「WIDOWS」鑑賞

これも海外で見てきた。邦題は「妻たちの落とし前」らしいが、日本公開はいつだ…いつだ…。「それでも夜は明ける」のスティーブ・マックイーンの監督作品で、1983年のTVシリーズを映画化したものなんか?

舞台はシカゴ。プロの泥棒のハリーは地元のボスであるジャマールから200万ドルを強奪するが、逃走中に警察に追われて3人の仲間とともに爆死してしまう。残された妻のベロニカはハリーの行為を少し知っていただけで深くは関わっていなかったが、ジャマールから200万ドルを返すように強要される。シカゴの議員選挙に出馬して勝つために、ジャマールは資金を必要としていたのだ。金を返す必要に迫られたベロニカは、同じく寡婦となったハリーの仲間たちの妻ふたりと組んで、ハリーの残した別の犯罪プランをもとにして、自分たちも大金を盗み出す計画を立てるのだったが…というあらすじ。

TVシリーズとおおまかなプロットは一緒のようだけど、舞台がイギリスからシカゴに移り、地元の選挙戦という設定が加わっているみたい。よって話自体は比較的シンプルなケイパーものだけど、シカゴの犯罪問題とか、Black Lives Matter的な要素が含まれているといったところか。

スティーブ・マックイーンは今までアートシネマっぽい作品を撮ってた人なので、こういうジャンルの作品を撮るのは意外かもしれない。人の顔を超アップで妙に艶やかに撮影しているあたりは「ハンガー」に通じるところがあったかな。あとはベロニカのパートナーとなる妻たちが貧困やDVに悩んでいたり、選挙で地元の黒人票を取るための駆け引きがあったりと、社会派な内容もいろいろありました。

アカデミー賞とった監督の作品ということもあってか、出演陣はやけに豪華。ベロニカをヴィオラ・デイビス、ハリーをリーアム・ニーソンが演じているほか、地元の議員にロバート・デュバル、その息子にコリン・ファレル。ほかにもダニエル・カルーヤやミシェル・ロドリゲス、ギャレット・ディラハント、キャリー・クーン、ジョン・バーンサルなどといった役者がわんさか出ています。個人的にはベロニカのパートナーとなる薄幸な寡婦を演じるエリザベス・デビッキが良かったな。あと「スパイダーバース」に続いてブライアン・タイリー・ヘンリーが出ています。

「オーシャンズ8」みたいなクライムサスペンス、かというとアートシネマっぽい部分もあるのですっきり観られるような作品ではなかったりしますが、やはり出演陣が豪華なことと、いろいろ展開にヒネリもあり普通に楽しめる作品であった。あまり監督の名前にとらわれずに観るべき作品かと。