THE FOUNTAIN Montreal Set Visit Details

鬼才ダレン・アロノフスキー監督の待望の次回作「THE FOUNTAIN」がここカナダのモントリオールで撮影中(撮影済?)ということで、非常に興味深いセット訪問記がAin’t It Coolに掲載されていた
。ヒュー・ジャックマンとレイチェル・ワイズが主演をつとめ、相当スケールが大きい作品になるらしい。かつてはブラッド・ピット主演で撮影寸前までいった作品だが、ピットが降板したため急遽撮影が打ち切りになるという不遇な目にあった作品だが、無事にこうして製作が再開されているのは非常に嬉しい。公開が待ちきれない。しかし以前はオーストラリアにセットを組み立てるところまで行ったのに、なぜ今度は極寒のモントリオールに移動したんだろう。

かつては「ウォッチメン」や「バットマン:イヤー・ワン」などの監督も噂されていたアロノフスキーだが、この記事には「ウォッチメン」に関する面白い話が載っている。なーんとデビッド・ボウイが「ウォッチメン」のロック・オペラを企画中だとか。本当に公演されるかどうか不明だが、ボウイはやはりオジマンディアス役か??

それにしてもアロノフスキーの作品の音楽を担当してるクリント・マンセルが、あのポップ・ウィル・イート・イットセルフのクリントだったとは!!!

「シン・シティ」に見るコミックの映画化技法

先週の金曜日に封切られた「シン・シティ」が大方の予想通り興行成績1位に輝いたようで、まずはめでたしめでたし。もっとも興行成績で作品の良し悪しが決まるものではないんだけど。約2800万ドルという成績は決して記録的なものではないけど、R指定作品だし製作費が4000万ドル程度(さすがロドリゲス!)であるらしいことを考慮すれば上出来の結果かと。これで続編製作が決定か?

一般大衆の受けも上々らしく、IMDbでは早くも歴代作品のトップ112位に食い込んでいた。ただし批評家の受けはそこまで良くはないようで、「内容よりもスタイルに重点を置きすぎてる」とか「映画ではなくコミックを見てるようだ」といった批判も出ているようだ。まあコミックに徹底的に忠実に作るのが監督の目的だったので、これらの意見は褒め言葉としてとらえることも可能だろうけど。ただコミックに忠実になるあまり、映画化への脚色が十分に出来てないと思われる部分があるのも事実である。そこでコミックの映画化とは何ぞや、ということについて少し書いてみる。(注:以下に少しネタバレあり)

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上記の画像は「THE BIG FAT KILL」でジャッキー・ボーイの生首が突然話しだすシーンのもの。コミックではページをめくったとたんに彼が目を見開いて喋りだし、それをドワイトが「お前は幻覚にすぎない。黙ってろ」とクールに対応する非常にカッコいい光景を1コマで描ききっているわけである。これを映像化しようとすると、どうしても1コマ以上の時間や視点の動きが必要となってくるわけで、「生首が話しだす」→「ドワイトが反応する」→「ドワイトが話す」という流れに持っていかざるを得ないと思う(実際、今回の映画もそうだった)。そうなるといかにコミックに忠実になろうとしても、越えることができないメディアの違いという壁があるわけで、あとは映画製作者の脚色の手腕にかかってくるのではないか。

それと今回の映画で気になったのがナレーションの多用で、これもまた原作通りなのだけど、コミックは文章量が多くなっても読み手が任意のスピードで読むことが可能だから比較的多くの情報を処理できるのに対し、映画はまず映像が製作者の任意のスピードで観客の目に飛び込んでくるわけで、それに加えてナレーションがガンガン流れるのは見てる側にとってキツいものがあると思う。映画はまず何よりも映像/視覚のメディアだな、と実感した次第です。

もちろんこれはロドリゲス監督に脚色の技能がない、なんて言ってるわけではない。彼は非常にうまく原作を映像化してるのだけど、あまりにもスタイルに忠実であるがためにコミックと映像の壁が明確に現れてしまったわけだ。コミックの正しい映画化への道は厳しい。

