「The Goodwin Games」鑑賞


先月はじまったフォックスのシットコム。クリエーターは「ママと恋に落ちるまで」の人たち。この時期に始まることに加え、パイロット版からキャストが交代したり、製作本数が13話から7話に削られたあたりは死亡フラグ立ちまくりなのですが、俺はそこそこ面白いと思ったのでちょっと紹介します。

主人公となるのは、金持ちのベンジャミン・グッドウィンの3人の子供たち。長兄のヘンリーは才能のある医者で、長女のクロエは幼い頃は天才だったものの今は売れない女優見習い。そして次男のジミーは刑務所への出入りを繰り返していて、娘にまで愛想をつかされているボンクラ。

そんな彼らはお互いに、そして父親とも長らく疎遠になっていたが、ある日突然ベンジャミンがぽっくりと他界してしまったために故郷で久々に顔を合わせることになる。そして父親が2300万ドルもの遺産を残していることに驚愕し、歓喜する3人。しかしベンジャミンは遺言のビデオメッセージを山ほど残しており、遺産の相続条件を明確にしていた:子供たち3人は彼の指定するゲームで競いあい、最後に勝ったものだけが遺産を手にすることができるというのだ。そして最初に与えられたゲームはトリビアル・パスート。単に雑学の知識を競い合うのかと思いきや、カードに書かれた質問はすべて子供たちの幼少時代にまつわる質問であった。つまりベンジャミンはゲームを通じて子供たちに愛情を伝えようとしたのだ。そのことにちょっと感動しながらも、3人は遺産獲得のためにゲームを続けることになり…というプロット。

頭のネジの緩んだ親父のもとで育った子供たち、という設定は「アレステッド・ディベロップメント」に似てるところがあると思うんだけど、あそこまでの人気作にはならないだろうな。主人公の子供たち3人を演じる役者はあまりよく知らないけど(ジミーー役のTJ・ミラーって名前は聞いたことがあるな)、ベンジャミンをボー・ブリッジズが演じ、ビデオ越しでの子供たちとのやりとりを見せてくれる。

ちょっとホロリとさせるところもあり、個人的には結構楽しめたんだけどね。やはり打ち切りは確実でしょうか。

「SOUND CITY」鑑賞


デイヴ・グロールが監督したドキュメンタリー。

ロサンゼルスにあったサウンド・シティという伝説的な録音スタジオを扱ったもので、60年代にヴォックスのショールームを改装して作られたサウンド・シティは(偶然にも)抜群のドラム・サウンドを誇っており、大枚をはたいてカスタムメイドしてもらったニーヴのミキシング・コンソールを装備していた。ニール・ヤングの「アフター・ザ・ゴールドラッシュ」はここで録音されたほか、スティーヴィー・ニックスとリンジー・バッキンガムのアルバムも製作されていた。そしてスタジオにたまたま来ていたミック・フリートウッドが彼らに出会い、そこでフリートウッド・マックのアルバムが録音されたことからミュージシャンの注目を集めるようになり、トム・ペティ&ハートブレイカーズ、グレイトフル・デッド、チープ・トリックといった有名どころが続々とアルバムをそこで収録していく。

またスタジオのオーナーたちはバンドのマネージメントも行うようになり、リック・スプリングフィールドを発掘して大当たりするものの、その後のマネージメントは成功しなかった(スプリングフィールドの奥さんはスタジオの元スタッフだそうな)。さらに80年代になってからはシーケンサーやサンプラーなどがポピュラーになり、デジタル音源が好まれるようになって、アナログ一辺倒だったサウンド・シティの人気は下火になっていく。しかし90年代になってニルヴァーナがたまたまそこで「ネバーマインド」を録音し、それが世界的な大ヒットになったことから、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンやレッチリなどといったバンドがそこを使用することになる。2000年代になってもメタリカやQOTSAなどの有名バンドがアルバムを録音するものの、プロツールズの台頭による製作費のコスト削減の波には勝てず、2011年をもってサウンド・シティは閉じてしまったらしい。

そしてこのオンボロスタジオの思い出をニール・ヤングやスプリングフィールド、リック・ルービンにブッチ・ヴィグなどといった関係者がいろいろ出てきて語っていく。またニーヴのコンソールはその後グロールが買い取って自分のスタジオに設置し、そこでポール・マッカートニーやクリス・ノヴォセリックとセッションをしたりする姿が後半30分くらい紹介されている。

グロールの音楽好きと、他のミュージシャンへのリスペクトはひしひしと伝わってくる内容ではあるものの、登場するミュージシャンの話はどれもスタジオを褒めてるだけで深い話はされないし、観たあとで考えさせられるようなドキュメンタリーではないな。アナログ万歳みたいな内容になるかなと思いきやプロツールズも悪くないよね、みたいな展開になってたし。サウンド・シティの閉鎖のことがきちんと描かれず、そのままグロールのスタジオに話が移るのも不満といえば不満かな。アメリカでは高い評価を受けたようだけど、劇場で金払ってまで観るほどの出来ではないかと。ここに出てくるミュージシャンたちを好きな人なら観て楽しめるし、そうでない人はあまり得るものがないだろうという、まあそんな感じの作品です。

「THE FOSTERS」鑑賞


ABCファミリーの新作シリーズ。新作も結構ですが「Bunheads」のシーズン2を早く決定してください。

名前の通り里親(foster family)の一家の生活を描いたもので、校長先生のレナ・フォスターと警官のステフはレズビアンの夫婦で、ステフの実の息子のほかにヘスースとマリアナという2人のティーンたちを里子にして育てていた。さらにレナは鑑別所から出てきたキャリーという少女に出会い、不憫に感じた彼女はキャリーも家に迎えることにする。さらにキャリーには別の里親に虐待を受けている弟がいることが分かり、レナたちは彼も一家に迎えることに。こうして一気に7人の大家族となったフォスター家の物語が始まるのでした…という設定。

