「ザ・イエス・メン」再び襲撃!

希代の社会派イタズラ集団「イエス・メン」がまたやってくれた! 今回の標的となったのは、あの悪名高きエネルギー会社ハリバートン。イエス・メンは例によってハリバートンのサイトにそっくりなサイトを立ち上げ、ハリバートンの関係者を装ってコンファレンスでスピーチをを行ったらしい。

以前はWTOの講演会で股間から巨大なモニターの生えた「マネージメント・レジャースーツ」を披露した彼らだが、今度はタッコングそっくりの「サバイバボール」なるスーツを登場させ「このスーツは強風や洪水からエネルギーを得られるだけでなく、動物から生体エネルギーを吸い取れるので、どんな災害にも打ち勝てるのです」なんてスピーチを行ったようだ。要するに自然災害も自然破壊もハリバートン様には怖くないんですよ、という皮肉が込められてるわけだが、それを報じた記事が「ハリバートンが地球温暖化を解決」という題名になっているのが実に痛快。こんなパフォーマンスにも容易にダマされた記者とかがいたんだろうなあ。

スピーチの映像がない(みたい)なのが残念だけど、どうもこないだのドキュメンタリーに続いて新たな映画を作ってるみたいだから、また巧妙に大企業の裏をかいていく勇姿を期待しよう。日本でも何かやってくれないかなあ。

「LOOK AROUND YOU」シーズン2鑑賞


こないだシーズン1を観たBBCの科学番組コメディ「LOOK AROUND YOU」のシーズン2を観る。シーズン1が70年代の「NHK高校講座・化学」のパロディというノリだったのに対し、シーズン2は80年代版「ためしてガッテン」といった感じ。 今回は長さが10分から30分になったうえに4人の司会者が登場して、「スポーツ」や「食べ物」「コンピューター」といったテーマをこれまたシュールに扱っていく。例えばゴルフとテニスを合体させた新スポーツ「ゴニス」とか、檻から脱出を試みる高性能コンピューターなど、とにかくキテレツ極まりない科学的事実や発明がいろいろ紹介されていってえらく笑える。愛想のいい司会者が加わったことで、シーズン1のデッドパン的ユーモアがなくなってしまったのは残念だけど、司会者たちの言動やスタイルが実に80年代的で、まるで「NOT THE NINE O’CLOCK NEWS」(知ってる?)の失われたエピソードを観ているかのよう。しかし今だからこそ80年代をパロって笑ってられるけど、あと20年くらいしたら2006年の世界をパロった番組とかが出来るんでしょうか。

ちなみに各エピソードでは「今週の発明」としてこれまた奇想天外な発明品(オーケストラ演奏をする野菜とか、音を打ち消すスプレーとか)が登場するんだけど、最終エピソードは「特別生中継」と称してチャールズ皇太子がそれらの1つに最優秀賞を渡すイベントになっている。もちろんチャールズがこんなコメディに出演するわけないから、彼の映像はすべて「フォレスト・ガンプ」風にスーパーインポーズされ、セリフもすべて吹替えられて出演者と会話をするという実に凝ったトリックが使われている。しかも最後は嫉妬に駆られた発明者の1人に襲撃されるというオマケつき。日本じゃ皇太子の髪型をフォトショップしただけで雑誌の回収騒ぎになった例もあるわけで、こうしてお上をコケにできる番組なんてまず作られないだろうなあ。

「THE PROPOSITION」鑑賞

このブログの名前はニック・ケイヴの詩集「キング・インク」に由来してるわけだが、そのケイヴが脚本を担当したオーストラリアン・ウェスタン「THE PROPOSITION」を観た。監督は同じくケイヴが脚本を書いた「ゴースツ・オブ・ザ・シビル・デッド」のジョン・ヒルコート。「ゴースツ」と違ってケイヴ自身は出演してないものの、ガイ・ピアースをはじめダニー・ヒューストンやエミリー・ワトソン、ジョン・ハートといったなかなか豪華な顔ぶれが出演している。 舞台となるのは1880年代のオーストラリア。殺人とレイプの罪で指名手配されていたバーンズ3兄弟のうち、次男のチャーリーと三男のマイクが逮捕されるところから話は始まる。彼らを捕らえたスタンリー隊長は、残る長男のアーサーを始末するためチャーリーに1つの条件(Proposition)をつきつける:アーサーを探し出し、自らの手で彼を殺害しろ。さもないとマイクは死刑に処せられる、と。こうしてチャーリーは兄を見つけるため、荒野へと一人旅立っていくのだった…というのが話の主な内容。美しくも過酷なオーストラリアの大自然を舞台に、兄を捜すチャーリーの姿と、彼の帰還を待つスタンリーとその妻の姿が描かれていく。

