「THE LXD」鑑賞


「GLEE」で何も語らずとも最強のダンスを見せつけてくれるTHE OTHER ASIANことハリー・シャム・ジュニアが振り付けを担当したシリーズ。ウェブシリーズらしいのだが観れる場所はHULUとiTunesストアくらいらしい。

ダンスを踊ることによって特殊な能力を発揮できる選ばれし者たちが、正義の「The Legion of Extraordinary Dancers」(略してLXD)と悪の「The Alliance of the Dark」に別れ、戦いを繰り広げる…というような設定なのだがストーリーはあってないようなもので、要するに出演者が踊りまくる番組。戦いのシーンも両者が踊ってるだけなので、マイケル・ジャクソンの「BAD」みたいな感じ。ただし日本のダンスグループみたいに集団技に持ち込むことはせず、基本的にソロで出演者が踊るんだが、さまざまなスタイルで卓越した踊りを見せてくれる所はなかなか見応えがあるぞ。頭を床につけてグルグル回ったりするのはダンスというより曲芸師の世界かもしれないが。

いまいち番組のコンセプトがよく分からないけど、才能のある人たちがその才能を披露するという内容は嫌いではないですよ。あとアジア人の出演者が多いのも良いことかと。

「THE BIG C」鑑賞


不幸せな女性を演じされば右に出る者のいないローラ・リニーが、これまた不幸せな女性を演じるショウタイムの新作ドラマ。公式サイトで第1話が観られるぞ(IPアドレスをゴニョゴニョする必要あり)。

リニーが演じるキャシーはミネアポリスで高校教師として働く女性で、子供っぽくてワガママな夫(オリバー・プラット)を家から追い出し、クソガキの息子とともに自分なりの生活を送ろうとしていた。しかし検診により彼女は末期の乳ガンであることが判明し、彼女の人生は一変することになる…というのが大まかなプロット。

ガンに侵された主人公が残された人生を好きなように生きようとする、というコンセプトは「ブレイキング・バッド」に似てなくもないが、当然あれよりかはツマらなくて、涙目のリニーが周囲の人にブチ切れるだけの、なんかダウナー気味の展開に終始しているような。第1話の監督はビル・コンドンだけど、同じくリニーが出ていた「キンゼイ」ほどのぶっ飛んだ展開はなかったな。

あと「プレシャス」のガボレイ・シディベが準レギュラーとして出演してるけど、なんか彼女のシーンだけ後からとってつけたような、あまりメインのストーリーと関係ない扱いだったような?そしてウィキペディアによるとイドリス・エルバやブライアン・コックス、リーアム・ニーソン(キンゼイ先生!)といった豪華キャストがゲスト出演するらしいけど、彼らに見合うほどの番組になるのかね?

「SHERLOCK」鑑賞


言わずと知れたコナン・ドイルの「シャーロック・ホームズ」ものを現代風にアレンジしたBBCの新作ドラマ。90分が3本のミニ・シリーズになるのかな?

アフガンでの戦争でPTSDにかかり帰国した軍医のジョン・ワトソンは、ロンドンでの下宿と同居人を捜していたところ、シャーロック・ホームズという無愛想な青年を紹介される。彼はその明晰な頭脳を活かし、難事件に対して警察に助言を行う自称コンサルタントであった。そして一見無関係の男女が次々と服毒自殺を遂げるという怪奇な事件が発生し、ホームズはワトソンと共に事件解決のため奔走するのだが、彼らを監視する人物が現れて…というのが第1話のプロット。

「A STUDY IN PINK」というエピソードタイトルが示すように「緋色の研究」をベースにしたストーリーになっていて、携帯電話やタクシーといった現代のアイテムが巧みに取り込まれた上質のミステリーになっている。ホームズが発見する情報がいちいち口頭で説明されたりせず、文字情報として画面に表示される仕組みも功を奏しているかと。

