「JUSTIFIED」鑑賞

アメリカで非常に高い評価を受けているFXの新作ドラマ。観てみたら確かに傑作だった。

エルモア・レナードの小説を原作にしたもので、主人公のレイラン・ギブンスはフロリダの連邦保安官だったが、自分なりの道理で犯罪者を射殺してしまったため上司に疎んじられ、生まれ故郷であるケンタッキー州のハーラン・カウンティへと左遷させられてしまう。そこでは彼の父親や元妻などが住んでいるほか、彼の幼なじみであるボイドが率いるネオナチの一味が町を荒らしており、治安は決して良いものではなかった。そしてボイドによる教会の襲撃を捜査することになったレイランはボイドの所へ赴く。最初はレイランに再会できたことを歓迎するボイドだったが、彼があくまでも自分を逮捕する気でいることを知ると、レイランにこう告げるのだった:「24時間以内に町から出て行け。さもないとお前を始末する」と…というのが第1話のプロット。

舞台は現代であるものの「不穏な町にやってきた保安官」というスタイルは明らかに西部劇のそれで、現代的な早撃ち勝負なんかもあったりする。同じくティモシー・オリファント主演ということでHBOの西部劇ドラマ「デッドウッド」と比較する声が多いようだけど、俺はあのドラマ観たことないんで何とも言えんな。

とにかくセリフも脚本もカメラワークも音楽(担当はスティーブ・ポーカロ)も非常に手堅い出来になっていて、50分ほどの尺ながら重厚な小説を読んでいる気になって、そこらの劇場用映画よりも遥かに楽しめる内容になっていた。呑気そうな町の警察署長たちが実はかなり敏腕で、平気で警察を銃撃してくるネオナチと銃撃戦を繰り広げるシーンも非常に見応えあり。そして一番見事なのはティモシー・オリファントの演技で、常にカウボーイハットをかぶって不敵な笑みを浮かべ、すごく落ち着いて行動を起こす一方で、暗い過去をについて話すときは真剣な顔になるレイランを完璧に演じている。ティモシー・オリファントって「ヒットマン」のハゲ頭くらいしか印象に残ってなかったんだけど、こんなに巧みな役者だったのか。

もし難点があるとすれば登場人物たちの南部訛りが聞きづらいところと、第1話の話がかなりまとまっているために今後の展開がどういうものになるのか分からない点かな。いわゆる「一話完結」のスタイルをとるみたい。

「デッドウッド」同様に日本では受けにくい作品かもしれないが、アメリカでは順調にいけばいろいろ賞を穫るシリーズになるかも。今後も注目。

「PREDATORS」トレーラー

ヤクザ対プレデター!日本刀で奴らと戦うのか!ロバート・ロドリゲス(製作)はローズ・マクゴワンの色仕掛けにかかってどうなるかと思ったけど、こういう変なアクション映画の世界に戻ってきてくれて嬉しい限りです。

あといつも思うんだけど、プレデターって狩人としての腕前を競ってる連中なのに、強力な飛び道具(肩のレーザー銃)を使うのはズルいよな。

「ブロック・パーティ」鑑賞

いまだに復帰するんだかどうなんだかよく分からないデイヴ・シャペルが2004年に主催した、ブルックリンでの無料コンサートの姿を追ったドキュメンタリー。シャペルの地元のオハイオから近所のオバサンや大学のブラスバンドを招いたり、ヒッピー夫妻の家の前の区画を借りてステージを建てたあと、カニエ・ウェストやエリカ・バドゥ、モス・デフ、ジョン・レジェンドといった一流アーティストたちが揃ったコンサートが行われていくのが観ていて微笑ましい。個人的にはビッグバンドであるザ・ルーツが一番良かったかな。というかクエストラブは殆ど一日中ドラムを叩き続けてるのが凄いな。あと大トリのフージーズが皆よりも別格な扱いを受けている気がしなくもないが、まあ7年ぶりの再結成ということだから仕方ないか。

日本ではミシェル・ゴンドリーの監督作品という点が売りにされてたようだけど、映画の中心となるのは明らかにデイヴ・シャペル。相変わらず人種に関する際どいジョークを連発してるけど、このコンサートをすべて自費で賄ったという彼の人柄がよく分かる内容になっている。というか彼、コメディアンやるには性格が優しすぎるのかもしれない。この映画の公開と前後して神経衰弱(?)になって大人気番組「シャペルズ・ショー」を降板してしまったわけだが、最近また動向をチラホラ聞くようになったのでぜひ皆の前に復帰してほしいところです。

特にハプニングとかも起きないので弱冠まったりしている感じがするけど、とても良い映画でした。

「Sons of Tucson」鑑賞

フォックスの新作シットコム。舞台は題名のとおりアリゾナ州ツーソンで、主人公のロン(「REAPER ~デビルバスター~」のデブ君だ)はスポーツ用品店で働いているものの金がなくて車に寝泊まりしているようなグータラ男で、知り合いに借金を返せなくて追われているような始末。そんな彼はある日、3人の男の子たちに目を付けられる。彼らの父親は銀行家だったものの不正を働いたことで刑務所送りになってしまい、彼らには父親の膨大な資産が残されたのだった。養護施設に送られるのを嫌がった3人はニュージャージーからツーソンに逃げてきて、転校の手続きなど大人の手を借りる必要があるときのために、ロンを「父親」として雇うことに決めたのだという。最初はこれを嫌がっていたロンだったが、大金を目にして心が変わり、こうしてロンと3人の奇妙な家庭生活が始まるのだった…というようなプロット。

「金持ちのクソガキ」と「愚鈍なデブ」という俺が忌み嫌う連中を主役にもってきた時点でもはや番組に対する興味は失せたのだが、ジョークはツマらないしストーリーも平凡で、ぜんぜん見る価値ないなあといった作品。「マルコム・イン・ザ・ミドル」の役者の1人がプロデューサーを務めていることもあり、アメリカでは「マルコム〜」と比べられているようだけど、あっちのほうが子役の演技とかはずっと上手かったぞ。

むしろ汚い言葉遣いとかをなくして、ディズニー・チャンネルあたり向けの他愛ないコメディにしたほうが良かったんじゃないのかなあ。本国の評判も良くないみたいだし、そんなに長続きしないでしょう。

ロジャー・コーマンのアカデミー授賞式

ロジャー・コーマン大先生にこないだアカデミーの功労賞が贈られたわけだが、その授賞式の映像がアカデミーの公式サイトにアップされていた。ロン・ハワードの祝辞に始まり、タランティーノによるトリビュート、そしてジョナサン・デミによるオスカー授与という光景が実にアットホームな雰囲気があって微笑ましい。

周囲に座っている面々もかなり凄くて、ジャック・ニコルソンにピーター・ボグダノヴィッチ、ジョー・ダンテなどなど。こういうの見るとコーマンの功績を再認識させられますね。「成功するのはオリジナルの映画を作る度胸のある者たちだ」というコーマン先生のスピーチも素晴らしい。興味のある人はぜひご鑑賞あれ。