映画ニュース

個人的に興味のある映画のニュースについてダラダラ書いてみる。

「聖少女バフィー」で知られるジョス・ウィードンの映画「SERENITY」のトレーラーが公開されていた。面白いのかな?短命に終わったTVシリーズ「FIREFLY」の映画版だけど、TVシリーズの製作がフォックスで劇場版がユニバーサルというのがちょっと興味深い。版権をウィードンが持っていてユニバーサルに持ち込んだんだろうか。

トレーラーといえば「バットマン・ビギンス」の新トレーラーも公開されていた。メインの敵キャラとなるスケアクロウの姿も一瞬見れる。なぜラーズ・アル・グールを渡辺謙が演じるのかはよく分かりませんが。モーガン・フリーマン演じるルシアス・フォックスはバットマンの正体を知っているという設定なのだろうか。それにしてもフリーマンをはじめ、マイケル・ケインやリーアム・ニーソン、ゲイリー・オールドマンといった濃い役者が勢揃いの映画だなあ。

アメコミ映画といえば、マーヴェルとパラマウントが大規模な提携を結んだとか。どうもマーヴェルが自腹を切って自社のキャラクターを映画化し、それをパラマウントが配給してマージンをとる仕組みらしい。ルーカスフィルムとフォックスみたいな関係ですね。コミックスを出してる会社が自分たちで映画を作ることは歓迎すべきことなのだろうけど、早くても第1弾が公開されるのは2年後ということで、それまでにアメコミ映画のブームが過ぎてるのではないかと不安になってしまう。

ルーカスフィルムといえば、「エピソード3」公開後の動静についていろんな噂が出回っているようだ。どうも「スター・ウォーズ」の世界をベースにしたTVシリーズが2つ作られるとか(クリスマス・スペシャルの再来か?)。旧来のファンの間ではルーカスの評判が悪くなるばかりだけど、彼って世界最大のインディペンデント映画製作者であり、自分の好きなように映画を作ってそれをヒットさせ、その利益でまた好きなように映画をつくる、というスタンスは賞賛に値するものがあると思う。だからってダメ映画を作っていいということにはならないけど。

映画教室 修了

月曜の話になるが、ダウンタウンにある大学でとっていた「低予算映画の作り方」の短期コースを無事修了した。1回だけ出された課題(低予算映画のプロジェクトをたて、製作日程と予算を見積もるというもの)も「現実味のある予算の組み立てだ」ということで「A」をもらえたので良かったかなと。

カナダの映画教室ということで、アメリカと似たようで異なる映画業界の詳細を学べたのは面白かった。例えばカナダは映画撮影も映画鑑賞も盛んな国だけど、撮影されているのも公開されているのもアメリカの映画ばかりである。純粋なカナダ映画なんて殆ど製作されていないし、製作されたとしてもメジャーな映画館でワイドリリースされることなんてまずないわけだ。これはどうも映画製作がコスト的にリスクと見合わないものであることに起因してるらしい。

またカナダドルが米ドルにくらべて安かったことから、90年代後半あたりからハリウッド映画の撮影がカナダで行われることが非常に増加した期間があった。これは現地スタッフの育成にも役立ったわけだが、国外に仕事を流出させることがアメリカ国内で問題視され、最近はめっきり仕事が減ったとか。ケベック州やオンタリオ州なんかは撮影誘致のために税金の免除を打ち出してるけど(州同士で競争してるのが興味深い)、最近ではチェコなどのさらに物価が安い国へ撮影の仕事が流れてしまっているようだ。

一般的に映画撮影って現地の経済にかなりの富をもたらしてくれるわけで、いろんな国や州が税金免除まで持ち出して誘致しようとする理由がよく分かる。日本では資料館なんかを作って撮影を誘致したいなんて言ってる人がいるみたいだけど、ハリウッドのお偉方なんてゼニしか見ない連中なんだから、「税金免除」「物価安」「英語の話せるスタッフ」「レベルの高いスタッフ」などの条件が揃ってないとまず誘致はムリだろう。

ちなみに育成されたスタッフがカナダにゴロゴロいるということは、映画製作が一つの商売として一般的に認められていることであり、製作のシステムが確立されていることを意味する。よって初心者でも製作の手段さえ知っていれば機材をレンタルしたり、スタッフや役者を雇うことが比較的容易にできてしまうのだ。そういう点では低予算映画が作りやすい土壌があるかな、と思う。映画を作って儲けを出せるかどうかは別問題ですが。

