ハマー・フィルムの大傑作ホラー映画「ウィッカー・マン」のリメイクがニコラス・ケイジ主演で製作されることが決まったとか。へええ。
話の舞台はは例によってハリウッドの賢く明晰な判断のもと、オリジナルのスコットランドからメーン州に移されるらしい。ろくに歴史のない国で原始宗教のカルト集団なんか登場させても説得力がないと思うんだが。なんかハッピー・エンドの話に改変されてしまいそうで怖い。
ハマー・フィルムの大傑作ホラー映画「ウィッカー・マン」のリメイクがニコラス・ケイジ主演で製作されることが決まったとか。へええ。
話の舞台はは例によってハリウッドの賢く明晰な判断のもと、オリジナルのスコットランドからメーン州に移されるらしい。ろくに歴史のない国で原始宗教のカルト集団なんか登場させても説得力がないと思うんだが。なんかハッピー・エンドの話に改変されてしまいそうで怖い。
ウェス・アンダーソンにとって、ケヴィン・スミスの「ドグマ」もしくは「ジェイ&サイレント・ボブ 帝国の逆襲」やリチャード・リンクレーターの「ニュートン・ボーイズ」あたりに相当する作品。つまり低予算で批評家にウケのいい作品を撮っていた監督が、それなりの予算をもらって大衆狙いの作品を撮ったら、かつてのキレがなくなってコケたというパターン。まあ多くの監督が通るイバラの道ではあるのだが。キャストが豪華という点では前作「ロイヤル・テネンバウムス」が既にそうだったが、今回は調査船ベラフォンテ号のセットや大海原での撮影、海賊との銃撃戦などいろいろ金をかけておきながら、それらが作品の出来に貢献してないところが残念。
ストーリーの内容は親友をサメに喰い殺された海洋学者スティーブ・ジッスーが周囲の反対も気にかけず、自分のクルーおよび初対面の息子とともにサメへの復讐へ乗り出す…というもの。今までのアンダーソン作品同様にあまり確固としたプロットは存在しておらず、シュールな話がひたすら続いてくような感じになっている。主人公を演じるのはアンダーソン作品の常連ビル・マーレイ。彼の息子役はこれまた常連のオーウェン・ウィルソン。他にもケイト・ブランシェットやウィレム・デフォー、ジェフ・ゴールドブラムといった豪華な面々が出演している。
このようにキャストが豪勢で予算があって監督が有能なのに、何で「ライフ・アクアティック」の出来がダメなのかというと、ひとえにアンダーソン作品の特徴であった悲壮感とコメディの絶妙なバランスが今作ではズレまくってるところにある。今までの彼の作品の父親像(「天才マックスの世界」のビル・マーレイや「テネンバウムス」のジーン・ハックマン)は人生に疲れ果てた物悲しい存在でありながらもどこか常人離れした滑稽な雰囲気を醸し出していたが、今作のビル・マーレイは単に気難しいオヤジになり下がっており、そんな彼が生半可に喜劇的なシチュエーションに置かれるものだから行動すべてが変に空回りしているように感じられてしまう。特に人が撃たれたり斬られたりしてる海賊との戦闘シーンで変に笑いをとろうとしているのは、観ててかなりキツいものがあった。脚本にオーウェン・ウィルソンが今回は参加してないのが失敗の理由か?
あとアンダーソンの作品といえば絶妙な楽曲の使い方が1つの特徴になっているが(「マックス」のフェイセズとか「テネンバウムス」の「ルビー・チューズデイ」とか)、今回はセウ・ジョルジ(本人出演)がポルトガル語で歌うデビッド・ボウイの曲に重みをおきすぎたせいか、全体的にぴりっとしない選曲になっているのも残念。
ここまでいろいろ批判的なことを書いてきたが、あくまでもアンダーソンの前2作に比べての個人的な評価であって、決して水準以下の作品というわけではないと思う。観てて面白い部分はたくさんあるし、「バカルー・バンザイ」そのまんまのラスト・クレジットにも笑えた。本国ではあまり良いとは思えない評価と興行成績を得た作品だが、これをバネにしてまた傑作を撮ってくれれば、それなりに意義のある作品として記憶されるのではないか。
トロントで一部の撮影が行われてた映画「FEVER PITCH」のトレーターが公開されてた。エキストラの仕事やりたかったなあ。
主演のドリュー・バリモアはまだしも、相手役が「TAXI NY」でコケたジミー・ファロンなのでどのくらいヒットするかは未知数。もともと「弱小レッドソックスを健気に応援するルーザーとの恋物語」という設定になるはずだったのだが、ご存知のようにレッドソックスが去年ワールド・シリーズを制覇してしまったため、急遽ラストシーンが書き換えられたらしい。
でもこれってイギリスのサッカーチームを健気に応援する日記(ノンフィクション)が原作なわけで、原作との類似性は何パーセントくらい残ってるのだろう。「コンスタンティソ」もそうだったが、原作を切り刻んでまでアメリカナイズするハリウッドの野望恐るべし。
単行本化されるたびに購入している大傑作コミック「100 Bullets」の#58をマンガ屋で立ち読みして驚いた。最重要キャラクターの1人であるXXXXXがXXXXにXXされてXXXXXX!!!
50号をこえて、少し中だるみしたかと思ってた矢先にこれである。ブライアン・アザレロあなどり難し。単行本化が待ち遠しい。
「ホテル・ルワンダ」を劇場で観た。
1994年に起きたルワンダでの虐殺(被害者数は推定100万人)については大した事実を知らないので偉そうなことは書けないが、虐殺の対象となった人々の不安や、彼らを救おうとする主人公の奮闘が力強く表現された良作である。
ベルギーの統治時代(あるいはそれ以前)から続く積怨により、多数派のフツ族によって「ゴキブリ」と呼ばれながら虐殺されていくツチ族。国連軍は虐殺を目の当たりにしながらも規則に縛られて何一つ行動できず、西洋諸国は早くから無視をきめこむ。そんな中でフツ族の難民を抱え込むことになったホテルのマネージャーである主人公(ドン・チードル)は軍人を買収したり、西洋社会に嘆願をしたりして妻を含むツチ族の人々を守ろうとしていく。実話同士を比べるのは失礼かもしれないが、主人公の行動は「シンドラーのリスト」のオスカー・シンドラーとダブるところが多分にある。また記者を含む外国人が国外退去させられ、現地人が何の助けもないまま取り残されるさまは「キリング・フィールド」によく似ていた。「キリング〜」は変に白人中心の観点がムカついた作品だったが、本作品はあくまでもルワンダの人々が中心に描かれている。ちなみに主人公にずいぶん同情的な国連軍の中佐をニック・ノルティが演じているが、彼だけは架空のキャラクターらしい(カナダ人の将校がモデルだが)。
戦乱時にあっても物資を購入し、軍人を買収できるだけの財力が主人公にあったのは、彼が西洋社会(特にかつての支配階級であるベルギー)の「よき部下」だったからだ、というのは少し皮肉めいている。しかし彼は西洋社会でのコネを利用して、自国の惨状を世界に知らしめようとしていく。フツ族の政府軍の背後にフランスがいるため、ベルギーを通じてフランスに窮状を訴えるところは興味深かった。あくまでも高級ホテルが舞台なので悲惨な状況でも変に優雅な雰囲気があり、あまり虐殺の凄まじさが描かれていない(つまりハリウッド色が強い)という批判もあるかもしれないが、そこらへんは虐殺を扱った他の作品(「Sometime In April」など)に期待しよう。
アカデミー賞では軽視された感のある作品だが、「ミリオンダラー・ベイビー」よりずっと面白かったと思う。