内容は「The Middleman」とか「Huge」みたいにエッジの効いたものではなく、比較的穏健な、いかにもABCファミリー的な家族ドラマになっているのかな。ただ特筆すべきは里親がレズビアン(しかも白人と黒人)のカップルであるということで、パット・ロバートソンの番組を抱えているチャンネルにしてはABCファミリーってここらへんは先駆的だよね。15年くらい前にはABCでゲイをテーマにした「Ellen」が打ち切りになったことを考えると、ここ10年くらいのあいだにアメリカのテレビってLGBTにすごく寛容的になったような気がするのですが、どうでしょうか。

とはいえ政治的に正しいのは結構ですが、内容は普通の家族ドラマといった感じでそんなに面白いものではないかな。あと気になったのは照明の使い方で、画面が暗いというよりも、なんか人物の顔にきちんと光が当たってないような?おかげで全体的に話が陰気くさくなっているような気がする。あまり自分が好きなタイプの番組ではないですが、似たような設定の「スイッチ~運命のいたずら」なんかは人気があるようだし、今後の展開次第ではブレークする番組かも。

「GRACELAND」鑑賞


アメリカでは地上波ネットワークが微妙な新番組を今になって放送開始している一方で、ケーブル局では鳴り物入りの新作を夏に向けていろいろ出していっているのであります。これは「ホワイトカラー」のクリエーターによるUSAネットワークの新シリーズ。

舞台となるのは南カリフォルニアのビーチに面した「グレイスランド」という建物で、そこは麻薬王のものだったのを押収して以来、FBIとDEA(麻薬取締局)とICE(移民関税執行局)の3つの組織のエージェントたちが住む場所として用いられていた。そしてFBIの新人エージェントであるマイクは、訓練も兼ねてグレイスランドへと送られてくる。ベテランのエージェントであるポール・ブリッグスのもとで麻薬組織への潜入捜査などを行うマイクだったが、彼には隠された任務が与えられていて…というプロット。

カリフォルニアの陽光のなかでエージェントたちがサーフィンしてプカプカと波に浮いている光景はいかにもUSAネットワークの番組だなあ、という気もするけれど潜入捜査をしてウソをつきまくり、ロシアンマフィアたちと駆け引きをする展開などはスリルがあって結構面白いですよ。あとは複数の男女が同居するという設定が刑事ドラマとしては目新しいのではないかな。

出演者は俺があまり知らない人たちでして、ダニエル・サンジャタとかアーロン・トヴェイトとか。FBIの上司役でコートニー・B・ヴァンスがゲスト出演していた。

同じUSAネットワークの「バーン・ノーティス」に比べるとアクションが少なく、「ホワイトカラー」ほど気楽に観られる内容ではないけれど、今後の展開によっては大きく人気が出る可能性を持った番組ではないでしょうか。

「SAVE ME」鑑賞


NBCの新シットコム…といってもおれ1年前にこのパイロットを観ているわけですが。

どうもこの時期に始まる地上波のシリーズって、ネットワークがミッドシーズン用に製作を発注しといたんだけど、なんか良いタイミングで開始できなくて、そのまま消化試合的に初夏にさっさと放送しておしまい、という傾向が強まってきているような?こないだの「FAMILY TOOLS」も速攻で打ち切られてJKシモンズは別のシットコムに出演が決まってるし。

もちろんネットワークには彼らなりの動機があるのでしょうが、例えば「THE OFFICE」なぞはミッドシーズンから始まって辛抱強くシーズン2も放送したおかげでああやって大成功したわけだし、もうちょっと自分のところの番組を大切にしても良いと思うんですけどね。こないだフォックスで始まった「The Goodwin Games」なんかかなり面白いと個人的には思ってるのだけど。ちなみにこの「SAVE ME」も放送開始から死亡フラグが立ってると見なされてるようです。

主人公のベスはごく普通の主婦だったが、生真面目な性格ゆえに娘や近所の主婦たちには敬遠され、おまけに夫は浮気をして離婚を持ちかけようとしている有様だった。そんな状況に嫌気がさした彼女は酔っぱらってヤケ食いをしたあげく、サンドイッチを喉に詰まらせて卒倒してしまう。しかしその臨死体験が彼女を変え、「神様」の声が直接聞こえることになってしまう。彼女はこの力を使って、周囲の人の心を読んだりして皆のためになろうとするものの、それがさらに騒動を巻き起こして…というプロット。

臨死体験をしたあとに頭のネジが緩んだような言動をするベスを演じるのがアン・ヘッシュ。現実世界でも頭のネジが緩んだような言動をしてタブロイドを賑わせてる女優なのでその演技はかなり真に迫っていて良いのですが、なんか役者の私生活を利用してるみたいで気まずい感じもするな。そんな彼女に翻弄される夫を演じるのがマイケル・ランデス。何度も言うが彼が出ていたSFドラマ「Special Unit 2」は知られざる傑作なのでyoutubeできちんと視聴するように。

最近のシットコムのなかではキャラも立ってるし、不快なジョークもなくてそんなに悪い作品だとは思わないんだけどね。主役もよく知られてるんだから、ちゃんと宣伝してあげればそこそこは人気出そうなものなんだけど、やはりすぐ打ち切られるのかなあ。