「エピソード3」フィギュア

とあるショッピング・モールのトイザらスに行ったら、「スター・ウォーズ:エピソード3」のフィギュアなどがもう発売されていた。前回の「エピソード2」のときは「右手の外れるアナキン人形」なんてものがあってネタバレに貢献していたけれど、今回はそういったものはないようだ。あるいは単に「エピソード3」がどういう結末を迎えるか皆がとっくに知っているだけかもしれない。「ダース・ベイダーになるアナキン人形」は平然と売られてます。

話の都合上アナキンのフィギュアはどれも「悪人顔」だし、オビ=ワンはヒゲオヤジと化しており、一見しただけでは誰が善玉なのか分かりにくいのはちょっと問題かと。

それにしてもジミー・スミッツのフィギュアが発売される日が来るとは。

THE FOUNTAIN Montreal Set Visit Details

鬼才ダレン・アロノフスキー監督の待望の次回作「THE FOUNTAIN」がここカナダのモントリオールで撮影中(撮影済?)ということで、非常に興味深いセット訪問記がAin’t It Coolに掲載されていた
。ヒュー・ジャックマンとレイチェル・ワイズが主演をつとめ、相当スケールが大きい作品になるらしい。かつてはブラッド・ピット主演で撮影寸前までいった作品だが、ピットが降板したため急遽撮影が打ち切りになるという不遇な目にあった作品だが、無事にこうして製作が再開されているのは非常に嬉しい。公開が待ちきれない。しかし以前はオーストラリアにセットを組み立てるところまで行ったのに、なぜ今度は極寒のモントリオールに移動したんだろう。

かつては「ウォッチメン」や「バットマン:イヤー・ワン」などの監督も噂されていたアロノフスキーだが、この記事には「ウォッチメン」に関する面白い話が載っている。なーんとデビッド・ボウイが「ウォッチメン」のロック・オペラを企画中だとか。本当に公演されるかどうか不明だが、ボウイはやはりオジマンディアス役か??

それにしてもアロノフスキーの作品の音楽を担当してるクリント・マンセルが、あのポップ・ウィル・イート・イットセルフのクリントだったとは!!!

「シン・シティ」に見るコミックの映画化技法

先週の金曜日に封切られた「シン・シティ」が大方の予想通り興行成績1位に輝いたようで、まずはめでたしめでたし。もっとも興行成績で作品の良し悪しが決まるものではないんだけど。約2800万ドルという成績は決して記録的なものではないけど、R指定作品だし製作費が4000万ドル程度(さすがロドリゲス!)であるらしいことを考慮すれば上出来の結果かと。これで続編製作が決定か?

一般大衆の受けも上々らしく、IMDbでは早くも歴代作品のトップ112位に食い込んでいた。ただし批評家の受けはそこまで良くはないようで、「内容よりもスタイルに重点を置きすぎてる」とか「映画ではなくコミックを見てるようだ」といった批判も出ているようだ。まあコミックに徹底的に忠実に作るのが監督の目的だったので、これらの意見は褒め言葉としてとらえることも可能だろうけど。ただコミックに忠実になるあまり、映画化への脚色が十分に出来てないと思われる部分があるのも事実である。そこでコミックの映画化とは何ぞや、ということについて少し書いてみる。(注:以下に少しネタバレあり)

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上記の画像は「THE BIG FAT KILL」でジャッキー・ボーイの生首が突然話しだすシーンのもの。コミックではページをめくったとたんに彼が目を見開いて喋りだし、それをドワイトが「お前は幻覚にすぎない。黙ってろ」とクールに対応する非常にカッコいい光景を1コマで描ききっているわけである。これを映像化しようとすると、どうしても1コマ以上の時間や視点の動きが必要となってくるわけで、「生首が話しだす」→「ドワイトが反応する」→「ドワイトが話す」という流れに持っていかざるを得ないと思う(実際、今回の映画もそうだった)。そうなるといかにコミックに忠実になろうとしても、越えることができないメディアの違いという壁があるわけで、あとは映画製作者の脚色の手腕にかかってくるのではないか。

それと今回の映画で気になったのがナレーションの多用で、これもまた原作通りなのだけど、コミックは文章量が多くなっても読み手が任意のスピードで読むことが可能だから比較的多くの情報を処理できるのに対し、映画はまず映像が製作者の任意のスピードで観客の目に飛び込んでくるわけで、それに加えてナレーションがガンガン流れるのは見てる側にとってキツいものがあると思う。映画はまず何よりも映像/視覚のメディアだな、と実感した次第です。

もちろんこれはロドリゲス監督に脚色の技能がない、なんて言ってるわけではない。彼は非常にうまく原作を映像化してるのだけど、あまりにもスタイルに忠実であるがためにコミックと映像の壁が明確に現れてしまったわけだ。コミックの正しい映画化への道は厳しい。

とりあえず原作をじっくり読み直してからまた観てきます。