両国にぎわい春祭り

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今日はカナダ人の友人を連れて両国でやってた「両国にぎわい春祭り」へ行った。友人の希望というよりも明らかに俺の趣味で行ったわけだが。

午前中にやってた相撲力士の稽古総見はなかなか見応えあり。遠目で見ても朝青龍の体の出来が他の連中と一段違ってるのがよく分かる。安馬が積極的に稽古してたのが印象的。

それから大通りのフリーマーケットなどを見て、屋台でちゃんこを買って食う。肉も野菜もたっぷり入ってて非常に美味。あれを毎日食えるんだったらいい生活だよなあ。

稽古では白鵬があまり頑張ってなかったみたいだけど、五月場所ではどうなんでしょ。

「笑い展」鑑賞

カナダ人の友人がGWにあわせて青森から上京してきたんで、彼の望みにより六本木ヒルズの森美術館でやってる「笑い展」を観に行く。思ったよりかは空いていた。

前半が「日本美術が笑う」ということで縄文時代から江戸時代までの「笑い」に関する美術品を並べ、後半は国内外の「笑い」に関する現代アートを並べたものになっていて、展示物がかなり多いぶん面白いものも結構あったものの、「笑い」というコンセプトが弱いために全体的に散漫なところがあるのは否めない。

あとどんなにローブローな内容の展示物であっても、美術館という場に飾られていることでなんかハイソな感じがして現実の「笑い」とはかけ離れたものになってしまっている、と思うのって俺がひねくれてんでしょうか。でも例えば「オニオン」のネタなんかのほうが的確に笑いのツボをおさえてると思うんだけどね。

ちなみに六本木ヒルズはいつ行っても中で迷う。設計変じゃないか?あと東京ミッドタウンのビル群はカッコ悪すぎ。

「リングワールドの子供たち」読了

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ラリイ・ニーヴンの「リングワールド」シリーズの第4巻、そしておそらく最終巻の「リングワールドの子供たち」を読んだ。SF小説というか小説を読んだのってずいぶん久しぶりだったけど、馴染み深い世界の物語だったのですんなり読めた。

前作の「リングワールドの玉座」がどちらかといえば地味な展開の作品だったのに対し、今回は最初のほうで懐かしのロングショット号が登場したかと思えば、リングワールド周辺の宙域で派手にドンパチをやってくれる展開になっていて、反物質爆弾によるリングワールドの地殻の貫通なんていう荒技も見ることができる。これに加えてリングワールド建設の歴史が紹介されたり、ティーラ・ブラウンの秘密が明らかになったりと、なかなか集大成的なストーリーが繰り広げられていて面白い。「獣への話し手」ことハミイーもちょろっと出てくるし。肉体が若返ったおかげでリビドーに圧倒される主人公のルイス・ウーがなんか情けないけど。

前半の展開にくらべて後半がずいぶん急ぎ足になっていて、説明不足の点が多いような気がするし、最後のオチもかなり無茶苦茶なような気がするけど、まあいいんじゃないでしょうか。それにしても「太陽のような質量の付近で宇宙船がハイパードライブに入ると、亜空間に棲む捕食生物に喰われる」なんてカホな設定、どこから思いついたんだろう?

辺獄はないんだってさ

洗礼を受ける前に死んだ赤子が堕ちるところとされていた辺獄(リンボ)なんてものは存在しないと、ヴァチカンが正式に発表したそうな。その「存在性」は疑わしきものであり、洗礼されてなかった子も神さまがお救いになられてる可能性があるんだそうな。

へえ。

じゃあついでに原罪とか聖戦とか、あまり人間に役立たなそうな概念も「存在性」が疑わしいってことでついでに撤廃してくれたりはしないんですかね。天国とか地獄とか神様なんてのは結局、人間が都合のいいように考えたものであって、そんなもののために世界各地で紛争とかが起きてるんだったら、いっそキリスト教に限らず宗教なんてものはすべて無くしたほうがいいと思うんですが。

追悼 カート・ヴォネガット

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初めてヴォネガットの本を読んだのは中学生か高校生のころ、地元の図書館にあった「スラップスティック」を借りてきたときだった。あの頃は彼のことなんて何も知らなくて「カート・ヴォネガット」と「カート・ヴォネガット・ジュニア」という親子2人の作家がいるもんだと思ってたっけ。そして彼の簡潔で読みやすい、けれど奥が深く、軽快なユーモアに満ちているようでどことなく物悲しいところがあり、それでも最後には人間への望みを捨てていないような文章にすぐに魅せられて、高校時代は彼の本を読みあさってばかりだった。俺が長編をすべて読んだことがある作家って彼くらいのものじゃないかな。俺の人格形成に大きな影響を与えた作家の1人であることは間違いない。

一般的には「スローターハウス5」や「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」あたりが彼の傑作として知られているようだけど、個人的にはやはり「猫のゆりかご」が一番好きだったなあ。作家の取材旅行が南米の島での騒動にまきこまれていき、しまいには世界が破滅してしまうというバカバカしさ、そしてその背後にある真面目さが素晴らしかったのです。ほかには「母なる夜」や「青ひげ」も好きだったっけ。キルゴア・トラウトの息子が泣きじゃくって終わる「ガラパゴスの箱船」のラストにも感動したものです。

彼がかつてエッセイで、姉の夫が粘土入りの風船というおもちゃ(ピエロの顔が描いてあって自在に表情を変えられる)を売り出そうとして大失敗し、そのまま姉夫婦は不幸に見舞われて他界してしまったということを書いてたけど、彼の小説もこのおもちゃのようなものだった。一見すると普通に愉快そうなものに見えるんだけど、その裏には何かしら哀しい話があるというふうに。そして愉快そうな文章のあいだにそうした物悲しい話があっただけに、その話は何倍もの衝撃をもって読者に訴えかけることができたんだろう。

「タイムクエイク」で小説の断筆宣言こそしたものの、エッセイなどは書き続け、去年も「デイリーショー」に出演して政権批判などをしていたし、まだまだ長生きして我々を啓蒙してくれると思っていたのに、転倒による負傷が原因で亡くなってしまうとは、あまりにも残念なお別れとなってしまった。でも彼は決してこの世を離れたわけではなく、「スローターハウス5」のトラルファマドール星におけるビリー・ピルグリムのように、時間の流れを離れて幸せなひとときに身を委ねることになったんだろう。AintItCoolにも素晴らしい追悼記事があるので読んどくように。

合掌。

so it goes.