「UNNATURAL HISTORY」鑑賞


なぜかカートゥーン・ネットワークで始まった実写ドラマ。世界の秘境を転々として様々な修行を積んできたヘンリー少年は、いわゆる「じっちゃん」的な恩師が亡くなったことでアメリカに久しぶりに帰ってくる。そこで高校に通うことになった彼は、ジャングル仕込みの言動で周囲を驚かせることに。そして恩師の死因を調べていたヘンリーは、彼が暗殺されたことを知り、アメリカの歴史にまつわる財宝の謎に巻き込まれて行く…というような話。

まあ明らかに子供向けのシリーズで、ジュブナイル版「ナショナル・トレジャー」というか、「ヤング・インディ・ジョーンズ」みたいな作品。都会にやってきた秘境育ちの少年、ということで「伊賀野カバ丸」とか「燃える!お兄さん」みたいな(例えが古くてすまん)ドタバタ劇になるかと思ってたんだけど、ヘンリー君は意外と常識人なのですんなりと高校生活にとけ込むことができたのでした。しかも海外育ちなのでアメリカの歴史は全く知らないという点がなんかショボいぞ。

いかにも夏休み中の子供向けというような安っぽい作品だけど、それでもカメラワークとかは十分凝ってたりするのがアメリカの底力だよな。役者もみんな無名の下手な連中ばかりだが、主人公の叔父をマーティン・ドノヴァンが演じてるのは意外だった。ハル・ハートリーと組んでた頃はいい役者だったのに。こんな子供向け番組に出てるのはなんかもったいない。

「RUBICON」鑑賞


AMCの新作ドラマ。ニューヨークのシンクタンクに務めるウィルは複雑な暗号もすぐに解読してしまう頭脳明晰なアナリストだったが、ある日複数の朝刊のクロスワードに共通する謎めいたメッセージが隠されていることに気付く。それを上司のデイビッドに説明するウィルだったが、彼はまるで相手にされなかった。しかしその後デイビッドはウィルには内緒で、自分の上司にクロスワードのことを告げる。そして次の日、ディビッドの乗った列車が事故に遭い、彼が死んだということをウィルは知るのだった。ディビッドの死とクロスワードのメッセージに関連性があると感じたウィルは、ディビッドの職に就き、巨大な陰謀の世界に足を踏み入れていくのだった…というようなサスペンス作品。

本国ではロバート・レッドフォード主演の映画「コンドル」によく比較されてるようだけど、俺はあれ観たことないのでよく分かりません。なんかこう、でっかい陰謀のようなものがあることは分かるのだが、それが何なのかは全く説明がされなくて、影から主人公を監視する謎の男とか、怪しげな言動をとる老人連中とか、どうもサスペンス作品ではありきたりな描写が続くのがまどろっこしい。主人公も目と口を大きく開いてウロウロしているだけで、何をしたいのかよく分からないし。

同じAMCの「プリスナー」のリメイクもそうだったけど、謎めいた雰囲気をお洒落に撮ることは非常に巧いんだけど、肝心のストーリーがお粗末なんだよな。例えは古いが「ツイン・ピークス」なんかは映像が美しい一方で「よく分からないけど何かすごいことが起きるに違いない」という気持ちを観る人に抱かせてくれたのに。「Story Matters Here」というAMCのキャッチフレーズが泣いてるぞ。

もっとベタな内容になっても構わないから、主人公が追いかける陰謀についてもうちょっと説明があれば面白くなってたはずなのに。

「THE GATES」鑑賞

マイクロソフトの元会長の家族を追ったリアリティー番組…では当然なく、ゲーテッドコミュニティを舞台にしたABCの新作ドラマ。

その名もずばり「ザ・ゲイツ」というゲーテッドコミュニティに、新しい警察署長の一家がやってきたところから話は始まる。ザ・ゲイツは裕福な住人の家が建ち並び、治安も良くて平和そうな場所であったが、実は住人たちの一部はヴァンパイアや狼男、魔女といった特別な能力を持った存在だったのだ。警察署長のニックは当然そんなことを知らずにザ・ゲイツにやってきたのだが、前任の署長が変死体となって発見されたことから物事は奇妙な展開を迎えることになる…というのが大まかなプロット。

