「THREE MOONS OVER MILFORD」鑑賞

アメリカの夏は再放送が多いと昨日書いたけど、地上波に比べてケーブル局は夏のあいだも比較的多く新シリーズを流していて、こないだ紹介した「PSYCH」などもその1つ。最近はそうした作品の宣伝手段としてITMSが注目されているらしく、ここ数週間のあいだにずいぶん多くのシリーズの第1話が無料で配布されている。まあ1話をタダでみせて興味を引き、その後の話は課金するというのは妥当なビジネスモデルだわな。

というわけで、これまた無料で配布されてたABCファミリー・チャンネルの新作「THREE MOONS OVER MILFORD」の第1エピソードを観てみる。タイトルにある「3つの月」というのは、小惑星がぶつかったことで3つに分裂してしまった月のこと。いずれは月の破片が地峡に落下して世界の破滅をもたらすということで、主人公が住む小さな町ミルフォードの住民たちは真面目に生きるのをやめてしまい、心のおもむくままに暮らすようになるのだった…。というのが話の主なプロット。

こうして書くとSFっぽく思えるかもしれないが、実際は「ギルモア・ガールズ」の模造品といった内容。皆が自分勝手に暮らしている町で、子供2人と普通に生きていこうとする母親(エリザベス・マクガヴァン)の奮闘ぶりを描いてるんだけど、砕けた月なんて設定は10分もすればどうでもいいものに思えてしまうし、登場人物が世界の終わりにかこつけてギャーギャー騒いでるさまは非常にうっとうしい。それに主人公が小ジワの多いオバさんだというのもイマイチ。当初主人公役にはシェリリン・フィンが予定されてたらしいけど、彼女だったらもうちょっと綺麗だったろうに。

生半可なアイデアを軸にして映像化しても、あんま面白くならないことが実によく分かる好例のような作品。

「WHO WANTS TO BE A SUPERHERO?」鑑賞

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アメリカのドラマのシーズンは基本的に秋から春にかけてなので、夏のあいだは再放送番組で枠が埋まってるのが普通なんだが、ここ最近は新作のリアリティ番組が再放送番組に交じってずいぶん放送されてるような気がする。数年前の「サバイバー」の大ヒットに起因してるものなんだが、俺はこのリアリティ番組ってやつが大キライで、ひどく安っぽいクオリティや何者なんだか分からない司会者、恥知らずの参加者たちといった、実に頭の悪そうな視聴者向けに作られた内容にはガマンならないのです。まだ「30 Days」みたいなメッセージ色の強いやつならいいんだけどね。

そんなことを言いつつも、Sci-fiチャンネルの新リアリティ番組「WHO WANTS TO BE A SUPERHERO?」の第1エピソードを鑑賞してみた。なぜこんなのを観る気になったのか?まあiTMSで無償提供されてたのが最大の理由なんだが、参加者それぞれが独自のスーパーヒーローになりきり、多くのミッションを乗り越えて優勝を目指すというコンセプトにも興味をもったのでございます。しかも彼らにミッションを告げるのはアメコミ界の大御所スタン・リー御大その人で、優勝者はリーが執筆するコミックの主人公になれるほか、Sci-fiチャンネルのTVムービーにも主演できるらしい。すげえ待遇だなあ。

んで番組には「キャプテン・ビクトリー」とか「モンキー・ウーマン」といったコスプレ姿の男女12名が参加するわけだが、20代から30代が大半で10代が1人しかいないというのが、彼の国のコミック読者の年齢層の高さを物語っているかな。なかには仕事を辞めてまで参加した人もいたらしい。彼らが与えられるミッションは、町中で誰にも気づかれずにヒーローへと着替えるとか、犯罪者と会話して更正させるとか、猛犬のいる庭を駆け抜けるとか、それってスーパーヒーローと関係あんの?というようなものばかり。もちろん番組の最後には、もはやリアリティ番組の恒例となった脱落のお仕置きが待っている。

番組の出来そのものは他のリアリティ番組と大差ないとはいえ、参加者たちがそれぞれギミックを抱えているのが面白い。次のエピソードも観たいな、と思うくらいの内容ではあった。それにしてもスタン・リーって80歳を越えてるってのに、いつ見ても矍鑠としてるね。