「HELLBLAZER」概説

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ここ数日「コンスタンティン」関連のヒットが多発していて、このページを多くの人たちに読んでもらえるのは嬉しいことなのだけれども、「原作と違うダメ映画じゃーん」と書いておきながら原作がどんな作品なのか説明してないのはちょっと無責任かなと思い、原作となったコミック「HELLBLAZER」の紹介を簡単にさせてもらいます。

ただ以前にアメコミ紹介のサイトを運営してたときに痛感したのが、アメコミって基本的に人気さえあれば延々とシリーズが続くので、長いストーリーの過程で登場人物の設定がコロコロ変わったり、過去にあった話が「なかったこと」にされてしまうのがザラに起きるということ。おかげで例えば「コンスタンティンは金髪である」と解説しても、翌月には「彼は生まれつき黒髪だった」なんて設定に変えられるかもしれないのだ。こればっかりはどうにもならないので、とりあえず自分が一番よく読んだ、ガース・エニスがライターを担当してた頃(#41ー83)のストーリーを参考にします。映画版もここらへんのストーリーをベースにしてるので問題ないかと。現在の「HELLBLAZER」は#200を超えているので、後のストーリーと矛盾があるような場合は御免。

主人公のジョン・コンスタンティンはリバプール生まれのイギリス人で、生年は一応1953年とされているが正確な年齢は不明(コミックのキャラなので)。母親は彼を出産中に死亡し、酒飲みの父親のもとで姉のチェリルとともに育った。

コンスタンティンの家系は何世紀にもわたり魔術師を生み出してきた家系で(ただし由緒あるものではない)、コンスタンティンも10代の頃からオカルトに興味を抱くようになる。父親に反発して家出した彼はロンドンに向かい、生涯の親友となるチャズに出会う。またパンク・ロックのムーブメントにも影響されてバンドを結成、レコードを1枚発表する。この頃のコンスタンティンは、オカルトかぶれの自意識過剰な青年だったようだ。


そして彼は自分の力量も知らずに、ニューキャッスルでバンド仲間たちと悪魔祓いを試みるが、これは最悪の方向に向かい、ある幼い少女が地獄に堕ちる結果となる。この件で発狂寸前となったコンスタンティンは精神病院に入れられてしまう。ちなみにこの精神病院の名前「レイヴンスカー」は映画版の病院の名前でもある。

数年後に精神状態を回復し病院から解放されたコンスタンティンは、以前に比べて少しは落ち着きのある人物になったものの、相変わらず人の気に障るような奴としてロンドンに住んでいる。そして文字通り過去の過ちの亡霊に悩まされながら、彼はオカルトにまつわる出来事にいつも巻き込まれていくのだ…。

上記が「HELLBLAZER」の一応の非常に大まかな設定。ものすごく極論すると映画版のように「悪魔との戦い」が主流のストーリーであるものの、オカルトとは直接関係ないギャングの抗争や監獄での暴動などに巻き込まれることもある。なお原作のコンスタンティンは基本的に「口の達者なイヤな奴」であってヒーローではない。しかも悪魔などとの戦い方の手際が悪いというか、大抵の場合は身近な人間が犠牲になってやっと勝利を得るような状態で、後になって犠牲者の亡霊(多数)が彼の目の前に現れることもある。長年続いてるシリーズなのに昔からの登場人物が意外と少ないのは、実は大半が死んでしまっているからなのだ。ふざけた奴のように見えながらも、実は暗い運命を抱えているコンスタンティンの姿こそが人気の理由だろう。

ちなみに職業は「無職」(笑)。金持ちではないものの、常にどこかから金を入手してきてタバコ(愛用はシルクカット)と酒につぎ込んでいる。またオカルトの知識に精通しているだけでなく、輸血によって体内に悪魔の血が混じってたり、簡単な催眠術を使うことができるものの、彼の具体的な能力は明確には説明されていない。映画版みたいに悪魔と正面切って戦うことはなく、ウソとハッタリで場を切り抜けるようなタイプである。未だに謎めいた部分のあるキャラクターであり、そういう意味では主人公を張ってる「HELLBLAZER」よりも他のコミックに脇役で出てきたほうが、さらに謎めいた感じがして面白かったりする。

あとコミックでの初登場はアラン・ムーアの執筆していた「SWAMP THING」にて、スワンプ・シングに自らの能力を自覚させる謎めいた人物として登場したのが始まり。よって実は「HELLBLAZER」は「SWAMP THING」のスピンオフ・シリーズだったりする。ムーアをはじめジョン・トットルベンやリック・ヴィーチといった当時の「SWAMP THING」の作家たち6名が共同でコンスタンティンの創作者として認識されている(はず)。ムーアはこの後「ウォッチメン」に続くミニシリーズ「TWILIGHT」にてコンスタンティンを主役的存在として使うはずだったが、「ウォッチメン」の著作権に関してDCコミックスとケンカしたため、このシリーズはお流れとなり、ジェイミー・デラーノがライターとなって「HELLBLAZER」が始まった…ということらしい。デラーノの後はガース・エニスやポール・ジェンキンズ、ブライアン・アザレロといったライターたちがストーリーを執筆している。

ダラダラと長い文章になったけど、こんな説明で原作の内容が分かっていただけたでしょうか?確かに原作のコンスタンティンってハリウッド大作の主人公とは縁遠いタイプなんだけど、だからってあんなに原作を無視した映画にしなくても…。

