「Ctrl」鑑賞

「アレステッド・ディベロップメント」のバスターことトニー・ヘイル主演の、NBCのウェブ・シリーズ。オフィスで働くサラリーマンのスチュアート君は若くて傍若無人なボスにうだつがあがらず、さえない日々を送っていた。ところがある日、ふとしたことから彼のパソコンのキーボードが不思議な力を持ち、コントロールキーと任意のキーを押すことでさまざまな現象が起きることを発見する。このキーボードを使ってスチュアート君はボスをこらしめ、意中の同僚と恋仲になろうとするのだが…というのがおおまかなプロット。

全部で何話あるのかは不明だけど、今のところ紹介されているキーボードの機能は「Ctrl+Z」つまりUndoで過去に戻り、「Ctrl+B」でスチュアート君が勇敢(Bold)になるというもの。後にはコピペ機能でスチュアート君が増えるという機能も出てくるみたい。Undo機能を利用して何度も同僚の女の子にキスを試みるなど、しょうもないセクハラネタもあったりしますが、低予算ながらオフィスという狭い空間を生かした、結構楽しめる作品になっている。こないだの「Web Therapy」なんかよりずっと面白いよ。NBCのサイトのほか、iTunesストアのポッドキャストからも視聴可能。

出版ニュース

なに、トマス・ピンチョンの新作が早くも出版されるのか!「Inherent Vice」という作品だそうだが、表紙のイラストが…。

70を超えたオヤジの出す本の表紙とは思えないすね。どんな内容になるんだろう。尤も俺は「AGAINST THE DAY」も「MASON & DIXON」も読んでないのでファン失格かもしれませんが。

あと以前に書いた「高慢と偏見とゾンビ」ですが、何気に面白い作品だそうで、売れ行きも良かったことから第2弾が作られたそうな。その名も「分別と多感と海の怪物」!(Sense and Sensibility and Sea Monsters)

もう何でもありじゃん!まさか海の怪物が出てくるとは思わなかったよ。何故かこの本の「トレーラー」まで作られてしまっている:

バカみたいと思いつつもひどく読んでみたい気にはさせられる。問題はまずオースティンの原本を読まなくてはならないことだが…。

コミコンの「ニセ人気」

数多あるコミック・コンベンションのなかでも最大のものであるサンディエゴ・コミコンが来週開催されて十数万人の来場者が見込まれてるそうだが、ここ数年はむしろコミックのコンベンションというよりも、ハリウッドのスタジオなんかが新作のSF映画やテレビ番組を初公開するような、ギーク向けの映像見本市という風潮が強まってきているらしいんだよね。

これに合わせて出演者などがゲストとして続々来場し、ギークどもはそれを観て狂喜するわけだが、あくまでもコミコンでの評判というのは特定の観客のあいだのものであって、一般の市場でもそれが通用すると思ってはいけないよ、という記事がVARIETY誌に載っていた。最近の「ターミネーター4」や「ウォッチメン」がコミコンでの評判にもかかわらず興行成績が悪かったことをふまえたうえでの記事らしい。

まあ確かにコミコンに行くような客というのは特定の趣味や嗜好を持った人たちであって、彼らが一般社会を代表しているとは考えにくいわな。日本でもコミケで人気があるマンガと一般で人気があるマンガは異なっているんじゃないの?そもそもそうした嗜好をもった人たちのあいだで評判を得ておいて、それを一般市場での宣伝材料に使おうというのがスタジオ側の魂胆であったわけで、それを今になって「コミコン人気は信用できないよ!」なんて言われても、ねえ。作品の不出来を観客のせいにするなよ。出来の良かった「ダークナイト」なんかは一般市場でもちゃんとヒットしたじゃん。

ちなみに記事中でも言及されてるけど、こうしたギーク間での人気を煽り立てている人物にケヴィン・スミスがおりまして、奴とAintItCoolのハリー・ノウルズは煽り文句が多くて言ってることが信用できないんだよな。どちらもギークにとって貴重な存在であることは間違いないのですが。

「フロム・ヘル」日本語版刊行

柳下毅一郎訳で10月発売だそうな。500ページを超えるあの大作がついに日本でも手に入るのか。切り裂きジャックを扱った作品だがいわゆるフーダニットものではなくて、世紀末のビクトリア王朝の腐敗や貧しい庶民の生活、そしてジャックが20世紀にもたらしたものなどを多くの観点から描いた、蘊蓄本に近い内容になっている作品。俺が特に好きなのは前半のロンドン中を馬車で廻りながら、建築物に隠された様々なシンボルの秘密が解説されていく悪夢のようなシーン。コミックにおける時間の流れ(特に時間がゆっくり進む描写)なども非常に良く練られたものになっているので、書店で見かけたらぜひ手にとってご照覧あれ。映画版とはまったくの別物だからね!

ただし個人的にはエディ・キャンベルのアートがどうしても好きになれなくて、彼が才能あるアーティストだというのは承知してるのですが、写実的というよりもむしろ抽象的(と俺は思う)なそのスタイルは、これだけ多数の人物が出てくる作品にはちょっと向かなかったんじゃないかと。読んでて人の顔の区別がつかなくなることが多々あったような。もちろん彼のアートがこの作品のムードにたぶんに貢献していることは承知してるのですが、他のアーティスト(例えばブライアン・タルボット)が担当してたらどんな作品になっただろうと思うことしきり。

ちなみにみすず書房のサイトにある「マンガとも小説とも異なるグラフィック・ノベル」という表現にはちょっと違和感を感じまして、「グラフィック・ノベル」の定義については本国のアメコミファンのあいだでも議論されてるんだが、個人的には「グラフィック・ノベル=マンガ」なので、変に名称を変えてマンガとは別物扱いで宣伝することはあまり好きではないのであります。

都議選の結果

「石原与党」である自民党が大敗したことで、あのアホらしい五輪招致への散財は抑えられると思っていいんだよね?ね?

東京都民はオリンピックなんて開きたいと思ってませんよ!そんなことに使う金があったら、もっと他のことに使えるでしょ!