「HELLO LADIES」鑑賞


「THE OFFICE」以来、リッキー・ジャヴェイスと組んでいろいろコメディ番組を世に出してきたスティーブン・マーチャントが、ジャヴェイス抜きで主演・脚本・監督を担当したHBOの新シリーズ。第1話がyoutubeにアップされていた

主人公のスティーブンはロマンスを求めてイギリスからロサンゼルスにやって来たウェブデザイナー。女の子をゲットするために律儀にクラブに行って「やあ彼女たち!」と声をかけたり、知り合った女性を食事に誘ったりするもののすべて失敗続き。その一方で彼の友人たちはうまく女性たちをものにしていて…というようなプロット。

少なくとも第1話はあまり話らしきものがなくて、スティーブンの奮闘ぶりがひたすら描かれる内容になっている。コメディ番組とはいえゲラゲラ笑えるようなものではなくて、同じくイギリス人が絡んだHBOの「エキストラ」とか「FAMILY TREE」みたいな、ペーソスが入り混じったコメディドラマになっているかな。クラブでカッコつけるんだけど相手にされず、酒だけ奢らさせられる主人公の姿は他人事とは思えないですね。

ただやはり立派な家を女友達とシェアしていて、一緒にクラブ行くような男友達がいて、ウェブデザインで生活していて、身長2メートルある主人公が非モテというのはなんか無理があるんじゃないだろうか。本当にモテないというのはなあ、といろいろ書き連ねたいのだがそれはまた別の機会にする。1人でさびしく夕食を電子レンジで温めてる姿なんかは似合ってるんだけどね。

第1話のパターンがこのまま続くようだとキツいだろうが、今後の展開はどうなっていくのかな。こないだの「FAMILY TREE」なんかは話が進むにつれてどんどん面白くなっていったので、そういうことになるのを期待。

「THE CRAZY ONES」鑑賞


こないだの「MONDAY MORNINGS」がいつの間にか終わっていたデビッド・E・ケリーが、負けじと世に送り出すCBSの新作コメディ。

シカゴの広告代理店に勤めるサイモン・ロバーツは離婚やアル中などを経験して私生活は乱れているものの、秀逸な閃きをもって数々の仕事を手にしてきた。しかし最近は落ち目で職を失う可能性に面しながら、自分の娘を含むスタッフを率いてクレージーなアイデアで仕事を獲得しようとするのだった…というようなプロット。

変人だらけのオサレなオフィスとか、歌うゲスト(ケリー・クラークソン)とか、セックスに関するカジュアルなトークとか、無茶な提案をして逆に公衆の前で恥をかくスタッフとか、いかにもデビッド・E・ケリーの番組だなあと思わせる展開がいろいろ出てくる内容になっていて、これは決して良いわけでもなく、なんかもうネタ切れが顕著なんですよ。「アリーmyラブ」あたりで観たような展開がそのまま繰り返されているという。

主人公のサイモンを演じるのはロビン・ウィリアムスで、TVシリーズに出演するのって70年代の「モーク&ミンディ」以来だよな。彼の娘を演じるのがサラ・ミシェル・ゲラーで他にもジェームズ・ウォルクやハミッシュ・リンクレイターなどと、他の番組で主役を張れそうな強力なキャストが揃っているものの、じゃあ演技が面白いかというとそうでもなく…みんなケリーの脚本のセリフを喋るのに手一杯という感じ。ロビン・ウィリアムスは決して嫌いな役者ではないのですが、役を演じるよりも普通に話しているほうがずっと面白い人だと思うので、セリフの多い脚本家との相性は悪いように感じられるんだが、どうなんだろう。

あと気になったのがマクドナルドなどの実在の企業がそのままクライアントとして出ていることで、別にプロダクト・プレースメントではなく金銭の授与も無いようなんだけど、普通に「お金をくれるありがたい存在」として描かれてるのはどうなんだろう。タイトルからしてアップルのアレの賛美だし。以前のデビッド・E・ケリーなら商業主義に対する皮肉を混ぜてた気がするんだが、俺のなかで過去の作品が美化されてるのかな。

まあキャストの知名度は圧倒的だし、視聴率も好調なようでそれなりの人気を獲得するかもしれないけど、もうちょっとヒネリを加えてもいいんじゃないかと思う作品。

「Agents of S.H.I.E.L.D.」鑑賞


鳴り物入りで始まったABCの新シリーズ。「アベンジャーズ」のスピンオフ的な作品な。

「アベンジャーズ」の戦いの後から話は始まっていて、劇中では死んだと思われていたエージェント・コールソンが現場に復帰し、シールドのエージェントの中から特殊チームを結成して特殊能力を持った超人(いちおう「スーパーヒーロー」と呼ばれている)などの脅威を防いでいくという内容になっている。これに加えて「コールソンはどうやって甦ったのか?」というのが大きな伏線になるみたい。

当然ながら「アベンジャーズ」並みのアクションが期待できるわけでもなく、メジャーどころのヒーローが出てくることもなく、司令部はヘリキャリアーから貨物輸送機へと代わって全体的に小ぢんまりとしてるのですが、それでもSFXなどは頑張っているほうかと。また「アイアンマン3」のエクストリミスをはじめ過去の映像作品やコミックの世界に関する言及がいろいろされるのですが、これはどこまで一般受けするだろう。