ベネディクト・カンバーバッチという、いかにもな名前を持つ役者が演じる現代版ホームズはジェレミー・ブレットのバージョンよりも遥かに横柄で人付き合いが悪く、猟奇事件の発生に喜びを得ることから、彼に嫌々ながら助言を求めるレストラーデ警部の部下たちには「サイコ野郎」と呼ばれている始末(これに対し本人は「僕は高機能社会病質者だ!」と答えている)。「今のロンドンではタバコもろくに吸えない」と言って、パイプをくゆらせる代わりにニコチン・パッチを腕にあてて考えをめぐらせる姿も面白い(ただしドラッグをやっているような描写はある)。ただし視聴者が引いてしまうほど冷酷にはならず、その奇抜な振る舞いにもどこかユーモラスなところがあるのは、ダークなドクター・フーを連想させるかな。ちなみにこのシリーズの原案者は、「ドクター・フー」を現在指揮しているスティーブン・モファットだよ。

また「オフィス」のティム役で知られるマーティン・フリーマンもワトソンを好演していて、原作よりも思慮深く、ホームズの行動に翻弄されながらも自分なりの方法で彼を助けようとするワトソンをうまく演じている。彼自身も無意識のうちにスリルを求める人間になっているという描写が巧いな。

ラストの謎解きが少しウヤムヤになっているところはミステリー・ファンにとっては不服だろうが、ホームズを狙う「あの男」の存在が示唆されて、今後の展開にも非常に期待が持てる。ぜひ日本でも放送してほしい良作。

「COVERT AFFAIRS」鑑賞


スキッとさわやかUSAネットワークが送る新作ドラマ。

いわゆる女スパイもので、CIAの新人スタッフであるアニーは突然CIAのなかでも秘密の部署に異動になり、フィールド・エージェントとして諜報活動に加わることになる。最初はドジを踏むものの、ガジェット使いの盲目の同僚に助けられてどうにか任務をこなし、一人前のエージェントとして迎えられるアニーだったが、CIAの真の狙いは彼女の元ボーイフレンドにあったのだ…というような話。

主演は「コヨーテ・アグリー」のパイパー・ペラーボ…ってあの映画観てないからよく知らんがな。女スパイものということで「エイリアス」と比較されてるようだけど、あっちよりもっと軽めのアクション作品になっている。言うなれば典型的なUSAネットワークのシリーズということですかね。あまり深く考えずに楽しめる作品だし、いずれ日本でも放送されるんじゃないかな。主人公の恩師として「ザ・ワイヤー」のクラーク・ピーターズが出てたのが個人的にはプラスだった。

「THE GLADES」鑑賞


A&Eの新作刑事ドラマ。なんか呆れるくらいの凡作だった。

主人公のジムは敏腕だが型破りの刑事で、シカゴで上司とモメてフロリダにやってきたものの、そこでもマイペースを貫き周囲の同僚に迷惑をかけていた。そんなある日、沼地で女性の首なし死体が見つかり、ジムは捜査に乗り出すのだが…というのが第1話のプロット。

主人公のジムはいわゆる「ハウス」的な「優秀だが嫌な奴」という設定なんだけど、実のところ終始ニヤついて聞き込みの相手を侮辱してるだけで、どこらへんが優秀なのかはよく分からず。事件現場をウロついて、沼から証拠品を拾ってるくらいしか捜査らしいことはしていなかったような。彼を演じるマット・パスモアとかいう俳優もぜんぜん深みのある演技をしてないし。キャストのなかでは「シャッター・アイランド」のジョン・キャロル・リンチが相変わらず良かったんだけど、どうもレギュラーでなくゲスト出演の立場のようだった。

一番ムカついたのは死体の発見者たちに主人公が何度も聞き込みを行って、どんどん彼らのアリバイを崩していくのかと思いきや、最後にまったく予想もしてなかったところから真犯人が出てきて、それまで観ていた人の期待をガラガラと崩壊させるようなオチになったところ。ああいうのはドンデン返しと言うのではなくて、単なるこじつけだよ。

パイロット・エピソードである程度話が完結すること自体には何の不満もないが、普通は少し伏線を残しておくとか、主人公の過去を謎めいたものにしとくとか、登場人物同士の関係を波乱含みのものにしとくとか、何かそういうフックのようなものをつくって、次の話も観たいなと人に思わせるべきなんだけどね。これはそういう発展性をすべて自ら断ち切ってしまったという、ある意味では感心できるくらいに珍しい番組であった。よくこんな脚本にGOサインが出たよな。

というわけで、フロリダを舞台にしたシリーズが楽しみたいのなら「バーン・ノーティス」を観ましょう。