「The 40-Year-Old Virgin」鑑賞

「40歳の童貞男」を観た。

いやもう最高。ここまでいい映画だとは思ってなかった。

タイトルから想像がつくように、40歳になっても童貞のアンディ君(スティーブ・カレル)が女性と経験するために、同僚たちの助けを借りて奮闘する…というコメディなんだけど、オクテの主人公をバカにして笑いをとるようなところが殆どなくて、彼をごく普通の男性として描き、同情的な観点からストーリーを進めているところが非常に立派。テーマがテーマだけに下ネタもたくさんあるけど、どれも多くの人が経験したことのあるような(コンドームの付け方が分からない、とか)共感できるジョークばかりで、まるで卑しくなくてとにかく爆笑できる。主人公がエイジアのポスターを家に貼っててバカにされるシーンがある一方で、ラストのクライマックスでしっかり「ヒート・オブ・ザ・モーメント」が流れる、といった小ネタが炸裂してるのもまた悶絶もの。ここまで腹を抱えて笑える映画を観たのって久しぶりだなあ。もっかい観よっと。

劇中でも言及されたり、カレルがインタビューでも述べているように、主人公のアンディはたまたま女性と経験する機会に恵まれず、それが何年も続いたことで結局あきらめてしまったというだけの人。現実にいるこうした人たちのことをきちんと調べてから映画を作ったんだとか。自分もまあ似たような経験があるので(「同じ」じゃないからね!)、こういった映画が出来たのはいいことだと思うのです。主人公がバーで女をひっかけて、そのままベッドへ…なんて内容の映画にはもう辟易してたからね。それなりに似たテーマを持つ「アメリカン・パイ」はラストだけが急に甘ったるくなって、非常にあざとらしいのが嫌だったけど、この映画は最初から最後まできちんとロマンチックな作りのコメディになっているのが見事。主人公の同僚たちがやけに協力的だとか、彼と恋仲になるトリッシュ(キャサリン・キーナーが相変わらずいい感じ)が最初から彼に優しすぎるような気もするものの、まあそこは映画ということで。

日本では公開前からキワモノ扱いされている感のある映画だけど、むしろデートムービーに適してるんじゃないでしょうか。いっそ日本でリメイクしたら面白いかも。主人公は「上石神井あたりに住むビックカメラの店員で、いわゆるオタクじゃないけどアニメ好きで、人見知りするけど真面目な40歳」なんて設定がいいかな。問題はハッピーエンドに持っていくのが非常に難しいというところなんだけれども。

Anger Management director shouts SHAZAM!

DCコミックスのキャラクター、「キャプテン・マーヴェル」を主人公にした映画をニュー・ラインが企画してるとか。グラント・モリソン&フランク・クワイトリーの大量虐殺動物兵器コミック「WE3」の映画化といい、最近のニュー・ラインはアメコミづいてるなあ。ワーナーの子会社だけのことはある。

キャプテン・マーヴェルは「シャザム」と呼ばれることが多いけど、これは主人公のキャラクターの名前ではなく、彼にスーパーパワーを授けた魔術師の名前。ただマーヴェル・コミックスとの兼ね合いなどがあって、主人公の名前をタイトルに使えないという哀しき事情があるのです。よくできたキャラクターなんだけど、子供が変身するということもあって、スーパーマンなんかに比べると牧歌的なところがあるかな。そのせいか映画版の監督も「N.Y式ハッピー・セラピー」の人がやるらしい。うーん。何か変なコメディになってしまいそうでかなり不安。

ちなみに「WE3」の映画化はどこまで進んでるんだろう。

Chain bites back on ‘Food’

ファストフードの害悪を暴いたエリック・シュローサーの著書「ファストフードが世界を食いつくす」の映画化(監督はリチャード・リンクレイターだ!)と、彼の新著「Chew on This: Everything you didn’t want to know about Fast Food (これでも食らえ:君がファストフードについて知りたくなかったことのすべて)」の発刊に危機感を抱いたマクドナルドが、「危険管理」と称して大々的なパブリシティ・キャンペーンを企画しているらしい。

同じようにファストフードの危険性を描いた「スーパーサイズ・ミー」について言及することが、日本のテレビではタブー扱いされたという話を聞いたことがあるけど、「世界を食いつくす」にも同じような処置がとられるのかな。ちなみに本はノンフィクションだけど、映画はフィクションでストーリーを持ったものになるらしい。でもシュローサーがちゃんと脚本を共同執筆してるとか。

「STAR TREK 2.0」とは何ぞや

imdb.comのトップページで、G4というチャンネルの「Star Trek 2.0」なる番組を宣伝していた。

どうも「ファンがインタラクティブに視聴できるオリジナル・シリーズ」のようなんだけど、公式サイトがろくに立ち上がってないので、これがBSデジタルのデータ放送のようなインタラクティブ形式なのか、それともテレビ観ながらパソコンをパチパチ打つことになるのか、いまいち仕組みが分からない。いずれにせよツマんなさそうな仕掛けだなあ。

ちなみにスタトレの再放送権って、ホワイト・トラッシュ御用達のチャンネル「スパイクTV」が持ってたはずなんだけど、いつのまにかこのG4なるチャンネルに権利が移ったみたいだ。コンピューター・ギーク向けのチャンネルらしいけど、やってる番組はスパイクTVと大差なかったりする。どっちも一日中ダラダラと観るのには最適のチャンネルなんでしょうか。

「CHAPPELLE’S SHOW」シーズン2 鑑賞

カナダでもよく観てた「CHAPPELLE’S SHOW」のシーズン2を入手したのでダーッと鑑賞する。これは人気コメディアン、デイブ・シャペルのスケッチ・ショーで、ジョークの内容は8割くらいが人種ネタで2割が下ネタという実にローブローな番組だけど、扱ってるネタが非常にきわどいものだから観ててとにかく面白い。

それぞれの人種が有名人をトレードするスケッチ(黒人はタイガー・ウッズ、白人はコリン・パウエルを獲得し、アジア人はウータン・クランを獲得する)とか、50年代シットコムのパロディ「陽気なニガー(NIGGAR)一家」(白人の一家なんだけど、言動がすべてNIGGERとのダブルミーニングになってる)とか、「白人にギターを聴かせると踊りだすのは本当か?」という実験のネタなど、日本じゃまずできないようなジョークが連発されてひたっすら笑える。こうした差別的なネタを嫌みなく紹介できてしまうのがシャペルの最大の魅力だろう。ただシリーズ前半に比べて、後半のエピソードはやや失速してるかな。あとカニエ・ウエストとかモズ・デフとかの音楽パフォーマンスが毎回含まれてるので、ラップのファンにも楽しめる番組かと。

この番組の爆発的な成功によるプレッシャーのおかげで、皮肉にもシャペルは神経衰弱になってしまって現在リハビリ中らしいけど、また元気になってシーズン3をやってほしいものです。