プロット自体は比較的ストレートなウェスタンで、隠れ家が蜂の巣にされる衝撃的なオープニングに比べてラストが多少弱い気がする(スタンリーがどんどん軟弱になっていく)ものの、ケイヴの歌の世界そのままの血で血を洗うバイオレンスで全編が彩られていて、見る者を飽きさせない。もちろんケイヴが担当している音楽も効果的に使用されていていい感じだ。

フィクションとはいえ時代考証はかなり詳しくやっているらしく、ウェスタンにおけるインディアンの存在はこの映画だとアボリジニにそのまま置き換えられているわけだが、先住民の隷属化や大自然の西洋化といった出来事がアメリカだけでなくオーストラリアでも起きていたことを再認識させられる点が興味深い。ちなみに4頭のラクダが引く馬車が劇中に出てくるんだけど、あんなものが昔は本当に道を走ってたのかな。

「100 BULLETS vol.9: STRYCHNINE LIVES」読了


現在続いているシリーズとしては最高の作品だと考えているコミック「100 BULLETS」のペーパーバック第9巻「STRYCHNINE LIVES」がやっと発売された。 前巻の「THE HARD WAY」でストーリーが1つのヤマ場を迎え、最重要人物の1人の死によって終わっていたことから、今回はその死が引き起こす状況の変化を描いた「過渡期」的な内容になるかなと思っていたら、その予想は見事に嬉しく裏切られた。確かに物事の移り変わりが中心的に描かれているものの、過去に登場した様々な人物たちが再び登場し、それぞれの人生が複雑に交差して、皆が1つの大きな運命に引き寄せられるかのようにストーリーがグイグイと進んでいく。途中で意外な再会をする者たちや、衝撃的な死を迎える者たちがいろいろ出てくるわけだが、話が決して唐突もしくは散漫な感じにならず、すべての裏に綿密なプロットがあるかのようなブライアン・アザレロのストーリーテリングはやはり見事。そして上流社会の美女から社会の底辺に住む人々までを生々しく、かつスタイリッシュに描くエデュアルド・リッソのアートもまた素晴らしい。彼の描く危険な男たちの世界があってこそ、この作品は成り立っていると言っても過言じゃないだろう。

スラングや隠喩の多い文章や、謎の多いストーリー展開のおかげで多少読みづらい部分もあるものの、相変わらず他のアメコミでは得られない満足感を与えてくれる傑作。次のペーパーバック発売まで、また1年近くも待たなければならないのが非常につらいのです。

映像のインターネット配信について

アメリカのiTMSでフォックスの番組が販売されるようになった。とりあえず提供されているのは「24」「PRISON BREAK」「STACKED」「UNAN1MOUS」など、実にまあ食指の動かない作品ばかり。フォックスが力を入れてる作品て、どうしてあんなツマらなそうなんだろう。「クラシック」のカテゴリに「ファイヤーフライ」があるのはちょっとだけ興味あるけど。せめて「アレステッド・ディベロップメント」なんかも提供して欲しいなあ。 そしてこれと似た話で、ワーナーがビットトレントを通じて映画を提供するようになるとか。作品DVDと同じ頃に販売開始され、DVDと同じくらいの値段なんだけれども、DVDより画質が悪くて、DVDなどに焼けないDRMがくっついてくるらしい…ってロクなメリットがないじゃん。アマゾンとかでDVDを買ったほうがずっと良いような気がするけど?まあiTMSも当初は「CD買ったほうが全然いいじゃん」みたいなことを言われててあそこまで成長したわけで、今後の映像配信ビジネスはどんなものになるかとんと予想がつかないのです。

このようにメジャー・スタジオがインターネットでの金儲けに力を入れてきた一方、草の根的な運動も行われているわけで、こないだ紹介した「Star Wreck: In the Pirkinning」の製作者たちが、皆が自由にアドバイスを交換できる映画製作用のサイトを立ち上げようとしてるんだとか。そのうちに世界各地のスタッフがネット上で共同作業して作った映画、なんてものが出来たりして。