「LITTLE JOE」鑑賞

ヨーロッパ製の(いちおう)SFスリラー。邦題は「リトル・ジョー」で7月公開予定だとか。以降はネタバレ注意。

シングルマザーのアリスは植物学者で、同僚のクリスたちとともに新種の花の改良にあたっていた。彼女の作り出した花は匂いを嗅いだ人たちに幸福感を与えるというもので、彼女は息子のジョーにちなんで花を「リトル・ジョー」と名付ける。そして真っ赤な花を咲かせたリトル・ジョーは大量に花粉を撒き散らし、それを吸った人たちはどことなく奇妙な振る舞いを見せるようになる…というあらすじ。

このあらすじだけで話の展開が8割がた分かると思うが、まあ要するに植物のリトル・ジョーが人を操って自分たちの覇権を広げる話ではあるのですが、あくまでもアートハウス映画といった内容なので派手な展開はなく、リトル・ジョーが毒ムチを持って人を襲うとか、人を大量自殺に追い込むとかといった演出は全くなし。ちょっとあの人変わったわね、というような話が淡々と続いていく。

これを観る人って話の内容は大まかに知ってるだろうし、話の序盤でもリトル・ジョーがどうも怪しいことは分かるのだが(ほかの同僚が指摘する)、アリスとクリスはリトル・ジョーを守る側なので、そういった予兆をことごとく無視してるのがなんかまどろっこしい。ホラーなら真っ先に殺されてる役ですぜ。リトル・ジョーが何かのメタファーという訳でもないみたい。

監督はオーストリア人のジェシカ・ハウズナー。全体的にポップな色使いとか、雅楽(だよね?)だらけのサントラとかが、あーなんかゲージュツ映画だなーという感じ。別に悪くはないが。アリスを演じるのがエミリー・ビーチャムで、この役でカンヌで女優賞獲ってるのか。クリス役がベン・ウィショー、あとは「シャロウ・グレイブ」のケリー・フォックスが出ています。

「トリフィドの日」みたいなサスペンスを期待してたのだけど、そういう作品ではありませんでした。研究所のセキュリティが緩すぎるだろうとかいったツッコミもあるものの、リトル・ジョーの花粉はマスクで防げるということで、やっぱりマスク大事!と今の時世を鑑みて思ってしまったのです。