「Southland Tales」近況

カンヌ(去年のだよ)で酷評されてから公開が延び延びになっていたリチャード・ケリーの「Southland Tales」だが、夏の終わりにはトレーラーがやっと公開されるらしい…。って何でそんなに時間かけてるんだよ。あの衝撃のデビュー作「ドニー・ダーコ」なんて撮影に1ヶ月もかけてなかったじゃん。その一方では早くも次の作品である、リチャード・マシスン原作の「THE BOX」の製作がキャメロン・ディアス主演(なぜ?)で決まってるそうで、なんか仕事の組み方が変じゃないかと思う事しきり。

それにしても「ドニー・ダーコ」は凄まじい作品だった。ディレクターズ・カット版は観てないけど、あれって「キリング・ムーン」で始まらないらしいね。あの冒頭のシーンが一番好きなのに。

「FAST FOOD NATION」鑑賞

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最近は日本でも食肉の不衛生さが暴露された騒動があったけど、アメリカのファストフードのヤバい裏側を暴いたエリック・シュローサーのベストセラー「ファストフードが世界を食いつくす」にリチャード・リンクレイターがストーリーをつけて映画化した「ファスト・フード・ネイション」を観る。脚本にはシュローサーも関わっており、プロデューサーはなぜかあのマルコム・マクラーレン。

原作はファストフードの不衛生さや精肉工場の労働環境の悪さ、ファストフード店が強盗に狙われやすいことなどについて多角的な方面から解説し、非常に興味深い内容になっていたものの、多くのテーマを取りあげたことでやや散漫な印象を与える本だったと思う。それが映画になってストーリーがついたことでもっと統一感が出たかというと、実はそうでもなくて、精肉工場を視察に来たファストフード会社の社員、その工場で働くメキシコからの違法移民、そして近所のファストフード店で働く学生の3者を中心に陰気な話が、あまり絡みあうこともなく淡々と続いていく作品になっている。

出演はグレッグ・キニアをはじめボビー・カナベイルやカタリーナ・サンディーノ・モレノ、ルイス・ガスマン、ポール・ダノ、クリス・クリストファーソンといった実に手堅い連中が揃い、さらにはブルース・ウィリスやイーサン・ホーク、ついでにクリスティーナ・アギレラまでが出演しているものの、なんかみんなセリフが説明的で演技が堅苦しいものになっている。エコロジーについて語るアギレラなんてセリフ棒読みって感じ。知性派(だと思う)のリンクレイターにしては、ちょっと詰めが甘い作品ではないでしょうか。精肉工場や屠殺場の光景なんかは衝撃的だし、あの原作を映画化した努力は認めるものの、普通にドキュメンタリーを製作すればよかったのにと思わずにはいられない作品。

JIMMY CORRIGAN日本語版VOL.1

51ib94qgmpl_aa240_.jpgクリス・ウェアの代表的作品「Jimmy Corrigan: The Smartest Kid on Earth」の日本語版なんてあったんだ。最近はダニエル・クロウズの作品とか、インディペンデント系のコミックがよく日本語化されているようで。

実物は見てないけど「VOL.1」とあるように、どうも数巻に分けられて売られてるみたい。アメリカ版が全384ページで、この「VOL.1」が104ページということは3巻に分けられて出るのかな。あれは一気に読んだほうが面白い作品だと思うので、ちょっと残念。

あと前にも書いたかもしれないが、アメコミの日本語化ってあまり個人的には好きじゃないんだよね。頑張って翻訳をしていただいている方々にはすまないのですが、あのフキダシという限られたスペースのなかで英語を日本語にしてしまうと、どうしても原文のニュアンスが失われてしまうような気がして。英語の「HAIKU」が決して「俳句」なりえないのと同様だと思うんだけど、違うかな。

「カスパー・ハウザーの謎」鑑賞

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新作「RESCUE DAWN」が今度やっと公開されるヴェルナー・ヘルツォークの初期の作品「カスパー・ハウザーの謎」を観る。

日本でも有名なカスパー・ハウザーの謎についてはウィキペディアあたりを読めば分かるが、この作品では彼にまつわる陰謀論などは殆ど取りあげられず、長い監禁状態から突然としてドイツの町なかに置き去りにされたカスパーの姿をひたすら淡々と追っていく。主人公がアグレッシヴでなく受動的という意味での「アギーレ」や「フィッツカラルド」よりも「神に選ばれし無敵の男」に通じるものがあるかな。カスパー同様に精神状態がアレだったミュージシャンのブルーノ・Sが演じるカスパーは非常に印象的なものの、いかんせん話にメリハリがないのがキツい。「文明社会におけるタブラ・ラサな人物」というテーマが奥にあるんだろうが、ヘルツォークが2年前に撮った大傑作「アギーレ」(こないだポスター買っちゃいましたよ)に比べるとひどく地味な感じがするのは否めない。室内や市街地での撮影が多くてヘルツォークの素晴らしい自然描写もあまり見られないし、音楽もポポル・ヴーではないのが残念なところ。

IMDBなんかではやけに高い評価を得てるみたいだけど、ヘルツォークの作品としてはあまりオススメではないと個人的には思う。