「Southland Tales」始動開始

デビュー作ながら「ドニー・ダーコ」という場外ホームラン的作品を生み出したリチャード・ケリーの待望の新作「Southland Tales」の公式サイトが開設されていた。

まだトレーラーも何もアップされていない状態だけど、果たして「ダーコ」を超える傑作となるのか、今から楽しみだ。でも話の内容はどうもコメディになるみたい…しかも出演はザ・ロック様にサラ・ミシェル・ゲラーやショーン・ウィリアム・スコットといった、いかにも頭の弱そうな役者たち…一体どんな映画になるんだろう。うーん。

ちなみにこの映画の製作と平行して、映画の世界を舞台にしたグラフィック・ノベル(コミックのことだよ)がいくつか出版されるらしい。「ダーコ」はその謎めいた公式サイトが映画とうまく絡み合って相乗効果を生んでいたけど、今回もそれに似たマルチメディア戦略がとられるのかな。ダレン・アロノフスキーの「ファウンテン」のコミック版はワーナー傘下のDCコミックスから出版されるそうだけど、ユニバーサルの映画のグラフィック・ノベルってどこの出版社が出すんだろう。

John Cox joins SGT. ROCK’s squad!!!


DCコミックスの代表的戦争コミック、「サージェント・ロック」の映画化が進行してるそうな

コミックは主人公のロック軍曹をはじめ、イージー・カンパニーのワイルドマンやアイスクリーム・ソルジャーといったキャラクターがとても特徴的な作品だけど、これが映画でどのくらいうまく再現されるのかしらん。そして何よりもジョー・キューバートの天才的なタッチをきちんと映画で表すことが出来るのだろうか。ただの戦争映画にならないことを願うばかりです。

JUST WHAT I NEEDED!

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こないだ「コルベアー・レポー」を観てたら、元カーズのボーカリスト、リック・オケイセックが突然登場したのでびっくり。おお懐かしい。相変わらず体が細いなあ。プロモビデオ以外で動くオケイセックを見たのってこれが初めてかもしれない。メディアへの露出が少ない人だからね。

最後はコルベアーの「要監視リスト」にトッド・ラングレン(こないだ再結成したカーズでなぜかオケイセックに代わりボーカルを担当している)を加えるといった、なかなかベタなネタまで披露してくれたのです。

「MR.MOTO’S LAST WARNING」鑑賞


ドイツの怪優ピーター・ローレが日本人の秘密エージェント、モト・ケンタロウを演じた「ミスター・モト」シリーズの1つ「Mr. Moto’s Last Warning」を観る。ずっと前にトロントのウォルマートでDVDを1ドルくらいで買ってたのです。どうもパブリック・ドメインに属している作品らしく、archive.orgでもダウンロードできるようだ。

1939年に製作されたこの作品は古典的なハリウッドのサスペンス映画といった感じで、イギリスとフランスの仲を悪化させて第2次世界大戦(!)を引き起こそうとする某国の陰謀を阻止するため、エジプトを舞台にミスター・モトが奮闘する…といった感じのストーリー。ジョン・キャラダインをはじめ、そこそこ名の知れた往年のスターが共演してるみたい。不穏な時代の北アフリカが舞台という意味では、同じくローレが出演した「カサブランカ」に通じるものがあるかな。

神出鬼没の敏腕エージェント、ミスター・モトは当時流行ってた中国人探偵「チャリー・チャン」を明らかにパクったキャラクター。少し出っ歯で丸メガネという外見がちょっとアレだが、頭脳明晰で武術の達人というカッコいい主人公であるため、あまり人種差別的なキャラクターという印象は受けない。カタコトの英語しか喋れないフリをして、気を許した白人から情報を聞き出すシーンもあったりする。そもそもローレがどうやっても日本人に見えないんだけど、冒頭で殺される彼の替え玉役にはしっかりアジア人俳優が使われてたりする。まるで似てない替え玉を使ってどうすんだよ。当時の観客はローレのことを本当に日本人だと思い込んで観てたんだろうか。

尺が70分くらいしかなく、プロットも荒削りなところがあるものの、お茶目なラストまで飽きずに観ることができる好作品。現在のハリウッドはこんな映画つくんなくなちゃったなあ。

「The 40-Year-Old Virgin」鑑賞

「40歳の童貞男」を観た。

いやもう最高。ここまでいい映画だとは思ってなかった。

タイトルから想像がつくように、40歳になっても童貞のアンディ君(スティーブ・カレル)が女性と経験するために、同僚たちの助けを借りて奮闘する…というコメディなんだけど、オクテの主人公をバカにして笑いをとるようなところが殆どなくて、彼をごく普通の男性として描き、同情的な観点からストーリーを進めているところが非常に立派。テーマがテーマだけに下ネタもたくさんあるけど、どれも多くの人が経験したことのあるような(コンドームの付け方が分からない、とか)共感できるジョークばかりで、まるで卑しくなくてとにかく爆笑できる。主人公がエイジアのポスターを家に貼っててバカにされるシーンがある一方で、ラストのクライマックスでしっかり「ヒート・オブ・ザ・モーメント」が流れる、といった小ネタが炸裂してるのもまた悶絶もの。ここまで腹を抱えて笑える映画を観たのって久しぶりだなあ。もっかい観よっと。

劇中でも言及されたり、カレルがインタビューでも述べているように、主人公のアンディはたまたま女性と経験する機会に恵まれず、それが何年も続いたことで結局あきらめてしまったというだけの人。現実にいるこうした人たちのことをきちんと調べてから映画を作ったんだとか。自分もまあ似たような経験があるので(「同じ」じゃないからね!)、こういった映画が出来たのはいいことだと思うのです。主人公がバーで女をひっかけて、そのままベッドへ…なんて内容の映画にはもう辟易してたからね。それなりに似たテーマを持つ「アメリカン・パイ」はラストだけが急に甘ったるくなって、非常にあざとらしいのが嫌だったけど、この映画は最初から最後まできちんとロマンチックな作りのコメディになっているのが見事。主人公の同僚たちがやけに協力的だとか、彼と恋仲になるトリッシュ(キャサリン・キーナーが相変わらずいい感じ)が最初から彼に優しすぎるような気もするものの、まあそこは映画ということで。

日本では公開前からキワモノ扱いされている感のある映画だけど、むしろデートムービーに適してるんじゃないでしょうか。いっそ日本でリメイクしたら面白いかも。主人公は「上石神井あたりに住むビックカメラの店員で、いわゆるオタクじゃないけどアニメ好きで、人見知りするけど真面目な40歳」なんて設定がいいかな。問題はハッピーエンドに持っていくのが非常に難しいというところなんだけれども。