NY滞在記 その2

それなりによく寝たんで昨日の疲れもとれ、気分を一新してニューヨークに来た一番の目的であるMOMAに向かう。街中を歩くとすぐ分かるが、ニューヨークはやはりトロントなんかと全然違う。観光客が多いのは当然ながら、建物のデザインに歴史が感じられるというか、雰囲気が全然違うんだよなあ。トロントの住人がお互いに優しいのに対し、ここだと皆がよそよそしい(というか、誰も英語を話さない)というのはデメリットかもしれないが。 そして新生MOMA。5階くらいあってとにかくデカい。最初の2階は結構モダン/アバンギャルドなデザインの芸術品が飾ってあり、デザインの優れた工業製品とか家具なども飾ってあった。iBookとか。その上はピカソやセザンヌなどの絵が飾ってある。ピカソとかゴッホの絵って、見慣れてるようで現物をじかに見るとかなり良いのでございます。でもマイク・ケリーとかレイモンド・ペティボンとか新しめのアーティストの作品は飾ってなく、せいぜいロバート・クラムの本が売ってたくらい。アメコミのアーティストがもっと美術館とかに認められてもいいと思うんだがなあ。

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NY滞在記 その1

朝っぱらからトロントを出て一路ニューヨークへ。列車はそんなに広くないが、まあいい。
2時間ほどしてアメリカ国境を越えたところで(ナイアガラの滝なんぞはまるで見えず)入国管理局の連中がドカドカ乗り込んできて入国審査を受けさせられる。俺のパスポートを見た若造はワーキングホリデーについて何も知らないらしく、俺が失業中の外国人だと知るや必死に列車から追い出そうとしてモメる。一応そいつの上司が出てきて治まったものの、「何で仕事してないんだ」とその上司にも怒鳴られる。失業中で悪かったな。クソッ。 そのあと列車は延々と遅れて2時間遅れでニューヨークに到着。14時間以上列車に乗ってた計算になるか。幸運にも座席に電源プラグが付いてたので、PowerBookを接続してリッピングしといたDVDを見る。おかげで「ARRESTED DEVELOPMENT」シーズン1を殆ど観てしまった。しかもこれだけ遅れてんのに、車掌なんかはひと言も謝らないでやんの。クソッ。

結局ホステルにチェックインしたのは真夜中すぎ。疲れてたんですぐ寝る。

更新休止のお知らせ

明日(5/12)より一週間ほどニューヨークに旅行に行ってくるので、更新を休みます。 一応PowerBookを持っていくものの、ホステルにホットスポットがあるか不明です。更新できそうだったらやります。

とりあえず新築MOMAに行って、あとはブラブラしてきます。
「SPAMALOT」観に行きたいけど、チケット手に入るのかね?

EXTERMINATE!! EXTERMINATE!!


昨夜放送された「ドクター・フー」に、ドクターの長年の宿敵であるダーレク(写真上)が出演していた。ああ懐かしい。以前のエピソードみたいに何体も登場して惑星を征服する、といった内容ではなく、地球にただ1体残されたダーレクが自分の存在意義を問う、みたいな感じになってたのは物足りないが、まあ第2シーズンにも登場するらしいのでよしとしよう。 ダーレクといえばその脚のないデザインから、「宇宙最強の種族のくせに階段を上れない」と何十年もバカにされてきたものの、昨夜の話では空中浮遊などという新手の技を見せつけてくれたのであります。なお個人的にはドクターの宿敵といえばダーレクよりもサイバーメンのほうが好きなのだけど、そのサイバーメンもちょっとだけ登場したのが嬉しかった。

ちなみにこの新「ドクター・フー」、イギリスのSFドラマながら特撮が意外なほどしっかりしていて見応えがある。カナダを含む海外への販売をふまえたうえでそれなりの製作費をかけてるのだろうけど、かつてのチープな「ドクター・フー」とは大違いだ。

「アルジェの戦い」鑑賞

ジッロ・ポンテコルヴォ監督の疑似ドキュメンタリー映画「アルジェの戦い」(1965)をDVDで観る。傑作だという話は聞いていたものの、ここまで衝撃的な作品だとは思わなかった。 作品の内容は1950年代後半における、アルジェリアのフランスからの独立抗争を扱ったもの。祖国独立のために女性や子供を使ってまで爆弾テロをしかける抵抗組織や、それに対し拷問や無差別攻撃も厭わずに抵抗運動を潰そうとするフランス側の姿を、モノクロの強烈な描写で映し出していく。決して扇動的な内容ではないものの、全体的に抵抗組織よりの視点をもった作品になっていて、祖国を占領された人々がテロに走るさまや、抵抗組織の仕組みなどが観ていてよく理解できる。2003年にもイラクの抵抗組織を理解するための教材として、実際にアメリカの国防総省で試写が行われたらしい。それほど真実味の感じられる作品なのだ。

最近では疑似ドキュメンタリーというと「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」とか「ブラディ・サンデー」のようにカメラがひたすらグラグラ揺れるスタイルがかなり一般的になってきたが、必ずしもそんなスタイルをとらなくても、まるで記録映像を観ているかのような雰囲気を味わえることを、この作品は如実に証明していると思う。登場人物の心理描写を確実にとらえた撮影や編集にエンニオ・モリコーネの抑え気味ながら効果的な音楽が加わり、爆弾テロに至るまでの一連のシーンなどはハンパじゃない緊迫感に満ちた内容になっている。

50年近く前の出来事を扱った作品だが、その内容の多くが現在のイラク戦争とダブっていることには驚かされる。記者団の前では明確には認めないものの、情報を得るために抵抗組織のメンバーを拷問することを承認しているフランス軍の指揮官など、今のアメリカ軍そのままではないか。その指揮官が第二次世界大戦では対ナチのレジスタンスに加わっていた、というのも皮肉な話である。

歴史は繰り返すというけれど、状況は繰り返されるのに解決法が未だ見つかっていないのが問題なんだよなあ。