「SPLATTER」鑑賞

こないだ書いたロジャー・コーマン&ジョー・ダンテによるウェブ用ミニシリーズ。他にも脚本をリチャード・マシスンの息子が書いていたり、キャンディマンことトニー・トッドが出てたりとスタッフはそれなりに豪華だったりする。

話の内容は落ちぶれたゴスのミュージシャンが短銃自殺を行い、その通夜に彼のマネージャーや元恋人など5人の男女がやってくるが、ミュージシャンの罠によって彼らは屋敷に閉じ込められ、さらにゾンビとして甦ったミュージシャンによって彼らは惨殺されていくのだった…というもの。

ベテランのダンテが監督しているだけあってカメラのアングルが巧みで、それなりに楽しめる作品になっている。そのぶんウェブ用作品の常としてセットやライティングなどが安っぽく、全体的に悪い意味でチープな感じになっているのが残念なところ。名監督であってもビデオ撮りのショボさは補えませんでしたね。あとホラーなんだから出てくる女性たちはもっと叫ぶように!ゾンビが目の前に出てきても驚かないんだもの。

第1話では5人の男女のうち2人が殺される展開。あとは誰が死ぬかが視聴者の投票によって決定され、次回の11月6日までに急ピッチで製作が行われるとのこと。ちなみにミュージシャン役のコリー・フェルドマンがつい先日奥さんに離婚訴訟を起こされたらしいので、いっそセットに奥さんを誘い出して殺してしまったりすれば史上最強のホラー・ギミックになりそうなもんなんだが。

ネロ対クリンゴン


Star Trek – DVD Bonus Footage
エイブラムス版「スター・トレック」の削除されたシーンにはクリンゴン人が登場していたそうな。舞台は「VI」の監獄惑星で「II」の虫みたいなのも出てくるけど、クリンゴン人がマスクをしてたりして微妙な違和感を抱いてしまう。あの作品は最初から最後までそうした違和感のある映画ではあった。

「CHILDRENS’ HOSPITAL」鑑賞

アメリカ国外からアクセスするとトップページで門前払いをくらわされるイヤなサイト、thewb.comで配信されたウェブ向けコメディ・シリーズ。ここで視聴可能。脚本・監督は元「デイリーショー」のロブ・コードリーで、同じくデイリーショー出身者としてエド・ヘルムズやネイト・コードリーが顔を出しているほか、ミーガン・ムラリーやデビッド・ウェインなどそこそこ豪華な出演者が顔を揃えているぞ。

内容は「ER」や「グレイズ・アナトミー」といった医療ドラマのパロディで、医療そっちのけで恋愛にはしるような医者たちによる、ベタなコメディがひたすら続けられていく。まあ1話5分くらいだし、何も考えずにボケッと観るぶんには悪いシリーズではないんですけどね。「ER」のケリー部長のパロディとして身体障害者ネタで笑いをとったりするのはいかがなものかと思いますが。あと大半のウェブ用シリーズ同様に、音響とか画面作りが安っぽすぎるな。

ロブ・コードリー自身はピエロの格好をした医者役で出ているんだけど、実は彼がいちばんツマらない役だったりする。コードリーって元デイリーショーの人としてはスティーブ・カレルはおろかエド・ヘルムズにも人気の面で負けてる気がするので、もうちょっと頑張って面白い作品を作ってほしいところです。

「WHITE COLLAR」鑑賞

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「名探偵モンク」や「バーン・ノーティス」など、サクッと観て楽しめる作品の多いUSAネットワークの新作。天才的詐欺師で泥棒のニール・キャフリーが、出所まであと数ヶ月というところで刑務所から脱獄した。彼の元恋人に何らかの危険が迫っていると感じたためなのだが、既に元恋人は姿を消しており、キャフリーは以前に彼を逮捕したFBIエージェントのピーター・バークに再び身柄を確保される。しかしバークは謎の犯罪者「ダッチマン」を追っているところであり、キャフリーはバークに1つの提案を持ちかける。自分を刑務所から出してくれれば、彼の経験と才能をもってダッチマンの逮捕に協力すると。こうしてキャフリーは足にGPS発信機をつけられた形で解放され、バークと凸凹コンビを組んで犯罪を解決しつつ、元恋人の行方を探そうとするのだった…というのが大まかなプロット。

本国では「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」との比較がされているみたいだけど、日本的には「ルパンと銭形」という表現がピッタリの作品。詐欺師の奔放さに頭の固いオッサン刑事が困惑しつつも、微妙な信頼関係を築いて一緒に謎解きをしていく姿は普通に面白い。舞台となるニューヨークの光景もきれいだし、このまま順調に話を重ねていけば日本でも放送される可能性が出てくるんじゃないかな。

アステリックスの新作

フランスの国民的コミック「アステリックス」の創刊50周年を記念して、新作「Asterix and Obelix’s birthday – The Gold Book」がこないだ発売されたらしい。前作「Asterix And The Falling Sky」がダメダメだったので今回の出来が気になるところですが、どうも「Asterix and the Class Act」のように短編が集められた番外編的な内容になってるらしい。まっとうな長編を期待してたので残念。

最近の「アステリックス」の出来についてはBBCが厳しい記事を載せていて、要するにルネ・ゴシニがストーリーを担当してた頃は面白かったけど、彼の死後にアーティストのアルベール・ユデルゾがストーリーも書くようになってからダメになっていったというもの。まあ確かに近年の作品の出来は悪くて、変にフェミニズムを取り入れた「Asterix and the Secret Weapon」とか「Asterix and the Actress」や、「スパルタカス」の変なパロディだった「Asterix and Obelix All at Sea」は昔の作品に比べると非常にツマらなかった。でもその前の「Asterix and the Magic Carpet」や「Asterix and Son」は結構面白かったので、ユデルゾのストーリーを全否定する気にはなれないんだよな。あと彼がマーチャンダイジングで儲けてることも批判してるけど、それはまあ仕方ないでしょ。マーチャンで儲けなかったコミック作家なんてビル・ワターソンくらいのものだし。

そしてユデルゾは自分の死後も「アステリックス」が続くことを希望してるらしくて、既にアートの大半を息子が担当しているという話を聞いたことがあるけど、ここ最近の作品のクオリティが続くようならいっそ終わらせてしまったほうが良い気がする。

ちなみに俺のお気に入りは「Asterix and the Normans」「Asterix at the Olympic Games」「Asterix and the Chieftain’s Shield」「Asterix and Son」あたりかな。面白いコミックなのに日本ではまるで知られていないのが残念。