減ってしまうのは残念。もっとも俺がコンスタントに観てたのって「ハウス」と「ギャラクティカ」だけなんだけどね。 んで今シーズンの視聴率の最終結果が発表された。1、2位は例によってあの俗悪歌謡番組「アメリカン・アイドル」。十分に予想された結果とはいえ、かたやイラクで自国の兵士が続々と死んでるのに、素人参加の歌番組なんぞにウツツをぬかしている連中ってなんか嫌だな。

それから下は「CSI」に「デスパレートな妻たち」「グレイズ・アナトミー」といったシリーズが続いている。「グレイズ・アナトミー」ってどこが面白いんでしょうか。1、2話を観た限りだと「白衣を着たアリー・マクビール」といった印象しか残らなかったんだけど。同じ医療ドラマなら100倍は面白い「ハウス」は10位と大健闘。「アイドル」の次の番組だというのが影響してるんだろう。

でも視聴率と作品の出来は必ずしも比例してるわけじゃないわけで、例えば「アレステッド・ディベロップメント」は…えーと…あ、123位か。打ち切られるのも無理ない順位だな。でも「ディベロップメント」は俺にとってTV史上に残る大傑作シリーズだったわけで、その早すぎる死を悼んで最近またDVDをよく再鑑賞しているのです。

HBO Pondering PREACHER Series??

ガース・エニス&スティーブ・ディロンの名作コミック「PREACHER」のTVシリーズ化にHBOが興味を示してんだとか。前はジェームズ・マーズデン主演で映画化されるなんて話もあったけど、まあ確かに映画よりかTVシリーズの方が適切だろう。話が長いからね。 でも数年前に終了した作品をなんでいまさらTVシリーズに?「ダ・ヴィンチ・コード」みたいに、レンヌ・ル・シャトーの謎をベースにした展開がちょろっとあるからかな。「PREACHER」といえば、エニスの十八番である「男の世界」と「下ネタ」がわんさか入ってる作品だったけど、あまり露骨に下ネタを映像化されたら嫌だなあ。HBOならやりかねんが。