「DOMINION」鑑賞


Syfyチャンネルの新番組。なんかポール・ベタニーが主演した2010年の映画「レギオン」の続編だそうですが、なぜあんなマイナーな映画の続編を今さら?監督が売り込み頑張ったんだろうな。

舞台は映画版の25年後。神が去ったあとの世界は天使たちに襲撃されて荒廃し、生き残った人類たちは各地の都市に散らばって暮らしていた。主人公のアレックスは城塞都市となったラスベガスを護る兵士の一人だったが、ある日彼を幼いときに見捨てた父親と再会する。彼の父親こそ映画版のジープ・ハンソンであり、彼は体中につけられたイレズミの謎を解明するために世界を放浪していたのだった。その一方でラスベガスの指導者たちの間では不穏な権力争いが起き、さらにはより強力な天使を味方にした天使たちが街を襲撃する…というような内容。

おれ「レギオン」いちおう観たけど内容憶えてないがな…ジープ・ハンソンに加えて、人間たちの味方となる天使ミカエルが映画版に引き続いて登場するのだが、ポール・ベタニーが演じてないので同じ役だと気づくのに30分くらいかかったぞ。映画版は砂漠のなかのダイナーを天使たちが襲撃するという単純な内容だったけど、こちらはなぜ天使たちは飛べるのにラスベガスの空はろくに防御されてないのかとか、そもそも天使たちが人間に憑依できるのなら防御する術ってないんじゃね?などと細かいところが気になってしまうな。

なお荒廃した地球で街を護る物語、という点では同じSyfyの「Defiance」に似てるな。というかあの番組があるのに、なぜ似たような番組にゴーサインを出したのかがよく分からん。出てる役者も「バフィ」のアンソニー・ヘッド以外はよく知らない人たちばかりです。

そして劇場版ではダイナーで生まれた赤ん坊が、人類を救済する「選ばれし者」であるという設定だったけど、ネタバレをしてしまうとアレックスがその赤ん坊だそうな。おれ個人的にこの「選ばれし者」とか「古の予言で語られていた者」とかいう設定が苦手でして、予言がそんなに当たるなら主人公は別に努力する必用ないんじゃない?と思ってしまうのです。むしろ「選ばれてない者」が人類を救うような話の方が面白いだろうにねえ。

「SUPERHEROES」鑑賞


前からちょっと観たかったHBO製作のドキュメンタリー。

いわゆる『キック・アス』的な、リアルにスーパーヒーローの格好をして犯罪と戦う人たちを追ったもので、サンディエゴやブルックリン、はてはバンクーバーと北米各地で活動する、『マスター・レジェンド』や『ミスター・エクストリーム』といった人々を紹介している。おそらく世間的にいちばん有名なヒーローであるシアトルのフェニックス・ジョーンズは登場していなかった。

もちろんタイトルとは裏腹に誰もスーパーパワーなんて持ってなくて、格闘技を習ったりプロテクターを着けたりスタンガンを持ったりして夜のパトロールへと彼らは出かけていく。彼らがヒーローになった動機はおおまかに2つあって、崩壊家庭の出身で学校でもイジめられており、その反動でヒーローになったというのと、困っている人たちを見過ごすことができずに社会貢献のためヒーローになったというもの。「ウォッチメン」でも言及されていたキティ・ジェノヴィーズ事件を動機に挙げていた人もいたな。あと「子供のときにコスチュームをまとってイジメッ子を待ち伏せし、ボコボコにした」と語る人もいるんだが、それって犯罪では…。

彼らの多くは警察や司法制度をあまり信用しておらず、自らの手で犯罪を防ごうとヒーローになったらしく、そこらへんの考えがアメリカンだなあと。とはいえ完全に法の外で活動するわけにもいかないから、犯罪を目撃したら警察に通報するとか、そういう関係を保っているみたい。警察側は彼らの活動をあまり好ましく思っていないものの、大目に見ている状態らしい。劇中では警察の犯罪学者へのインタビューが行なわれ、彼らが危険に身をさらしていることや、彼らが持っている武器(スタンガンや警棒などで、銃は持っていない)などに懸念が示されている。あとはスタン・リーも出てきて、「彼はケガしたりせんじゃろか…」と心配をしていた。