コールソンを引き続き演じるのはクラーク・グレッグで、マリア・ヒル役のコビー・スマルダーズも第1話に出演してるがニック・フューリーことサミュエル・L・ジャクソンの出演はなし。あとは特殊チームの一員をミン・ナ姐さんが演じてたりします。チームのほかの面子は機械が得意なギークとか一匹狼的なタフガイとかがいて、典型的といえば典型的かな。あとシールドの動向を探っているうちにそのまま彼らに雇われてしまう天才ハッカーの少女が準主役的な扱いになっていて、ここらへんは活発な少女が好きなジョス・ウィードン(第一話の脚本と監督を担当)の本領発揮ですかね。

大ヒット映画のスピンオフだといってあまり大きな期待をかけなければ十分に楽しめる内容だし、今後どれだけコミックネタが出てくるかに期待したいのですが、ウィードンのTVシリーズって最近は必ずしも当たっていないし、万人受けする設定でもないのでどのくらい人気が出るかは不明だな。「アベンジャーズ2」が公開されるまで続いてくれると良いのですが。

「DADS」鑑賞


アカデミー賞の司会やったり、「テッド」が大ヒットしたりと飛ぶ鳥を落とす勢いのセス・マクファーレン(しかし俺は嫌いだ)が、フォックスの時間枠のさらなる支配を狙って世に出すシットコム。

ワーナーとイーライは共同でゲーム製作会社を運営しており、ビジネスもプライベートも充実した日々を送っていたが、唯一の問題はお互いの意固地な父親たちであった。ワーナーの妻は義理の父の扱いに手を焼き、イーライの父親はなぜか彼のところに住み着くはめに。そして父親たちのエキセントリックな振る舞いは会社の運営にも影響してきて…というようなプロット。

最近では珍しくなったマルチカメラのシットコムでラフトラックつき。家族間のドタバタという意味では典型的なシットコムだが、マクファーレンの作品なのでそれなりにキツいジョークが連発されるため、それで観る人の評価が分かれるかも。中国人を蔑視したジョークがあるということで放送前からクレームを受けているらしいが、アメリカでは既に「変なアクセントで話す中国人」という差別的なネタを続けている「NYボンビー・ガール」というゴミ番組があるので、あれに比べればそんなに気にはならなかったかな。

ワーナーとイーライを演じるのはジョバンニ・リビシとセス・グリーン。セス・グリーンは「Robot Chicken」でもっとエッジの効いたコメディを披露しているわけだが、やはり地上波ネットワークの番組に出たかったのかな。2人の父親を演じるピータ・リガートとマーティン・マルという役者は俺はよく知りません。

本国の批評家にはコテンパンに叩かれているらしく、たぶん長続きしないとは思うがフォックスがマクファーレンのためにちょっとは便宜を図ったりするかも。俺としてはこっちよりも「NYボンビー・ガール」をとっとと打ち切って欲しいところですが。

「SLEEPY HOLLOW」鑑賞


フォックスの新作シリーズ。ティム・バートンの映画のやつとは関係がなくて、原作となった話を現代風にアレンジしたものとなっている。

イカボッド・クレーンは18世紀のイギリス人であったがアメリカにおいてジョージ・ワシントンに味方して独立戦争で戦い、そこで悪魔のような敵軍の兵士に遭遇し、彼の首を切り落とすものの自分も負傷して昏睡状態になってしまう。そして次に彼が目覚めたのは、21世紀のニューヨーク州スリーピー・ホロウの町だった。自分の身に何が起きたのか分からぬまま町をさまようイカボッドだったが、彼の覚醒と同時に馬に乗った首の無い男が町に現われ、巨大な斧で住民の首を切り落とすという事件が発生する。この男がかつて自分が戦った兵士であることを確信してイカボッドは、警察官のアビーと協力して首無し男の脅威から町を守ろうとするのだが…というようなプロット。

イカボッドの妻が魔女だったこととか、首無し男の信者が町にいることなどが示唆されて、「スーパーナチュラル」みたいなホラー系のアクションといった内容になっている。イカボッドが時代の変化についていけず、黒人のアビーが警察官をしていることに驚いたりしている一方で、首無し男のほうは斧だけでなくショットガンなども使って襲いかかってくるぞ。設定が設定だけに人の首がバンバン切り落とされていて、これは重要人物かな、と思った人が次のシーンでは首を刎ねられている展開が続くのだが、それって今後の話の組み立て方に影響が出そうだな。

主役のイカボッドを演じるのはイギリス出身のトム・マイソン。いずれアメリカのドラマの主人公はみんなイギリス人かオーストラリア人が演じることになるんじゃないだろうか。それとアビー役のニコール・ベハリーって「42」でレイチェル・ロビンソンを演じた人か。彼女の上司をオーランド・ジョーンズが演じているほか、第1話にはジョン・チョーがゲスト出演していた。

本国の評判は概ね好評なようで、「GRIMM」とか「ONCE UPON A TIME」とかのファンに受けそうなのかな?小さな町におけるイカボッドと首無し男の対決、というネタで話をひっぱるのは厳しそうな気もするけど、今後の展開に期待しましょう。