「ZOMBIELAND」鑑賞

邦題は「ようこそゾンビランドへ」になるんだっけ?アメリカ人が「ショーン・オブ・ザ・デッド」を作ったたらこうなりました、というような映画。良くも悪くもストーリーが一本調子で、良くも悪くもキャラクター設定が皆無だったりする。要するに深く考えずに笑って観ろよ、ということなんだろうけど。

謎の原因により世界中の人々がゾンビになってしまったなか、奇跡的に生き残った主人公は女の子とキスもしたことがない内気な少年だったが、自分なりの生存のルールを身につけ、それに頼ることでゾンビの襲撃から逃れていた。彼は銃とトゥインキーをこよなく愛するタフな男に出会って一緒に旅をするようになり、さらに狡猾な姉妹に遭遇して西部を目指すのだが…というのが大まかなプロット。ただし具体的に主人公たちが何かを目指すといった目的が欠如しているため、90分弱の尺ながら中盤のビル・マーレイが出てくるあたりは結構話がダレていたような。

ウディ・ハレルソンの暴れぶりは面白いし特殊効果もよく出来ているし、笑えるところも多々あるものの、ゾンビ・コメディとしては「ショーン〜」に遠く及ばないかな。あっちはキャラクター設定がしっかりしていて登場人物にきちんと感情移入することができたからね。こちらは主人公がどうにか女の子と仲良くなろうとドギマギする点が面白いものの、ジェシー・エイゼンバーグは「イカとクジラ」や「アドベンチャーランド」で全く同じことをやってたので目新しさはなし(逆に言えばハマリ役なわけだが)。

もうちょっと脚本や演出を練れば傑作になったかもしれないのに、普通のポップコーン映画に留まってしまったのは残念なところ。続編の噂もあるみたいなので、次はもっと熟練した監督に任せればいいんじゃないかと。

ちなみにゾンビ映画をみる度に思うのですが、なんでみんなショットガンを使うんだろう。もっと連射が効く銃のほうが効果的じゃない?猟銃だから入手しやすいということなのかな。

来シーズンはマイノリティが主演のシリーズが増えるんだと

今年の秋に始まる新シーズンに向けて、アメリカではTVシリーズのパイロット版製作が本格的になってくるわけですが、今年は例年に比べてマイノリティが主役を演じる作品が多いという記事があった。

ざっと読んだ限りではフォレスト・ウィテカーやマギー・Qといった人たちが主役を務める作品が作られるほか、主役ではないものの「ハワイ5−0」のリメイクにはダニエル・デイ・キムとかグレイス・パークなんかが出演するらしい。以前はマイノリティというと黒人かラテン系くらいに限られてたけど、最近はインド系とかアジア系も増えてきてるのは良いことですね。

しかし「ハワイ5−0」だの「ロックフォードの事件メモ」だの、相変わらず過去の作品のリメイクばっか作られるよな。映画のほうも続編とかリメイクとかゲームの映像化とかばっかりで、最近どこもアイデアが枯渇しているのが如実に感じられるのです。

ロジャー・イバートの新しい声


アメリカでおそらく最も高い知名度と影響力を誇る映画評論家であるロジャー・イバートは、ガンにやられて下顎を切除したために会話ができなくなってしまったわけだが、スコットランドの会社が開発したソフトウェアにより、以前の肉声に近いスピーチをコンピューター経由で出せるようになったんだとか。上のクリップで確認する限り、ホーキング博士のあれよりもずっと美声で、Mo’niqueなんて単語も普通に発音できているみたい。いま流行りのオートチューン使って歌ってる人のようにも聞こえますが。

ちなみにイバートの妻はすごい巨乳だという評判を聞いてたんですが…この映像からだとよく分からんな。

「PARENTHOOD」鑑賞

去年の秋口から話題になってたような気がするNBCの新作ドラマ。ロン・ハワードの1988年の映画「バックマン家の人々」をTVドラマ化したもので、あの映画は以前にもシットコム化されてるらしい…元の映画を観てないので何とも言えないけど、それだけ再映像化されるということはアメリカ人のあいだで人気のある映画なんだろうか。