最近はどのドラマにも吸血鬼が登場している気がして仕方ないのですが、これもまあ「トワイライト」を意識したヴァンパイア/スーパーナチュラルもの。ザ・ゲイツに住む夫婦たちとその子供たちが話の中心になるわけだが、親たちの話はヴァンパイア版「デスパレートな妻たち」で、子供たちの話はそのまんま「トワイライト」になっているという、あまりオリジナリティが感じられない内容になっている。同じく警察署長が主人公の「ユーリカ」みたいなドタバタ劇にしたほうが面白かったかも知れんね。

まだ始まったばかりだし、なぜザ・ゲイツにこうした存在が集まることになったのかなどの説明がないのは仕方ないが、そもそもヴァンパイアと狼男たちがお互いの存在について知ってるのかどうかも分からないというのはさすがに説明不足かと。なんか話がまとまってないんだよな。

あとはとりあえず住人のなかにゾンビがでてくることを願うのみです。

「ドクター・フー」シリーズ5 終了

キャストが一新されただけでなく、作品の統率者がラッセル・T・デイビスからスティーブン・モファットに変更されたこともあって、全体的に荒削りというか、行き先を模索してるような印象のあったシリーズであった。でも最後の2エピソードは大変素晴らしい出来だったので、このクオリティが続くようなら将来は明るいだろう。

今シリーズでいちばん良かったのは何といってもマット・スミス演じる11代目ドクターで、その不思議さと奇妙さが混じった雰囲気が大変素晴らしく、デビッド・テナントの10代目のイメージを良い意味で完全に払拭することに成功している。彼のコンパオンとなるエイミーはちょっと表情が乏しいような気がするもののいい感じだし、その婚約者であるローリーが脇役からどんどん重要な役になっていくところも良かった。

引っかかるところがあるとすれば、アレックス・キングストン演じるリバー・ソングか。全13話中4話に出てきて、それでも彼女が何者なのか分からないというのはどうかと。でも次のシリーズで他の謎とともに彼女の正体が明らかになるはずなので、あっと驚くような展開が待ち受けてることを望みます。

俺にとってのベストであるシリーズ3の出来には達していないものの、非常に楽しめるシリーズであった。個人的なお薦めは「The Eleventh Hour」「Victory of the Daleks」「The Lodger」および最後の2話あたりかな。シリーズ6はニール・ゲイマンによるエピソードもあるらしいし、今から期待しときましょう。

「PIONEER ONE」鑑賞

製作費はすべて募金によって賄われ、クリエイティブ・コモンズのもと無料で公開された、インディペンデント系のTVシリーズの第1話。

地球に向かって落ちてくる人工物がある日発見され、それはアメリカの国土に放射線をまき散らしながらカナダのカルガリーに墜落する。調査に向かったアメリカのエージェントたちが発見したのは、旧ソ連の宇宙服を着た謎の人物だった。彼の手記などを調査した結果、彼は火星に建造されたというソ連のコロニーからやってきた人物らしいことが判明するのだが…というような内容。ウォーレン・エリスのSFコミックに話は似てなくもない。

全体的にいい線はいってるんだけど、惜しいなあという出来。風呂敷を広げすぎたというか、国を揺るがす大事件を扱ってるはずなのに、登場人物も少ないしロケーションも限られているなど、製作費の無さがあちこちに感じられる内容になっている。役者の演技も大根だし音声も聞き取りにくいし。もうちょっと工夫したアプローチがあっても良かったんじゃないかと思うけどね。例えばニール・ブロムカンプの短編なんかは短くても彼の才能を感じさせる出来になっていたけど、この作品は物語をカバーするのに全力を使い果たしちゃいました、というような感じがするのが非常に惜しい。

公式サイトではまた募金が集まったら残りのエピソードを作るって書いてあるんだけど、どうすっかな、数ドルくらいは募金してあげようかな。