セント・パトリックズ・デーのパレード

アイルランド系の人々が1年に1回だけ自分たちの存在意義を大っぴらに証明できる日であるセント・パトリックズ・デーが近づいて来たというわけで、今日はダウンタウンで大規模なパレードが行われた。伝統的にアイルランド系が多い警察官や消防士のほか、アイルランドの各郡を代表した人たちが緑色に身をつつんで通りを行進していった。なぜかフィリピン系移民の団体なども参加してたけど。

10年近く前に本場ダブリンでもパレードを見たことがあるが、さすがにあれよりかは格段に規模が小さかった。基本的に名産品などが極めて少ない国なので、皆が田舎者の格好をして歩いてる以外はあまり特徴のないパレードだったりする。千葉県民がピーナッツのコスプレをして延々と道を練り歩いてるような感じか。

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ロボッツ

「アイス・エイジ」が大ヒットしたクリス・ウェッジ監督&ブルー・スカイ製作の新作CGアニメ「ロボッツ」を観にいく。IMAXでも公開してたらしいがとりあえず一般館へ。冒頭には現在製作中の「アイス・エイジ2」のティーザーとして、スクラット(例の珍動物)の登場する短編がくっついてた。

ストーリーの内容は発明家になることを目指して田舎から大都市にやってきたロドニー君が、憧れの大発明家であるビッグウェルドの会社の門を叩くものの、ロボットの修理に欠かせないスペア・パーツの製造を打ち切りボディのアップグレードを促すことで利益を得ようとする悪役ラチェットに会社は支配され、ビッグウェルドは消息不明になっていた。失意のロドニー君は偶然知り合ったフェンダーや彼の仲間のところで貧しいロボットたちのために修理業を行うものの、スペア・パーツの供給の必要性を感じた彼はビッグウェルドの探索を開始する。しかしそこにラチェットの悪の手が伸びて…。といったもの。これだけで大体話の展開が読めると思うが、要するに、まあ、ありがちな勧善懲悪ものとなってます。

「インクレディブルズ」が同じく勧善懲悪のストーリーでありながら最後まで「次はどうなるんだろう」という期待感を観客に与えていたのに対し、こちらは主人公と仲間と悪役の図式がハッキリしてしまうと、あとは「主人公が失望」「主人公が元気を与えられる」「悪役をやっつける」という話の流れが予定調和で進んでいくような感じが否めない。「アイス・エイジ」もストーリーは決して奥の深いものではなかったが、動物と子供という可愛いキャラクターが話を支えていたのに対し、こちらはブサイクなロボットばかりなのでちょっとアピールに欠けるかな。何の必要性もないドミノ倒しとか、突然改心するビッグウェルドとか、ストーリーの弱さはあちこちで目についた。もっともCGは立派だし(特に街の造形は見事)、細かいギャグも多く話の展開も速いので、観てて退屈はしないだろう。

ロボットたちの声優はユアン・マクレガーをはじめロビン・ウィリアムスにハリー・ベリー、メル・ブルックス、果てはジェイ・レノやポール・ジアマッティなどやたら豪華。でもメル・ブルックス以外は特徴のある声ではないので、あまり豪華である必要は感じられなかった。ジェームズ・アール・ジョーンズが「あの役」の声をやってたのには笑ったが(でもクレジット見るまで気づかなかった)。ちなみにキャラクターの性格設定は文字通り機械人形なみ。主人公が典型的な熱血漢なのは許すとして、ヒロインは政治的に正しいだけの存在で、悪役は悪事を働く動機が弱く、ロビン・ウィリアムスのキャラクターはただ見苦しいだけだった。ロビン・ウィリアムスって、素のままで喋ってるときなんかは非常に面白いんだけど…。

あと「シュレック」を観た時にも感じたことだが、一時的なヒット作でなく古典的なアニメの傑作を作る気があるのならば、とりあえず下ネタと芸能人ネタは削っといた方がいいんじゃないでしょうか。今でさえ既に時代遅れのブリトニー・スピアーズのジョークなんて見せられても、非常に気まずくなるだけなんだが。とりあえず大団円で終わっとけ、というのも「シュレック」に似てるな。ピクサーという輝かしい前例があるんだから、もっとストーリーそのものを重視しなさい。CG技術がこれ以上進歩しても、肝心なのはストーリーでしょ。

ちなみに「アイス・エイジ」でも感じたけど、この監督は「滑りもの」フェチか?

