トロント3週目突入

トロントに来てから2週間が経過したわけだが、毎日が新しいことの発見なので1日がえらく凝縮されているような感じがして、日本にいたのが遠い昔のような気がしてしまう。大したことがないまま毎日が過ぎていった日本での生活とは大違いだ。ここでの生活に慣れていくにつれ、いずれは時間の進みが早くなっていくのだろうか。

今日はとりあえず就職センターに行き、履歴書などをプリントアウトしてくる。職員の人に映画とテレビ産業に関する資料をもらった。なかなか役に立つかもしれない。昼食はセンター近くのフィッシュ&チップスの店でとる。ちゃんとビネガーが用意されているイギリス式なのはいいけど、やけに油っこくて全部は食べきれなかった。その後は部屋にもどって、就職用の資料の整理などをするが、途中でつい寝てしまう。仕事や運動をしてるわけでもないのに、最近よく眠れるのは、慣れない生活をしているので気がまいってるのだろうか。

MR.インクレディブル

今日も就職用の情報収集…をしたかったのだけど、今日が初日の「MR.インクレディブル」の誘惑に逆らえず、吸い込まれるように映画館へ。平日の昼間だったからか、思ったよりは混んでいなかった。子供連れも多かったけど、学校はどうしたんだろう。

映画の感想は、とりあえず今年最高の作品。今までのピクサーの作品の中でも一番面白いかもしれない。ピクサー作品について誰もが認めていることだけど、とにかくストーリーがよく出来ている。「シュレック」みたいに時事ネタとか二流のパロディに頼らずに、きちんと正攻法のコメディ/ストーリーで勝負して、成功しているのが素晴らしい。「スパイ・キッズ」に似ているという意見もあるらしいが、むしろ設定は「ファンタスティック・フォー」に似ているかな(特にラスト)。もう実写版のFFは観なくてもいいや、というくらい、スーパーヒーロー映画のツボを見事に押さえている感じがした。もちろんCGの出来も驚異的で、アニメ映画というよりも実写のアクション映画に近い雰囲気が味わえる。非のうちどころがないのであまり多くの感想は書かない。とにかく観に行け。俺もまた観に行く。

ちなみに「エピソードIII」のティーザーが冒頭にくっついてたけど、それなりに面白そうだった。まあ話の大まかな流れはもう分かってるので、どこらへんを期待すればいいのか微妙なところではあるのだが。ピクサーの次回作「Cars」のティーザーもあったけど、「MR.インクレディブル」を超える作品になるのだろうか?

就職の電話のかけ方講座

就職センターでまたワークショップに参加する。本来ならば「移民」とか「難民」の肩書きを持つ人が参加するべきワークショップに、ワーキング「ホリデー」で来ている人間が参加するのは何となくバツが悪いのだけれども、タダだし非常に役立つのでまあ許してもらおう。

今回のテーマは「就職用の電話のかけ方」で、これはてっきり「求人欄を見て、人事部に電話をかける際のマナー講座」みたいなものかな、と思ってたら全然違った。なんとカナダには「求人欄などに掲載されていないけれども空いている職」が求人欄に掲載されている職の3〜4倍近くあり(「隠された市場」と云うのだそうな)、その職を得るためにマネージャーに電話して、「仕事は何かないですか」とたずねるのが就職のコツらしい。しかも求職のテクニックとして「受付係や人事部をうまくかわして、マネージャーに直接電話しろ」と教えられたのには驚いた。日本でどこかの課長とか部長に電話して「すんません、仕事ありませんか」と聞いたらふつう門前払いをくらわされるか、ブラックリストに載せられるよな。この他にも「同業種の会社でどこか人を探してるところがないか聞け」とか「直接会ってもらえるように頼め」など、なかなか興味深いテクニックを教えてもらえた講座だった。

これに限らず、とりあえず何かあったら人に尋ねる、というのがカナダの流儀らしいことが何となく分かってきた。そうなると英語が流暢に話せないことは最大のデメリットになるわけで、今後のことを考えると不安になってくる次第である。

ブッシュ当選後にブッシュ風刺映画を見る

何となく嫌な予感がしながら目を覚ますと、隣国アメリカではブッシュが当選していた。CNNによると、アメリカ人にとって投票の最大のポイントは「モラルの問題」だったらしい。もちろんこの場合のモラルというのはキリスト教右派のそれなんだけど、ろくでもない経済やろくでもない戦争よりもモラルの問題を気にする国民性って何なんだろう。アメリカのリベラル層がカナダへ移民するんじゃないか、というジョークがここ数日話題になっていたが、いずれ本当になる日が来るかもしれない。

家の近くにある映画館へ、ジョン・セイルズの「SILVER CITY」を観に行く。いわゆる2番館なのだけど、1930年代に建てられたというその建物は外見も内装も当時の雰囲気がそのまま残っていて、中には古めかしい映写機が飾られていたりもする、とてもアットホームな映画館だった。座席数も比較的多く、東銀座の東劇になんとなく似ている気がする。ただ数年前にDTSサウンドシステムを入れたらしいが、あまり音響は良くなかった。

映画自体はクリス・クーパー演じるコロラドの悪徳議員(明らかにブッシュがモデル)を中心とした風刺映画…かと思っていたら、ダニー・ヒューストン演じる調査員が主人公の、「チャイナタウン」のようなミステリー色の強い作品だった。ティム・ロスにリチャード・ドレイファス、ソーラ・バーチなどキャストが豪華なのはいいけど、男性陣がみんなくぐもった声でベラベラ喋るような連中ばかりなので何を言ってるのか聞きづらく、ただでさえ複雑なプロットがさらに分からなくなっていたのは残念。エンディングはなかなか皮肉が痛烈で面白かったけど。

ちなみによく考えてみたら、ジョン・セイルズの映画って「フィオナの海」しか観たことがなかったんだよな。

履歴書の書き方講座

昨日SINを請求しにいった役所の隣の施設で見つけたパンフレットに、移民の就職補助用のワークショップの紹介があったので午後に行ってみようとする。しかし今日は家に掃除の人が来るからということで、天気が最悪なのに早朝から家を出ないといけないのだった。そのためダウンタウンのカフェなどで時間をつぶすはめに。昼食はチャイナタウンにあるビュッフェスタイルの食堂でとる。4品で3.5ドルという破格の安さなのだが、どことなく怪しげな料理であったりもする。

やっと午後になって就職センターに行き履歴書のワークショップに参加。他の生徒はカナダ人のオバサンと1ヵ月に中国から来たという元教師だけだった。履歴書のスタイルや、何を記載すればいいのかなどについてみっちり教わる。英文履歴書は日本のもの以上に自分をいかに書面でアピールできるかがポイントになるわけだが、それを理解するうえでは非常にためになるワークショップだった。個人的には以前の職場で何の肩書きも持っていなかったことと、リファレンス(前の職場からの推薦状)を(英語で)書いてくれそうな人が誰もいないっというのが、とても不利なポイントになりそうな気がする。まあそれ以前に英語力を鍛えないといけないんだが。