「デイトリッパー」鑑賞

「スーパーバッド」や「Adventureland」のグレッグ・モットーラ監督のデビュー作(1996)。プロデューサーはスティーブン・ソダーバーグ。

ロングアイランドに住むイライザは夫のルイスと幸せな夫婦生活を送っていると思っていたが、ある日夫の服のポケットにラブレターらしき手紙が入っているのを発見してしまう。これに驚いた彼女は実家の両親に相談したところ、直接ルイスに会って真相を問いただすのが最良だと説得され、イライザとその両親、および妹とその婚約者の5人はステーションワゴンに乗り込み、ルイスが働くニューヨークへやってくるのだったが…というような話。

ニューヨークの郊外ロケを多用した撮影や、変にインテリな会話が始まる展開なんかはいかにも90年代のインディペンデント映画という感じだけど、1日の旅において家族の絆と価値観が見直され、家族みんなが何かしらの形で成長していくさまが手堅く描かれていて面白い。またキャストが異様に豪華で、ホープ・デイビスやリーヴ・シュレイバー、パーカー・ポージー、スタンリー・トゥッチ、キャンベル・スコット、マーシャ・ゲイ・ハーデンなど後に主役級の役者となる面々が揃っているのが結構凄い。母親役のアン・メアラ(ベン・スティラーの母親)がいちばん熱演してたかな。

全体的に少し古めかしい気がするのは否めないが(ワールド・トレード・センターが出てくるだけで時代を感じるようになってしまった)、よく出来た小品。個人的には「Adventureland」よりもお薦めかも。

「Outer Space Astronauts」鑑賞

Sci-Fi改めSyfyチャンネルの新番組。上の写真のように生身の人間の顔にCGの胴体がくっついているという趣向のアニメで、グータラな船長の率いる宇宙船のクルーがさまざまなドタバタに巻き込まれて…というコメディなんだけど、ものすごくツマらない…ギャグは最初から最後までお寒い限りだし、CGはショボいし、登場人物は無駄に多いし、観ていてクスリと笑うこともできないような代物だった。

これがウェブ用の番組とかだったらまだ許せたかもしれないが、ケーブル・チャンネルの30分枠で流すようなものじゃないよ。「バトルスター・ギャラクティカ」と同じチャンネルの番組とは思えないですね。変なCGに金をかけるんだったら、段ボールの宇宙船とかアルミホイルの宇宙服とか使ったほうがまだ趣きは出るんじゃないのかなあ。

アメリカでも酷評されてるようなのですぐに打ち切られるだろうけど、「スリー・キングス」のデビッド・O・ラッセルがプロデューサーに名を連ねてるのが謎ではある。あの人相変わらず訳わかんないことやってんな。

奥さん vs 忍者

なんだこりゃ。Variety誌が伝えるところによると、「アバウト・シュミット」などを手がけたプロデューサーが「WIFE vs. NINJA」なる映画を製作するそうな。これはロングアイランドに住む主婦が、科学者である彼女の夫を奪った美しきインターンが、実は彼の研究を狙った残酷な忍者であることを知ってしまい…というような話らしい。なんだかよく分からん。でもちょっと期待。奥さんと女忍者のキャットファイトとかが拝めるんだろうか。

ちなみに「the high-concept script」って書かれてるんだけど、これのどこがハイコンセプトなんだよ!

09年、そして00年代のベスト

「AVクラブ」で2009年のベスト・アルバム25作品が選出されていた。どれも聴いたことないアルバムばかり…。去年も一昨年も同じこと書いたが、もう音楽シーンの動きにに完全についていけてないですね。最近は新しいアルバムとか殆ど買わず、図書館で昔のアルバムを漁ってるような生活してるから当然といえば当然なんだが。

加えて今年は00年代の最後の年ということでいろんな批評家がいろんな00年代のベストを選出していて、まあ個人的には特に映画のリストに目がいくんだけど、有名どころでも実は未見の作品が多いことに気づいて唖然とさせられる。「ウォーリー」とか「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」とか俺まだ観てないんだよな。いったい自分はこの10年のあいだ何をやってたのかと。ひねくれたドキュメンタリーとか観てるヒマがあったら、先にこういう有名どころの作品を観とかないと偉そうなことは言えないすね。

「SUGAR」鑑賞

野球が題材のアートハウス・シネマなんて初めて観た。

ドミニカ共和国の野球クラブでピッチャーをしていたミゲル・”シュガー”・サントスは、スカウトに教えられたナックル・カーブが認められてカンサス・シティーのメジャーリーグ・チームのキャンプへと招かれる。家族を離れてフェニックスのキャンプ場にやってきたシュガーはそこでも実力が認められ、アイオワのド田舎に拠点を置くマイナー・リーグのチームでプレーすることに。慣れない環境に戸惑いながらも徐々に力をつけていき、勝利を重ねるようになったシュガーだが、足を怪我したことでスランプに陥ってしまい…というのが大まかなプロット。

話の前半はそれなりのサクセス・ストーリーなんだけど爽快感などはまるでなく、レストランのメニューも読めないような選手が異国のマウンドに立つことの壮絶な孤独感がうまく描かれている(全体的に撮影が巧い)。成績が出せなければ即刻で解雇される環境のなか、周囲の人間とろくに意思疎通もできずにプレッシャーに押しつぶされていくシュガーの姿が哀愁を誘っていた。

そしてシュガーやその代わりのピッチャーがどれだけ活躍したとしても所詮はマイナー・リーグでの話であるわけで、アメリカの野球界の選手層がどれだけ分厚いかを実感させてくれる映画であった。前に「フープ・ドリームス」を観たときもNBAの選手層の厚さに驚いたけど、メジャー・リーグの場合は海外にも太いパイプを持っているぶんさらに選手の層は厚いんじゃないかな。故郷にいてもろくな職につけないなか、アメリカン・ドリームを夢見てアメリカにやってくる選手たちは数多いんだろうけど、そのなかで大成できるのは本当にごく限られた一部なんだろうな。