India, U.S. Moviegoers Pay Least -New Costs Index

各国の人々の給料と映画のチケット代を比較すると、インドでは16分労働しただけで映画が1本観れるのに対し、ブルガリアでは123分労働しないといけない、という調査結果が出たそうな

それで肝心の日本はどうかというと、48分労働すればいいらしい。でも日本のチケットって1500円くらいするわけだから、普通に考えると約50分で1500円稼ぐということは時給1800円の仕事に就いてないといけないわけで、これって庶民の感覚からしてみれば実に一般的じゃない高給じゃないか?すくなくとも俺はこんな時給もらったことないぞ。
どうもエコノミスト誌の「ビッグマック指数」をもとに算出したそうだが、ちょっと調べてみれば日本のチケット代がどれだかバカ高いか分かりそうなものだけどねえ。

ちなみに欧米では平日昼間なら割引になる「マチネー料金」が一般的なので、俺もその恩恵をうけて最近はよく4.25ドル(400円弱)で映画を観に行っている。日本に帰ったら金払って映画を観に行くのがバカバカしくなるような値段である。何で日本のチケット代があんな高いのかというのはいろんな原因があるんだろうけど、1つ理解できないのは館外からの飲食物持ち込みをなぜ容認してるのかな、ということだ。アメリカではポップコーンなどによる売上の方がチケット代よりも大きい、というような話を聞いた覚えがあるが、日本の映画館も持ち込みは一切禁止して館内で(割安の)飲食物を売ればもっと儲かると思うんだが。まあ客のバッグを調べるわけにもいかないし、全ての館で一斉に禁止しないと効果はないだろうけど。俺もよく100円ハンバーガーを持ち込んでパクついてた過去があるので偉そうなことは言えません。

Monty Python’s Spamalot

エリック・アイドル原案、マイク・ニコルズ演出のコメディー・ミュージカル「Monty Python’s Spamalot」が3月17日からブロードウェイで上演されるとか。パイソンズの大ファンとしては非常に観たい。4月か5月にNYへ行くことを考えてるので、うまくチケットがとれればいいのだけど。出演もデビッド・ハイド・ピアースとかハンク・アザリアとか、俺好みの役者が出ていて期待が持てる。公式サイトのテリー・ギリアムもどきのイラストはカッコ悪いけど。

人気ドラマのDVD化を阻む高額の楽曲使用料

ちょっと前の記事だが、ワイアードより

音楽ファイルの違法ダウンロード利用者に対する訴訟の連発、合法的ダウンロードの値上げの噂、日本版iTMS開始に対する徹底的な抗戦姿勢などの話を聞いてると、レコード業界の連中って映画業界よりもイヤな奴が多いような気がしてくる。TVシリーズが再放送やDVD化されるときに使用されてる音楽の権利量がバカにならないという話は今に始まったことではないが、俺に理解できないのは音楽って演奏・放送されてこそ価値があるメディアなわけで、権利料をふっかけることで演奏を阻止するというのはカエルを刺して共に溺死するサソリのようなものじゃないでしょうか。

知っている限りでは音楽の権利って放送の権利よりもさらにややこしいもので、アーティストへの印税や権利期間、放送の詳細などが細かく設定されているらしい。放送権を買ったからって音楽権が付いてくるとは必ずしも限らないので、音楽権の問題により日本で放送できなかったシリーズの噂も聞いたことがある。この記事にあるように楽曲の差し替えも1つの手段だろうけど、ファンとしては納得いかないよなあ。しかも曲を書いたアーティスト自身は違法ダウンロードに寛容的で、レコード会社だけが意固地になっているような場合もあると聞く。ファンとアーティストの意見を無視してまでカネにこだわるか、という感じだ。

韓国ではドラマに日本や欧米の楽曲が権利を無視するような形でバンバン使われているという話を以前に聞いて驚いた覚えがあるが、むしろ国をあげてレコード会社を無視する、というのもありかもしれない。