「俺は格闘技を習得している」と語りつつも腹をタポタポさせてたり、パトロールの合間にビールをグビグビ飲んでるヒーローを見ると、すごく頼りない気がするものの、チームを組んでホームレスに物資を配ってたりするのは偉いよね。このドキュメンタリーもそんな彼らを基本的には好意的に描いている。ただ2012年のトレイヴォン・マーティン事件(自警団を気取ったバカが17歳の黒人少年をつけまわして射殺し、しかもなぜか無罪になった)のこととかを考えると、スーパーヒーロー活動とああいう自警団活動って紙一重の違いではないかと複雑な気分になってしまうのです。

「Halt and Catch Fire」鑑賞


AMCの新シリーズ。例によって公式サイトで第1話が視聴可能。タイトルはコンピューターを暴走(?)させる初期のコマンドらしい。

舞台は1983年。IBMがコンピューター市場を席巻しているなか、元IBM社員のジョー・マクミランがテキサスにある弱小コンピューター会社のカーディフ・エレクトリックにふらっと現れ、そこで働くことに。そしてそこの社員であるゴードン・クラークの才能に目を付けたマクミランは、大きな仕事を持ちかける:それはIBMの人気コンピューターをリバース・エンジニアリングするというものだった。その合法性に疑問を抱きながらも、かつて自身のプロジェクトが挫折した経験を持つクラークは熱意を持って作業に取り組む。さらにマクミランは自分たちの意図をIBMに通告し、彼らが法的措置をチラつかせたことでカーディフ・エレクトリックは否が応でもマクミランを支援しなければならない状況を作り出す。そして才能ある女学生のキャメロン・ハウをチームに加えたマクミランたちは、IBMという巨人を相手にコンピューター業界に革命をもたらそうとするのだった…というプロット。

あちらのメディアでは「80年代版マッドメン」と呼ばれていて、まあ妥当といえば妥当でしょう。そんなに史実に基づいた話にはなってないらしいが、山師のような主人公とヒゲとメガネの相棒、という図式はスティーブ・ジョブズとウォズニアックのコンビを連想せずにはいられない。またゴードン・クラークとその妻は、IBMに負けたOSの開発者がモデルになっているのだとか。なお劇中ではアップルはすでにアップルIIを発表していて、業界の大物という扱いになっている。

俺もコンピューターのこととかそんなに詳しいわけではないけど、最近のキーボードをカタカタさせてハッキングするようなものとは異なり、半田ごてと電光掲示板を使ってIBMのマシンのROMを解読していくさまなどは結構面白かった。あと法的にカーディフ・エレクトリックが主人公たちを支援せざるを得ない状況に持っていく過程がいまいちよく分からなかったけど、上司に疎まれながらもプロジェクトを推進していくという描写はスリルがあってよろしい。ザ・クラッシュやXTCといった当時のバンドによる曲も効果的に使用されている。

出演はリー・ペイスにスクート・マクネイリーにマッケンジー・デイビス…ってあまり日本では有名でないキャストかな。古くさいコンピューターなんかテーマにしてどうなんだろうと思っていたら意外と楽しめる内容であった。ただし第1話の視聴率は芳しくなかったらしいので、第2の「マッドメン」になることはできないかもしれない。

「CROSSBONES」鑑賞


「刑事ジョン・ルーサー」のクリエーターによりNBCの新作シリーズ。この時期に始まる番組って、シットコムの場合は殆どが見殺しにされるわけですが、ドラマのほうは1年前にパイロットが製作されてた「NIGHT SHIFT」とか「GANG RELATED」をネットワークがそれなりに力を入れて宣伝してるわけで、あれってどういう扱いになるんだろう。ミッド・シーズンならぬ夏のシリーズ?この番組もいま始まってミニ・シリーズ扱いになるのかどうかよく分からず。