今回のバージョンでは主人公の一家がブレイバーマン家という名前になっていて、いろいろ口うるさい一家の長とその妻、彼らの2人の息子と2人の娘、さらにその伴侶と子供たちという3世代に渡った大家族における生活や子育ての姿を描いたファミリードラマになっている。一家の長男は息子がアスペルガー症候群だと診断されてうろたえたり、グータラな次男は恋人に子づくりをせがまれたり、離婚歴のある長女は2人の子供を抱えつつも新たな恋人を探したりといった、まあ以前にもどこかで観たような展開がいろいろ続いてく内容になってたかな。全体的に登場人物が多すぎるうえに話が詰め込まれすぎていたかも。

主役を「シックス・フィート・アンダー」のピーター・クラウスが演じるほか、クレイグ・T・ネルソンや「ギルモア・ガールズ」のローレン・グレアムが出てたり、さらには「イディオクラシー」のダックス・シェパードがいたりとキャストはなかなか豪華。主要キャストが全員白人だというのはどうかと思うけどね。演出やカメラワークも凝ってるし、決して悪い作品だとは思わないけど、個人的にファミリー・ドラマってあまり興味がないので、次も観たいという気にはならなかったな。

あとロン・ハワードの映画をTVシリーズ化するんだったら、「ガン・ホー」がちょうど旬でいいんじゃないの?トヨタ(がモデルの会社)を舞台に、地に墜ちた会社の評判を日本人社長とアメリカ人従業員が頑張って立て直していく内容とかにしてさ。

「THE CORNER」鑑賞

「THE WIRE」のデビッド・サイモンとエド・バーンズが書いた本をHBOが2000年に映像化したミニ・シリーズ。自身もボルチモアのストリート出身であるチャールズ・S・ダットンの監督のもと、ボルチモアで貧困と麻薬から抜け出そうとする人々の悲劇を描いている。

話の中心となるのは麻薬常習者のゲリーとその元妻で同じく常習者のフラン、および二人の息子であるデアンドレの3人。ゲリーは麻薬を断ちたいと思いつつも売人のいる街角(コーナー)の誘惑から勝てず、麻薬を買う金を日々どうにか工面するホームレス同様の暮らしを送っており、フランもデアンドレとその弟を女手一つで育てるストレスなどから麻薬に手を伸ばしてしまう毎日を送っていた。そしてデアンドレはろくに学校にも行かず、バイトをしてもすぐ辞めてしまうことから楽な儲けを狙って麻薬の売人の道を進もうとしていた。そしてついにフランは麻薬を断とうと施設に入所するが、その一方ではデアンドレが恋人を妊娠させてしまっていた…というのが大まかなプロット。また現在の彼らの姿にあわせ、過去の彼らが裕福で幸せだった頃の姿と、麻薬に手を染めて転落していった頃の姿がフラッシュバックで紹介されていく。

主人公の3人や彼らをとりまく人々はみんな実在の人物をモデルにしており(シリーズの最後に本人たちが登場する)、貧しいストリートの描写は真に迫ったものになっている。ただし個人的には「THE WIRE」を先に観てたこともあって、『「THE WIRE」のプロトタイプ』という印象が最後まで拭えなかったかな。ミニ・シリーズと長編ドラマを比べるのは不公平だろうが、この作品では貧しき人々たちの姿だけが描かれていたのに対し、「THE WIRE」は警察や市政や教育という様々な分野に焦点をあて、なぜ貧困が消えず麻薬の売買が行われ続けるのかをきちんと説明した神のようなドラマであったわけで。ちなみに後に「THE WIRE」にも出てくる役者がたくさん出演していて、殆どが麻薬常習者を演じているのが面白かったな。

あと細かいことを言えば、どのエピソードも冒頭が登場人物に対するインタビューの形式をとっていて、なぜ彼らが今のような境遇になったかを尋ねたりするんだけど、そこだけ変に教育映画みたいな雰囲気になっていて好きにはなれなかったかな。

決して悪い作品ではなくて、むしろ傑作の部類に入るミニ・シリーズだと思うけど、今だったらこれを観るよりも「THE WIRE」を観ることをお勧めします。