MOORE SLAMS V FOR VENDETTA MOVIE

主演のナタリー・ポートマンがスキンヘッド姿でカンヌに現れたことで、知名度がグンと上がった感のある「V FOR VENDETTA」だが、原作者のアラン・ムーアが映画の脚本を批判してるらしい。全体主義下のイギリスが舞台の作品なのに、例によってイギリスのことなんか何も知らないハリウッドの連中がトンチンカンな設定を創作しているんだとか。あと製作のジョエル・シルバーが勝手に自分の名前を挙げて宣伝に使ったのにもムカついてるらしい。
ムーアが人の悪口を言うのは決して珍しいことではないが、今までは自分の作品が映画化されても「俺には関係ねーや」的な態度で通してきた彼が、脚本を批判するのは異例のことだ。映画化は大丈夫なんだろうか…? ムーアの作品でも「リーグ・オブ・レジェンド」こと「LEAGUE OF EXTRAORDINARY GENTLEMEN」なんかは原作通りに映画化することは出来っこないと最初から腹をくくっていたので、ジェームズ・ロビンソンがどんなアレンジを加えるかな、という見方ができて結構楽しめた(たぶん、「ウォッチメン」もこんな感じになるだろう)けど、「V」は努力すれば原作通りに映画化できる作品だと思うので、ぜひウォシャウスキー兄弟たちには頑張ってほしい。本当はBBCあたりがミニ・シリーズ化するのが一番いいとは思うけど。
前にも何度か書いたが、どうも過大評価されてる感のある「ウォッチメン」よりも「V」の方が個人的には優れていると思う。初めて読んだ時には、アナーキズムを扱った作品の内容に大きな衝撃をうけたものだ(ムーアのアナーキズム観については、オニオンのインタビューが非常に面白い)。

ちなみにこれに関連して、DCの指図に嫌気がさしたムーアは「EXTRAORDINARY GENTLEMEN」の第3シリーズをDC傘下のワイルドストームではなく、別の出版社から出すことにしたとか。ムーアがDCを徹底的に嫌ってることは周知の事実だったので、こういうことが起きるのは時間の問題だったのかもしれない。しかし「EXTRAORDINARY GENTLEMEN」って第2シリーズの最後でチームが解散(うち2人は死亡)してるんだけど、第3シリーズはどんな展開になるんだろう???

映画ニュース

個人的に興味のある映画のニュースについてダラダラ書いてみる。

「聖少女バフィー」で知られるジョス・ウィードンの映画「SERENITY」のトレーラーが公開されていた。面白いのかな?短命に終わったTVシリーズ「FIREFLY」の映画版だけど、TVシリーズの製作がフォックスで劇場版がユニバーサルというのがちょっと興味深い。版権をウィードンが持っていてユニバーサルに持ち込んだんだろうか。

トレーラーといえば「バットマン・ビギンス」の新トレーラーも公開されていた。メインの敵キャラとなるスケアクロウの姿も一瞬見れる。なぜラーズ・アル・グールを渡辺謙が演じるのかはよく分かりませんが。モーガン・フリーマン演じるルシアス・フォックスはバットマンの正体を知っているという設定なのだろうか。それにしてもフリーマンをはじめ、マイケル・ケインやリーアム・ニーソン、ゲイリー・オールドマンといった濃い役者が勢揃いの映画だなあ。

アメコミ映画といえば、マーヴェルとパラマウントが大規模な提携を結んだとか。どうもマーヴェルが自腹を切って自社のキャラクターを映画化し、それをパラマウントが配給してマージンをとる仕組みらしい。ルーカスフィルムとフォックスみたいな関係ですね。コミックスを出してる会社が自分たちで映画を作ることは歓迎すべきことなのだろうけど、早くても第1弾が公開されるのは2年後ということで、それまでにアメコミ映画のブームが過ぎてるのではないかと不安になってしまう。

ルーカスフィルムといえば、「エピソード3」公開後の動静についていろんな噂が出回っているようだ。どうも「スター・ウォーズ」の世界をベースにしたTVシリーズが2つ作られるとか(クリスマス・スペシャルの再来か?)。旧来のファンの間ではルーカスの評判が悪くなるばかりだけど、彼って世界最大のインディペンデント映画製作者であり、自分の好きなように映画を作ってそれをヒットさせ、その利益でまた好きなように映画をつくる、というスタンスは賞賛に値するものがあると思う。だからってダメ映画を作っていいということにはならないけど。

映画教室 修了

月曜の話になるが、ダウンタウンにある大学でとっていた「低予算映画の作り方」の短期コースを無事修了した。1回だけ出された課題(低予算映画のプロジェクトをたて、製作日程と予算を見積もるというもの)も「現実味のある予算の組み立てだ」ということで「A」をもらえたので良かったかなと。

カナダの映画教室ということで、アメリカと似たようで異なる映画業界の詳細を学べたのは面白かった。例えばカナダは映画撮影も映画鑑賞も盛んな国だけど、撮影されているのも公開されているのもアメリカの映画ばかりである。純粋なカナダ映画なんて殆ど製作されていないし、製作されたとしてもメジャーな映画館でワイドリリースされることなんてまずないわけだ。これはどうも映画製作がコスト的にリスクと見合わないものであることに起因してるらしい。

またカナダドルが米ドルにくらべて安かったことから、90年代後半あたりからハリウッド映画の撮影がカナダで行われることが非常に増加した期間があった。これは現地スタッフの育成にも役立ったわけだが、国外に仕事を流出させることがアメリカ国内で問題視され、最近はめっきり仕事が減ったとか。ケベック州やオンタリオ州なんかは撮影誘致のために税金の免除を打ち出してるけど(州同士で競争してるのが興味深い)、最近ではチェコなどのさらに物価が安い国へ撮影の仕事が流れてしまっているようだ。

一般的に映画撮影って現地の経済にかなりの富をもたらしてくれるわけで、いろんな国や州が税金免除まで持ち出して誘致しようとする理由がよく分かる。日本では資料館なんかを作って撮影を誘致したいなんて言ってる人がいるみたいだけど、ハリウッドのお偉方なんてゼニしか見ない連中なんだから、「税金免除」「物価安」「英語の話せるスタッフ」「レベルの高いスタッフ」などの条件が揃ってないとまず誘致はムリだろう。

ちなみに育成されたスタッフがカナダにゴロゴロいるということは、映画製作が一つの商売として一般的に認められていることであり、製作のシステムが確立されていることを意味する。よって初心者でも製作の手段さえ知っていれば機材をレンタルしたり、スタッフや役者を雇うことが比較的容易にできてしまうのだ。そういう点では低予算映画が作りやすい土壌があるかな、と思う。映画を作って儲けを出せるかどうかは別問題ですが。

「エピソード3」フィギュア

とあるショッピング・モールのトイザらスに行ったら、「スター・ウォーズ:エピソード3」のフィギュアなどがもう発売されていた。前回の「エピソード2」のときは「右手の外れるアナキン人形」なんてものがあってネタバレに貢献していたけれど、今回はそういったものはないようだ。あるいは単に「エピソード3」がどういう結末を迎えるか皆がとっくに知っているだけかもしれない。「ダース・ベイダーになるアナキン人形」は平然と売られてます。

話の都合上アナキンのフィギュアはどれも「悪人顔」だし、オビ=ワンはヒゲオヤジと化しており、一見しただけでは誰が善玉なのか分かりにくいのはちょっと問題かと。

それにしてもジミー・スミッツのフィギュアが発売される日が来るとは。