映画祭のボランティア

カゼひいて体がすごいダルかったものの、行きつけの映画館でやってる映画祭「REELWORLD FILM FESTIVAL」のボランティアに行ってくる。映画祭と言ってもマルチプレックスのスクリーンのうち3つを使い、世界各地のマイナーな映画を紹介するという非常に規模の小さいものなのだが。仕事は劇場でのモギリとか観客の誘導とかで、客数が少ないのでずいぶん楽だった。でもいくつかの作品はチケットが売り切れたのもあるらしい。カナダ人て全体的にレイドバックしてるところがあるので、映画の開始時間が遅れても気長に待っててくれるのが助かる。日本じゃ露骨にイヤな顔とかされそうなもんだけどね。

ボランティアを1回やるごとに映画のタダ券がもらえる仕組みだけど、明日の夜に「ホテル・ルワンダ」同様にルワンダの大虐殺を描いた「SOMETIMES IN APRIL」を上映するらしい。体調が良くなれば観に行こうかな。

映画祭の公式サイトはこちら

「愛の落日」 鑑賞

「愛の落日」こと「THE QUIET AMERICAN」をDVDで観る。その「反アメリカ的」な内容が9/11テロ直後のアメリカで問題になり、公開が1年近くも延期された作品だが、日本ではこんな邦題で公開されていたとは。

1952年のベトナムを舞台に、ベトナム対フランスの第1次ベトナム戦争と、共産国家の台頭を恐れたアメリカの介入による政治不安を背景にしながら、イギリス人の老記者と若きアメリカ人、そしてベトナム人の美女の三角関係を描いた傑作。歴史の大きなうねりを黙って見つめる記者役のマイケル・ケインの演技が光るが、謎めいたアメリカ人役のブレンダン・フレイザーもなかなかのもの。「ゴッド・アンド・モンスター」もそうだったが、この人はコメディやアクションよりもシリアスな演技の方が似合ってると思う。

アメリカ対ベトナムの第2次ベトナム戦争を予期したグレアム・グリーンの原作は未読だが、面白そうなので今度読んでみようかな。

映画教室 修了

月曜の話になるが、ダウンタウンにある大学でとっていた「低予算映画の作り方」の短期コースを無事修了した。1回だけ出された課題(低予算映画のプロジェクトをたて、製作日程と予算を見積もるというもの)も「現実味のある予算の組み立てだ」ということで「A」をもらえたので良かったかなと。

カナダの映画教室ということで、アメリカと似たようで異なる映画業界の詳細を学べたのは面白かった。例えばカナダは映画撮影も映画鑑賞も盛んな国だけど、撮影されているのも公開されているのもアメリカの映画ばかりである。純粋なカナダ映画なんて殆ど製作されていないし、製作されたとしてもメジャーな映画館でワイドリリースされることなんてまずないわけだ。これはどうも映画製作がコスト的にリスクと見合わないものであることに起因してるらしい。

またカナダドルが米ドルにくらべて安かったことから、90年代後半あたりからハリウッド映画の撮影がカナダで行われることが非常に増加した期間があった。これは現地スタッフの育成にも役立ったわけだが、国外に仕事を流出させることがアメリカ国内で問題視され、最近はめっきり仕事が減ったとか。ケベック州やオンタリオ州なんかは撮影誘致のために税金の免除を打ち出してるけど(州同士で競争してるのが興味深い)、最近ではチェコなどのさらに物価が安い国へ撮影の仕事が流れてしまっているようだ。

一般的に映画撮影って現地の経済にかなりの富をもたらしてくれるわけで、いろんな国や州が税金免除まで持ち出して誘致しようとする理由がよく分かる。日本では資料館なんかを作って撮影を誘致したいなんて言ってる人がいるみたいだけど、ハリウッドのお偉方なんてゼニしか見ない連中なんだから、「税金免除」「物価安」「英語の話せるスタッフ」「レベルの高いスタッフ」などの条件が揃ってないとまず誘致はムリだろう。

ちなみに育成されたスタッフがカナダにゴロゴロいるということは、映画製作が一つの商売として一般的に認められていることであり、製作のシステムが確立されていることを意味する。よって初心者でも製作の手段さえ知っていれば機材をレンタルしたり、スタッフや役者を雇うことが比較的容易にできてしまうのだ。そういう点では低予算映画が作りやすい土壌があるかな、と思う。映画を作って儲けを出せるかどうかは別問題ですが。

Has Your Favorite Show Been Cancelled????

今年放送されたTVシリーズのうち、どれが存続/打ち切りになるかをAin’t It Coolが発表していた。毎度のことだけど、人気のある長寿番組は滅多なことでは打ち切りにならない。「シンプソンズ」とか「ザ・ホワイトハウス」とか。「ロー&オーダー」が全部で4シリーズ、「CSI」が3シリーズって何なんだよ。そのうち毎日「ロー&オーダー」を流すようになったりして。

今年の新作では「HOUSE」や「DESPERATE HOUSEWIVES」「LOST」「NUMB3RS」などが生き残り組、「JOHNNY ZERO」「POINT PLEASANT」あたりが打ち切られ組。無難な結果かな。カルト的人気を誇る「VERONICA MARS」はカナダではやってないので未見。「REBA」とか「CHARMED」ってまだやってたんすね。

個人的には「ARRESTED DEVELOPMENT」の運命がまだ決まってないのが非常に気になる。現在放送されているシリーズの中ではダントツに面白いのだが。フォックスは過去にも「FUTURAMA」を打ち切ったしなあ…。