生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え…などではなく、初の黒人メジャーリーガーであるジャッキー・ロビンソンの伝記映画な。日本では「42 世界を変えた男」という邦題で11月に公開されるらしいですが、野球のオフシーズンにやっと公開するというのはいかがなものですかね。
内容はロビンソンのドジャース入団から1年目の活躍を追ったもので、GMのブランチ・リッキーが「うちのチームに黒人を入れるぞ」と言って側近が青ざめるのを皮切りに、若きロビンソンが選ばれ、2軍のモントリオール・ロイヤルズで活躍したあとにドジャースに参加し、チーム内外からの差別に会いながらも活躍していくさまが語られていく。ロビンソンはスラッガーというよりも俊足の人として描かれているな。これに絡めて妻のレイチェル・ロビンソンとの恋愛模様とか、観客による差別と支持、フィリーズのベン・チャップマンによる罵詈雑言、ピー・ウィー・リースをはじめとするチームメートのサポートなどといったエピソードがいろいろ盛り込まれてますが、父親的存在であるブランチ・リッキーの加護が話の主軸になっている。
ロビンソンを演じるチャドウィック・ボーズマンってよく知らない俳優だけど、ロビンソンによく似ていていい感じ。リッキーを演じるハリソン・フォードはみなさんよくご存知のように演技の幅がとても狭い役者ですが、ガンコ親父のリッキーの役はその幅にうまく収まっていて好演をしている。あとはドジャースの監督レオ・ドローチャーをクリストファー・メローニが演じているものの、シーズン冒頭にスキャンダルでクビになってその後は出てきません。
演出は比較的平坦で、スポーツ映画としてはどことなく盛り上がりに欠ける感がなくはないものの、やはり元の話が良い話なので、野球に疎い人でもいろいろインスパイアされる作品ではないでしょうか(それなりに脚色が入ってるらしいけど)。メジャーリーグで人種差別が無くなったとは思わないけど、かつては有色人種であるだけでホテルへの宿泊も拒否される時代があり、ロビンソンの活躍はそうした偏見を打ち負かすのに貢献したわけで。日本でも在日がどうだのと騒いでる人たちが観とくべき映画じゃないでしょうか。
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