「The Caine Mutiny Court-Martial」鑑賞

こないだ亡くなったウィリアム・フリードキン監督の遺作で、米SHOWTIMEのTVムービー。古典的小説「ケイン号の叛乱」の舞台版を元にしたものだが、自分は小説読んでないしハンフリー・ボガートの映画も観ておらず。

話の時代は現代に差し替えられ、中東に派遣されていた掃海艇ケイン号が壮絶な嵐に巻き込まれたという設定になっている。艦長のクイーグが南へ進むよう指示するなか、一等航海士のマリクは命令に反き、逆にクイーグは真っ当な指揮ができる状態ではないと主張して彼を解任した。その後、マリクは謀反の容疑で軍法会議にかけられ、弁護にあたることになったグリーンウォルドは不利な状況においてマリクの行為の正当性を証明しようとするのだが…というあらすじ。

舞台劇の映像化ということでフリードキンの前作「キラー・スナイパー」もそうだったが完全な密室劇になっていて、出てくる場所は軍法会議が開かれる大広間とその廊下、あともう一箇所のみ。題名のケイン号は姿も見せず、史上最悪の嵐に見舞われた状況というのも語られるのみなので、想像力を働かせる必要あり。撮影期間も15日だけだったそうなので、製作費お安かったんでしょうなあ。

軍法会議においてクイーグやマリクのほかにも証人・参考人が次々と呼ばれて質疑応答をしていくのでセリフの量が半端じゃなく多く、加えて海軍や精神鑑定に関する専門用語が連発されるため、かなり集中して観る必要あり。セリフの内容だけでなく、その話し方によってクイーグたちの人となりが徐々に明らかになっていく様は見応えあるけどね。

クイーグ役のキーファー・サザーランドがいちおう主演扱いになっているものの、話の冒頭と後半にしか登場しないほか、艦長としての不適切ぶりを証明される立場なのでなんか損な役回り。むしろ不利な状況で弁護に立ち回るグリーンウォルドを演じるジェイソン・クラークのほうが主役っぽいかな。あとは裁判官をこないだ亡くなったランス・レディックが演じていて、エンドクレジットで大きく「この映画を彼に捧げる」と出てくるのだが、捧げてる監督本人も亡くなってるじゃん!とついツッコミ入れたくなってしまった。

フリードキン本人もこれが最後の作品になることは理解してたようで、撮影現場にはバックアップ用にギレルモ・デルトロが立ち会ってたそうだが演出に関わってるかは不明。さすがに予算の低さがひしひしと感じられる出来なので、「エクソシスト」とか「フレンチ・コネクション」のようなものは期待せずに、フリードキンが後期よくやってた舞台の映像化の一連の作品のひとつとして観るべきものかと。