とりあえず原作をじっくり読み直してからまた観てきます。

ドニー・ダーコ

大傑作映画「ドニー・ダーコ」のDVDをリチャード・ケリー監督とジェイク・ギレンホールのコメンタリーつきで観る。前に日本でレンタルしたやつにはコメンタリーが付いてなかったので。ただしこないだ発売されたディレクターズ・カットの方ではない。

コメンタリーでは普通に観ただけだとなかなか気づかない、各シーンや物体が象徴する意味をいろいろ解説してくれてるので助かる。これってオカルトっぽいSF作品だと思っていたのだけど、監督によるとSFだけでなく「聖なる介入」の物語でもあるそうだ。つまり乱れた時間軸を正して世界を破滅から救う役目を神(であれ何であれ)がドニーに与え、生者や死者を操りながら彼を導いていく、というのが話の趣旨らしい。なるほど。奥が深い。

この映画を観るたびに思うが、これだけの傑作をデビュー作で撮ってしまったリチャード・ケリー(俺より若い)の才能はハンパなものじゃない。次回作はまだか?

アメコミ映画ニュース

ハリウッドでは相変わらずアメコミの映画化が盛んなようだが、ワーナーの「ワンダー・ウーマン」の脚本&監督が「聖少女バフィー」のジョス・ウィードンに決定したらしい。短命に終わったシリーズ「FIREFLY」の映画版「SERENITY」を現在作ってるはずだから、そのあとに取りかかるのだろう。スーパーヒーローの映画はまだしも、スーパーヒロインの映画ってどれだけ需要があるのか不明だけど、アメコミのライターでもあるウィードンなら結構いいものが作れるかもしれない。

んで「Xメン3」の監督が、ガイ・リッチーの一連の映画のプロデューサーであり、監督デビュー作「LAYER CAKE」がそろそろ公開されるマシュー・ヴォーンに決定したらしい。監督としての技量は未知数だが、個人的にはストーリーが「ダーク・フェニックス・サーガ」を下敷きにするのかが気になる。俺あの話は嫌いなんだが…。

「Xメン」の1と2を監督したブライアン・シンガーは現在「スーパーマン」を撮影中。ケヴィン・スペイシーがレックス・ルーサーでヒュー・ローリーがペリー・ホワイトをそれぞれ演じるというのが渋い。

そして「シン・シティ」の新トレーラーが公開されてた。あれって映画化は無理な作品だと思うのだけど、どんな出来になるのだろう。

India, U.S. Moviegoers Pay Least -New Costs Index

各国の人々の給料と映画のチケット代を比較すると、インドでは16分労働しただけで映画が1本観れるのに対し、ブルガリアでは123分労働しないといけない、という調査結果が出たそうな

それで肝心の日本はどうかというと、48分労働すればいいらしい。でも日本のチケットって1500円くらいするわけだから、普通に考えると約50分で1500円稼ぐということは時給1800円の仕事に就いてないといけないわけで、これって庶民の感覚からしてみれば実に一般的じゃない高給じゃないか?すくなくとも俺はこんな時給もらったことないぞ。
どうもエコノミスト誌の「ビッグマック指数」をもとに算出したそうだが、ちょっと調べてみれば日本のチケット代がどれだかバカ高いか分かりそうなものだけどねえ。

ちなみに欧米では平日昼間なら割引になる「マチネー料金」が一般的なので、俺もその恩恵をうけて最近はよく4.25ドル(400円弱)で映画を観に行っている。日本に帰ったら金払って映画を観に行くのがバカバカしくなるような値段である。何で日本のチケット代があんな高いのかというのはいろんな原因があるんだろうけど、1つ理解できないのは館外からの飲食物持ち込みをなぜ容認してるのかな、ということだ。アメリカではポップコーンなどによる売上の方がチケット代よりも大きい、というような話を聞いた覚えがあるが、日本の映画館も持ち込みは一切禁止して館内で(割安の)飲食物を売ればもっと儲かると思うんだが。まあ客のバッグを調べるわけにもいかないし、全ての館で一斉に禁止しないと効果はないだろうけど。俺もよく100円ハンバーガーを持ち込んでパクついてた過去があるので偉そうなことは言えません。