舞台は1712年。圧倒的な海軍力をもって七つの海をまたにかけていたイギリス帝国だが、それでも海では遭難や難破が相次ぎ、また幾つかの船は海賊の餌食となっていた。そこでより安全な航海を達成させるためにクロノメーターが発明され、ジャマイカからイギリスへと運ばれることになる。しかしクロノメーターを運んだ船は海賊に襲撃され、船医のトム・ロウは捕獲されて謎の島へと連行される。その島を支配するのは死んだと思われていた悪名高き海賊ブラックベアードであり、彼はクロノメーターの秘密をロウから聞き出そうとする。しかしロウは実はイギリスから密令を受けたスパイであり、その任務はクロノメーターの秘密を守ること、そしてブラックベアードを殺害することだった…というストーリー。

いま流行りの海賊ものだけど海洋での冒険などはあまりなく、島での駆け引きがメインになっている。見所はやはりジョン・マルコヴィッチがブラックベアードを演じているところで、例の微妙に視点が合わない顔で脅しの言葉を次々と繰り出すさまとかは、なんかイッてしまっていて楽しいのですが、実質的な主人公は彼でなくリチャード・コイル演じるトム・ロウであるみたい。というかブラックベアードがなんか弱いのよ!なんかトム・ロウに手玉にとられてる感じ。というかトム・ロウが強いのかな。捕虜の身でありながら夜警をなぎたおしていろんなところウロついてるし、ブラックベアードに毒を盛ることに成功しておきながら、「彼の持ってる情報が必要だ!」とか言って彼を救ってるし。なんか全体的に登場人物がチマチマしてるんだよな。

ジョン・マルコヴィッチの演技が観られるのは嬉しいのですが、どうもパッとしないシリーズである。本国の評判もイマイチのようなので、全10話のミニ・シリーズ的な扱いで終ってしまうでしょう。

「ゴジラ」鑑賞


これもアメリカで観てきたので、ネタバレにならぬよう感想をざっと。なお俺自身は昭和版のゴジラやガメラ作品はそれなりに観ていたけど、84年の「ゴジラ」を最後にそれ以降のものは観ておりませぬ。

・まず何よりも「人智を超えた存在」かつ「正義の味方」であるゴジラの描写が巧みなバランスで描かれていたと思う。

・もうご存知の方も多いかとは思いますが、ゴジラ以外の怪獣が劇中では登場するわけで、それらを悪役にすることでゴジラを(いちおう)人間の側に立たせることができているわけなんですね。

・話の後半になるまでゴジラがまっとうに姿を見せない演出は賛否両論あるみたいだけど、ベタに出まくるよりも良いんじゃないですか。むしろゴジラの全貌をなかなか見せないことで臨場感を高めている。

・そしてゴジラに多くの「決め」のシーンを与えてるあたり、監督は分かってんなあと。放射能火焔を吐く前に、暗闇のなかで青く光る背びれが映ったときはゾクゾクしましたね。

・「人間 VS 怪獣」のスタンスをとっていたエメリッヒ版「ゴジラ」に対し、こちらの怪獣たちは自然の猛威の象徴であり、人間たちはその猛威を目前にしてうろたえることしかできない。とはいえ人間の視点からとらえた怪獣映画に徹していたし、父と子の絆とか、家族のもとに帰ろうとする兵士の物語などがうまく織り込まれていた(「Xメン」に比べるとかなり単純な描写であることは否めないが)。

・日本の描写は確かにツッコミどころも多いんだけど、そしたらネバダとかハワイの描写も変らしいので、そこをとやかく言うのはやめましょう。ブライアン・クランストンも日本語がんばってます。しかし「ジャンジラ」って何が由来なんだろう。

・明らかに東北の震災をモデルにした津波や原発事故の描写があるものの、放射能はメタファーでも何でもなく、もろに話のプロットの中心となってます。だから「怪獣は放射能の脅威の象徴であり…」などと語るのは野暮かと。最後にXXXしたのはアメリカンだなーと思いましたが。

・日本映画には比類なき予算とプロセスをかけ、過去の作品にもきちんと敬意を払って作られた作品であり、こういうの作られると日本で「ゴジラ」作るのは相当難しくなるんじゃないかと。とはいえ映画館から出てきた直後に、ああして欲しかった、こうして欲しかったと思ってしまうわけで、まあ数十年の思い入れを1つの映画ですべて解消するのは無理でしょう。続編の製作もさっそく決まったらしいので、次は佐原健二とM宇宙ハンター星雲人の登場を希望します。